2025年度事業報告

1.改革路線の継続

熾烈な大学間競争を勝ち抜き、中長期的な大目標を実現するためには、迅速な意思決定により、他大学に勝るスピードと戦略で改革を実行することが不可欠です。こうし考えのもと、学校法人芝浦工業大学(以下「本学」)のガバナンス改革では、私立学校法に基づき、理事会が最終的な権限と責任を担う最高意思決定機関であることを明確化しております。また、設置学校の中心である大学において学長のリーダーシップを確立することを目的に、教職員による選挙方式から「学長候補者選考委員会方式」へと改めております。この方式では、学長候補者選考委員会が学長候補者を選考し、理事会において決定いたします。また、理事および評議員の選任についても「選考委員会方式」を導入しております。2021 年4 月1 日に就任し、2024 年4 月1 日に再任された山田純学長につきましても、「学長候補者選考委員会方式」により決定しております。2025 年5 月29 日に発足した現理事会は、「学校法人芝浦工業大学理事選考等実施細則」に基づき、理事推薦委員会が答申した候補者を推薦し、理事会において決定したものです。また、私立大学にはガバナンス・コードの策定および遵守状況の公表が求められており、本法人は2025 年9 月に遵守状況を公表しております。策定されたガバナンス・コードについては、すべての項目において遵守されている状況です。さらに、本学は創立100 周年を間近に控えており、改革を一層推進し、学内外へのプレゼンスを高めるため、さらなるガバナンス改革の必要性が高まっております。また、令和7 年度に施行された新私立学校法に対応した寄附行為の改定を滞りなく行うため、「ガバナンス改革検討委員会」を設置し、検討を進めたうえで、文部科学省へ寄附行為変更認可申請を行いました。

■ 理事会、監事会議等
2025 年4 月に施行された改正私立学校法を踏まえ、同年5 月29 日に新たな理事会体制が発足しました。理事会は、鈴見理事長および職務上理事である山田学長を含む12 名で構成されています。また、監事は常勤2 名、非常勤1 名の計3 名体制となっています。理事長の下、学長、理事会、監事会議が一体となった連携体制を構築することで、大学改革を迅速かつ適切に推進する環境を整備しています。特に、代表業務執行理事を常務理事の中から指名するとともに、各理事を担当業務を持つ業務執行理事として位置づけ、それぞれが所管業務の進捗を責任をもって管理する体制を確立しています。この体制のもと、2025 年度においても教職学協働によるスピーディな改革を推進してまいりました。さらに、改正私立学校法への対応を通じて、本学のガバナンス改革を一層推進しています。

■ 働き方改革への対応
2019 年4 月1 日より、働き方改革関連法が順次施行されました。本法人では、2020 年4 月から大学教員に対し専門業務型裁量労働制を導入しております。また、併設校教諭については、2021 年7 月より年間変形労働制を導入いたしました。さらに、併設校においては、業務時間のさらなる軽減を目的として、2023 年11 月より部活動外部指導員を導入しております。本取り組みについては、その効果を検証しながら外部指導員の拡充を検討し、併設校教員の業務負担軽減を図ってまいります。また、2023 年8 月には企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を活用するための規程を制定し、特に教育職員が教育・研究に専念できる環境整備を進めております。事務職員の在宅勤務については、政府および行政機関の指導を踏まえ暫定的に実施しておりましたが、2022 年7 月に在宅勤務に関する規程を制定し、正式な制度として運用を開始いたしました。本程は、仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の推進および業務の効率化を目的とするものです。さらに、申請手続および運用基準の明確化を図るため、2024 年1 月に規程および要領の一部改正を行い、施行しております。加えて、2024 年度からは事務職員に完全週休二日制を導入し、職員の心身の健康維持および仕事と家庭の両立が図りやすい職場環境の整備を進めております。また、2026 年度より、出生支援を行うため、出生支援休暇に関する規程を制定し、同時に未消化年休傷病積立制度取扱要領を改定し不妊治療に活用できるよう、2025 年度中に規程を整備しました。

