基礎科学(数学・物理・化学)分野

数学は学問の母であるとは良く聞く言葉ですが、基礎科学は工学の発展を生み出す原動力です。ものづくりを確実にするためには、数学的なアプローチ、物理学や化学の理論、実験による裏付けが必須です。基礎科学は今までにない新しい理論を創出することで、次世代の工学技術を生み出す可能性を秘めています。20世紀末に飛躍的な発展を遂げた暗号技術は数学の基礎理論の上に成り立っています。宇宙の起源の解明から社会の変革まで、基礎科学は常に解を求めています。

Izabela Rzeznicka Professor(Graduate School of Science and Engineering)

Nanostructured Systems for Energy and Health

Can you imagine how big (small) is one nanometer? A nanometer is one millionth of a millimeter. When things are this small they can’t be seen by our eyes or a light microscope. Sophisticated equipment is used to visualize matter at the nanoscale. With their use, we can get understanding on how molecules assembly into a functional nanostructure. A nanostructure is a seed of a material. With the power of chemistry, we can design molecular building blocks and intramolecular forces to achieve a unique nanostructured system. The results of our studies help engineering nanosystems for energy and health. Currently, our focus is on synthesis and characterization of nanostructured catalysts for the next generation of lithium-air batteries, and on protein-encapsulated metal nanoculsters for biosensing.
NanostructuredNanostructured, surface-grown, coordination polymers revealed by home-made tip-enhanced Raman spectroscopy set-up.
未来の女性研究者へのメッセージ
Let scientific curiosity and wish of independence be your driving force.
Izabela Rzeznicka ProfessorIzabela Rzeznicka Professor

櫻井 みぎ和 准教授(材料工学科)

諸科学分野への応用により、広がる「結び目理論」の世界

結び目理論は位相幾何学の一分野で、「結び目」を分類することを目的としています。結び目理論は材料科学を始めとする、様々な科学分野の研究にも応用されています。具体的には、結び目理論は高分子化合物、DNAなどの解析に役に立ち、薬の作成にも実用化されています。近年では、材料の開発に関しても、繊維プラスチックと呼ばれる結び目の構造を持つような材料の開発が行われています。本研究室では、結び目,絡み目,空間グラフなどの性質の解明に取り組みます。

●社会のために
結び目理論の研究は理論分野の研究であるため、社会の土台を理論的に構築する重要な役割を担っています。結び目理論の研究を行うことにより、他の科学分野に寄与する研究を行っていきます。

● 研究室の魅力
本研究室の魅力の一つは、目に見える綺麗で美しい図形を沢山扱うことができることです。理論的な研究分野は難しそうと思うかもしれませんが、本研究分野は単に難しい数式を扱うだけではありません。一緒に綺麗で美しい結び目理論の研究をしてみませんか?
結び目の模型結び目の模型
未来の女性研究者へのメッセージ
女性研究者の割合はまだまだ少ない現状があります。しかし、だからこそ、女性である私たちが研究活動を行っていかなければなりません。研究活動はつらいこともありますが、多くの発見や気付きがあります。一歩勇気をもって踏み出せば、素晴らしい世界が広がっています。女性研究者を目指すあなたたちが、未来の担い手です。
櫻井 みぎ和 助教櫻井 みぎ和 准教授

山本 文子 教授(大学院 理工学研究科)

高圧力で新物質−地球深部から学ぶ物質開発−

4月の誕生石はなにかご存知ですか。そう、ダイヤモンドですね。ダイヤは、非常に硬くて光を透過する炭素の多形の1つです。天然のダイヤは太古の昔、地球の奥深く高い圧力と温度で生成し、ゆっくり冷えたものです。宝石としてだけでなく、その硬い性質を利用して、研磨剤や高圧力発生の部品として製造や研究の現場で使われています。私の研究テーマは、地球深部で生じる高い圧力を実験室で再現して、いままで誰も手にしたことのなかった物質を作り出すことです。例えば、ストロンチウムとルテニウムの酸化物で磁石を作ったり、水銀、銅などの酸化物で超伝導体を作ったりします。試行錯誤を繰り返した結果、設計どおりの物質が合成できたときの感動は格別です。また、その過程で予期しなかった面白い物質に出会うこともあります。私の生み出した物質がいつの日か人々の暮らしを豊かにすることを願っています。
4万気圧の高圧下で合成された高性能磁石の結晶構造モデル4万気圧の高圧下で合成された高性能磁石の結晶構造モデル。ピンクの球はストロンチウム、青の多面体はルテニウムと酸素からなる
未来の女性研究者へのメッセージ
女性の特性の一つはしなやかさと粘り強さだと思います。ただ、目の前のことに懸命になるあまり、組織や社会における自分の位置を自覚して行動することを忘れがちです。是非、“ 俯瞰する力” を身につけて自分の能力を最大限に生かして下さい。
山本 文子 教授山本 文子 教授