■ 教員人事評価制度の導入
教育職員の人事評価制度につきましては、教育職員人事評価制度検討準備委員会において、評価結果が処遇に反映される制度の構築を目指し、答申案を取りまとめました。この答申をもとに、大学教員を対象とした人事評価項目および評価方法の詳細設計を行い、納得性の高い制度の構築に向けて検討を重ねてまいりました。その結果、2023 年度より試行運用を開始し、2024 年度から本格運用を開始しております。2025 年度より、教員業績評価システムと教員人事評価システムを統合し、前年度の振り返りと今年度の目標を、人事評価を確認しながら登録できるよう改善をしました。

■ 研修体系の改善
2025 年度は、研修体系の更なる拡充とともに、研修情報の基盤整備に取り組みました。Notionを活用し、研修内容・各種制度の一覧化を行い、情報の随時更新が可能な環境を整備し運用を開始しました。これにより、職員が必要な研修情報に迅速にアクセスできる体制を構築しました。語学力向上支援では2024 年度に導入したTOEIC IP(L&R)に加え、話す力・書く力を測定するTOEIC IP(S&W)を新たに導入し、職員の英語力を多角的に把握・育成できる体制を整えました。外部研修では、私大連オンデマンド研修について、職員からの希望に応える形で受講枠を拡大し対応しました。新規入職職員向けの導入研修では、熱海セミナーハウスにおいて外部研修講師を招いた合宿形式の研修を実施しました。新卒・中途入職職員を対象とし、年代を超えた交流を通じて相互理解を深める機会としました。

2.100 周年記念事業

2027 年に創立100 周年を迎える芝浦工業大学では、「理工系私学のトップランナー」という大目標に向けて、建学の原点に立ち返り、社会の要請に応えた教育の質のさらなる向上を目指し全学の求心力を高め、新たな挑戦に取り組んで参ります。

■ 将来ビジョン検討委員会における検討
芝浦工業大学は、経営ビジョン「我が国の理工系私学としてトップの社会的評価を得る」に向けたブランディング戦略及び学生満足度No.1 を目指すことを目標としています。そのため本学の発展構想及び各キャンパスの価値最大化などにより経営資源の活用を図り、将来構想(将来ビジョン)を検討することを目的に2020 年9 月から「将来ビジョン検討委員会」を設置しテーマごとに検討を進めています。2025 年度は主に「中長期計画策定」をテーマに、創立100 周年を迎える2027 年を見据えて2016 年に宣言したCentennial SIT Actionに続く長期ビジョンの検討を各分科会で行いました。創立100 周年を迎える来年度には「アジア工科系大学トップ10」と「学生満足度No.1」の社会的評価を得るとともに盤石な財務基盤の確立を目標としています。

■ 芝浦工業大学創立100周年記念事業「駅伝プロジェクト」
芝浦工業大学創立100 周年に向けた記念事業の一環として、2018 年度から始動した「駅伝プロジェクト」を2025 年度も引き続き推進いたしました。本プロジェクトは、我が国の国民的行事とも言える東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)への挑戦を通じ、芝浦工業大学の知名度やブランド力の向上を図るとともに、文武両道の逞しい理工学人材輩出を目的としています。2025 年4 月には監督・コーチ陣を刷新し、新たに部員9 人が入学し、駅伝部専用寮である白亜寮に入寮、勉学と練習の両立を図る体制の強化を進めました。第102 回箱根駅伝予選会では、芝浦工業大学駅伝部が過去最高の18 位(42 チームエントリー)を記録し、個人では横尾皓さん(環境システム学科4 年)が第102 回箱根駅伝の関東学生連合チームで復路8 区(平塚~戸塚 21.4km)に出走し、本学史上4 人目となる箱根ランナーが誕生しました。来年度も引き続き全学的な応援体制の構築に努め、創立100 周年の2027 年にはチームとしての箱根駅伝本戦出場を目指してまいります。

■ 寄付金戦略及びネーミングライツ事業
2021 年度に開始した返礼品付き寄付制度は着実に定着しており、2025 年度においても、卒業生企業や関わりのある企業のご協力のもと、新たな返礼品の拡充を図りました。また、2023 年度より開始した豊洲キャンパス大講義室ネームプレート募金につきましても、多くのご協力を賜り、これまでに約140 名のお申し込みをいただきました。さらに、東京箱根間往復大学駅伝の本選出場を目指す駅伝部の活動支援を目的とした、企業とのスポンサー契約を締結しました。駅伝部では、選手のメディカルケアやトーニング設備等に費用を要することから、本契約による収入をこれらの充実に活用してまいります。近年では、遺贈によるご寄付に関するお申し込みやご相談も寄せられており、今後は、こうしたご意向に適切に対応できるよう、受入体制の整備及び周知を進めてまいります。

3.盤石な財政基盤の確立

 
芝浦工業大学が永続的かつ健全性をもって発展するためには、盤石な財政基盤を堅持しつづけることが必要であり、その実現に向けて、中長期的な財政見通しを踏まえた計画的な財政運営に努めています。財務指標については、経常収支差額比率および事業活動収支差額比率を10%以上、積立率を100%とすることを中長期の目標とし
ていますが、昨今の諸物価上昇や今後の施設整備計画等を踏まえ、当面は各指標について、それぞれ8%以上および80%以上を目標とします。
2025 年度の経常収入は、学部および大学院修士課程の学生数増加に伴う学費収入の増加や、志願者数増加に伴う検定料収入の増加に加え、修学支援制度補助金の増加等により経常費等補助金も増収となり、全体として前年度比で17 億円の増加となりました。一方、経常支出は、物価上昇の影響に加え、大宮キャンパスの新校舎完成に伴う費用や奨学費の増加、および、人件費の増加等により、全体として前年度比15 億円の増加となりました。この結果、経常収支差額比率は9.9%となり、前年度比プラス0.4 ポイントの上昇となりました。近年の物価上昇や将来の少子化を見据えると、本学の経営環境は引き続き厳しい状況が見込まれます。大宮キャンパス再整備工(OCAMP2027 計画)が進行する中、柏中学高等学校の校舎整備等の大型投資も控えており、収支基盤の強化と内部留保の充実が
重要な課題となっています。今後も外部資金の積極的な獲得やAI・DX活用による支出の抑制、資産運用の拡充等を推進するとともに、芝浦工大ビルでの収益を下支えとしながら、盤石な財政基盤の確立に努めてまいります。

4.教育研究改革

社会や産業の変化に対応し、これからの時代に必要とされる人材を育成するため、学部・大学院の教育改革と教育研究環境の整備を
進めました。工学部では、2024 年4 月に導入した、複数の専門分野を横断して学ぶ6 課程・9 コースの課程制について、2 年目として教育内容の充実を図りました。専門分野の深化と分野横断的な学びの機会を組み合わせた教育研究を展開しました。システム理工学部では、2026 年4 月からの新たな教育体制への移行に向けた設置認可を得ました。複数分野を横断して学ぶ教育課程や学際的な科目、柔軟な履修制度の整備を進めるとともに、入学定員を485 人から705 人へ増員する計画を具体化しました。ま
た、新たにスポーツ工学分野への展開を進めました。
大宮キャンパスでは、O-CAMP2027 計画のもと、システム理工学部の教育改革と定員増に対応する新施設として、9 号館創発棟が竣工しました。本施設は、環境省「脱炭素先行地域」の取組の一環として、さいたま市、埼玉大学、東京電力パワーグリッド株式会社と連携し、脱炭素や省エネルギーに配慮した施設として整備しました。デザイン工学部では、ICTやデータサイエンスを基盤とした教育を展開し、社会情報システムコース、UXコース、プロダクトコースにおいて、社会課題の解決に資する人材育成を進めました。また、2028 年度からの入学定員増および1・2 年生の豊洲キャンパスへの就学地移転に向けて、教育体制および施設整備の準備を進めました。建築学部では、APコース(Advanced Project Design Course:先進的プロジェクトデザインコース)、SAコース(Space and Architectural Design Course:空間・建築デザインコース)、UAコース(Urban and Architectural Design Course:都市・建築デザインコース)の3 コースにおいて、それぞれの教育方針に基づくカリキュラムを実施し、建築分野における専門性の高い教育研究を展開しました。
理工学研究科では、高度な専門知識と研究力を備えた技術者・研究者の育成を進めました。博士課程では、2024 年度に採択された文部科学省「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」に基づき、博士課程学生の研究環境の整備およびキャリア形成支援を継続して実施しました。
また、学位分野に基づく柔軟な教育研究プログラムへの転換や、学部の課程制との接続を見据え、2028 年度からの学位プログラム制への移行に向けた制度設計および運用準備を進めました。大学院進学率は50%に達する見込みとなり、進学促進施策の成果が現れています。これに対応するため、豊洲学事部大学院課を「大学院学事部」に改組し、組織体制の強化を図りました。これらの積極的な教育改革の推進により、文部科学省の「私立大学等改革総合支援事業」において、13 年連続で全4 タイプ選定されるなど、改革が着実に実を結んでいるといえます。今後も、学生数1 万人規模をひとつの目標に掲げた大学改革を継続し、教育の質の向上と保証を確立していく方針です。