榎本 裕子 教授(数理科学科)

非線形偏微分方程式の解の安定性

音の伝わり方、水の流れ方といった自然現象は偏微分方程式と呼ばれる数式によって表すことができます。本研究室では、偏微分方程式の解の性質を調べています。現象はそこに“ ある” ので、それを数式化した偏微分方程式には解が“ 存在する” のが当たり前だと思うでしょう。しかし、現象を記述した偏微分方程式の多くは、高校までに学んだ方程式のように、数字や数式で求まる解がほとんどありません。そのため,何を解と呼ぶかを決める(定義する)必要があります。我々の研究は、定義された解が存在するかどうかを証明することから始まります。さらに、具体的な形がわからない解の性質を、『数学』という学問の長い歴史の中 で培われてきた理論を用いて調べています。異なる現象であっても数式化した方程式の形は似ていることがあります。方程式の形と解の性質がどう関係しているのかを調べることも研究テーマの一つです。
水の流れを記述した Navier-Stokes 方程式水の流れを記述したNavier-Stokes方程式
未来の女性研究者へのメッセージ
『継続は力なり』どんなことでも続けていれば力がつきます。たとえ進みは遅くても、歩みを止めなければ前進できます。 つらいときこそ、そこで歩みを止めるのかどうかをよく考えてください。
榎本 裕子 准教授榎本 裕子 准教授

久保田 あや 教授(電子情報システム学科)

見えないブラックホールを観測する

夜空を見ると星が輝いています。これらの星はほとんどが太陽と同じような恒星ですが、実は宇宙には、ブラックホールや中性子星、銀河団など、可視光よりも1000倍以上エネルギーの高い(波長の短い)「X線」という光を出して輝いている天体がたくさんあります。私の研究室では、人工衛星を用いて、ブラックホールをはじめとした高エネルギー天体が放射するX線を観測することで、これらの天体がどういった物理的性質をもっているのかを探求しています。
見えないブラックホールを観測する

堀 顕子 教授(応用化学科)

分子間力の制御からダイナミックな固体材料を創り出す

結晶は変化しない固体と思いがちですが、上手に分子間の相互作用を設計すると、自ら形を変えて、さまざまな小分子を捉えるダイナミックな材料になります。そこで、効率良く分子を取り込むため、金属イオンとフッ素を導入した新しい分子の合成研究を進めています。美しい色をもつ分子性結晶は予想のできない振る舞いを見せてくれると同時に、環境保全に役立つ新機能を秘めています。
化学はものづくりの学問です。オングストローム(10-1010m)の世界で、自分なりにいろいろ考えて分子を設計し、合成する。出来上がった分子は目に見えない小さなものだけど、それらが集まって結晶を形成する。きちんと設計された分子は、集まることで個々の性質を超えた機能や物性を発現し、私達の目に見える世界で役立つようになります。もちろん、実験が失敗したり、予想を超えた面白い現象が生まれる、その思い通りに進まないところも研究の魅力です。
分子間力の制御からダイナミックな固体材料を創り出す(上)結晶のハンドリング、(下)成長を始めた共結晶ナノワイヤー
未来の女性研究者へのメッセージ
誰にでも進路やライフイベントなど迷うときはありますが、まずは自分のできることを惜しまずにやる、自分の未来に向かって少しずつ努力すれば必ず道は開けてきます。
堀 顕子 准教授堀 顕子 教授

福田 亜希子 教授(数理科学科)

アルゴリズムに潜む数理を探求

本研究室では、自然現象や社会現象の解析に欠かせない数値シミュレーション技術の発展を目指して研究を行っています。数値シミュレーションの基礎となる数値計算アルゴリズム、特に、線形計算アルゴリズムの開発、改良や、数値計算アルゴリズムと可積分系理論の関係に関する研究を行っています。可積分系とは解が具体的に書き下せる特殊なクラスの微分・差分方程式であり、数値計算アルゴリズムとの密接な関係が知られています。例えば、生物種の捕食関係を記述する離散可積分系の数理構造をうまく利用すると、行列の固有値が計算できます。美しい数理構造をもつ可積分系理論を軸に、科学技術計算に応用できる優れたアルゴリズムの開発を目指します。
ソリトン(波)の追い越しソリトン(波)の追い越し
未来の女性研究者へのメッセージ
自分が本当にやりたいと思えることを見つけてください。
福田 亜希子 准教授福田 亜希子 教授