5.グローバル・DE&I推進

芝浦工業大学では、「スーパーグローバル大学創成支援」(SGU)事業完了後も、学長のリーダーシップのもと、学生が世界に通用するグローバル理工系人材として世界に羽ばたけるよう、グローバル化の推進を継続しました。2025 年度においては、海外での物価高や急激な円安による海外渡航費の高騰等、留学には深刻なマイナス要因が続きましたが、派遣については1,023 人の学生が、派遣プログラムに参加することができました。同様に、受入については海外協定校の学生にも授業履修プログラム(サンドウィッチプログラム)や研究指導プログラムを提供し、学部・大学院の正規留学生も含め、1,943 人の学生が短期/長期留学しました。また、8 月には、大鷹正人駐タイ王国日本特命全権大使はじめ、タイ/日本の大学関係者や現地メディア関係者等出席のもと、SIT ASEANサテライトオフィス(バンコク)の開所式を執り行いました。当サテライトオフィスでは、ASEAN地域の大学や高校等との交流を一層深め、正規留学生のリクルーティング活動に努めました。さらに、2025 年度にスタートした、タイ国政府が自国高校生等に奨学金を付与し海外派遣するプロジェクト(ODOS)の2026 年度受入校として、日本においては本学が唯一採択されました。
DE&I推進では、多様性・公正性・包摂性(Diversity, Equity & Inclusion:DE&I)の保障を軸とし、全教職員の共通認識のもと、意識啓発および制度整備を推進しています。芝浦工業大学では、SDGs宣言および「多様性の保障・公正性の保障・包摂性の保障」から構成されるDE&I推進宣言に基づき、取り組みを展開しています。2025 年度は「芝浦工業大学 DE&I中長期計画(2025 ~ 2030年度)」を策定し、男女共同参画からDE&Iへと取組みを発展させ、意識と行動の変容を促すフェーズとして、ロードマップに基づく施策を開始しました。性別構成の多様化については、2027 年度までに女性教員・女子学生比率30%以上、職員管理職に占める女性比率50%を目標に掲げています。2025 年度の実績は、女性教員18.1%(前年度18.7%)、学部学生23.7%(前年度21.8%)、大学院生19.1%(前年度17.6%、大学院進学率は男子50.8%、女子46.8%)、女性職員41.5%(前年度43.1%)となりました。女子学生の増加に向けては、女子高校生向けイベントやオープンキャンパスでの情報発信を実施するとともに、女子学生の大学院進
学支援として奨学金制度やキャリア支援を継続しています。また、Shiba-joプラチナネットワークの活動を通じて、学生・卒業生・教職員の交流機会を創出し、キャリア形成支援を推進しました。加えて、2023 年にSWCC株式会社とDE&I推進に関する包括連携協定を締結しており、その連携のもと、ヤンマーホールディングス株式会社とともに「DE&I×技術がイノベーションを創出することを体感しよう!」特別講演会および体験型ワークショップを実施するなど、産学連携によるDE&I理解促進の取り組みを推進しました。
環境整備としては、オールジェンダートイレの導入やライフイベント支援制度の周知を進めました。特に、4 月に制定した「学校法人芝浦工業大学 子育て特別旅費規程」を10 月に改定し、対象を国内旅費にも拡大したことにより、制度の利用が促進され、教職員が研究・教育活動と育児を両立できる環境整備を推進しました。さらに、教職員の交流機会の創出等を通じて、働きやすく学びやすい環境づくりに取り組みました。今後も、中長期計画に基づき、制度・環境・意識の三側面からDE&Iを推進し、すべての構成員がWell-beingを実感できる環境の実現を目指します。

6.産学官連携の推進

芝浦工業大学では、「社会に学び社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神として掲げ、産学官民との共創を教育研究活動の重要な柱として推進しています。大学が創出する知を産業界や地域社会へと還元し、イノベーションの創出を通じて国際社会の発展に寄与することは大学の重要な使命です。研究成果の社会実装や新規事業の創出、アントレプレナーシップを備えた人材育成の観点から、複合領域産学官民連携推進本部を中心に産学官民連携活動を継続的に展開しています。
2025 年度は、企業との共同研究を通じた研究力強化の取り組みが一層進展しました。受託・共同研究の件数は300 件を超え、金額は550 百万円に迫り、対前年比で10%以上の伸びとなりました。特に、スズキ株式会社と共同で「スズキモビリティ連携デジタルツイン共同研究講座」を開設し、次世代モビリティ社会を支えるデジタルインフラ技術の研究を推進しています。本講座では、高精度三次元空間デジタルツイン技術を活用した自動走行やスマートモニタリングなどの基盤技術の開発を目指しており、社会課題の解決と新たなモビリティサービスの創出への貢献が期待されています。こうした共同研究講座制度を活用することで、企業との長期的・組織的な研究連携を推進し、本学の研究成果の社会実装を加速させています。また、企業との連携による人材育成や知の交流も積極的に進めています。SWCC株式会社及びヤンマーホールディングス株式会社と連携し、「DEI×技術」をテーマとした特別講演会およびワークショップを豊洲キャンパスで開催しました。企業の第一線で活躍する理工系人材が経験や知見を共有し、技術と多様性の融合によるイノベーションの可能性について議論する場となりました。こうした産学連携イベントを通じて、学生や研究者が社会課題と技術の関係を体験的に学ぶ機会の創出を図っています。学生のアントレプレナーシップ教育の取り組みも継続的に発展しています。学生が社会課題の解決につながるビジネスモデルを提案する「芝浦ビジネスモデルコンペティション(SBMC)」は、2025 年度に第10 回を迎えました。本コンペティションでは、研究室で
生まれた技術シーズや研究成果を社会価値へと結び付けるアイデアが多数発表され、企業や外部専門家の協力のもと、技術の社会実装を志向した教育プログラムとして定着しています。これまでの累計参加者は1,000 人を超え、学生のキャリア形成や起業志向の醸成にも寄与しています。
今後も芝浦工業大学は、企業・自治体・地域社会との連携を通じて研究成果の社会実装を推進するとともに、社会課題の解決に資する技術開発と次世代イノベーション人材の育成に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

7.戦略的広報活動

大学ブランド力のさらなる向上を目的として、戦略的な広報活動を展開しました。具体的には、学部改編の情報発信、研究成果の周知、研究室の魅力紹介、学生と協働した情報発信、各種イベントの広報など、多角的な取り組みを実施しました。受験生向けの広報としてはまず、次年度入試における目玉として2026 年度より課程制を導入するシステム理工学部に関し、新たな教育内容や研究の魅力を正確かつ効果的に伝えることを重視し、サイトや各種媒体を用いて工夫を凝らした紹介コンテンツを制作し
ました。これにより、受験生及び保護者に対するこれら新しい教育導入の認知度と理解の向上を図りました。さらに、女子生徒や地方出身者、中学生などさまざまな対象に応じたイベントを開催し、理工系分野ならびに本学への進学意欲の醸成を図りました。また、高校生向けの最大イベントとして実施したオープンキャンパスでは、豊洲キャンパスで12,739 人、大宮キャンパスで7,105人と、ともに過去最高の来場者数があり、多くの人に本学の魅力を伝えることができました。
大学広報としては、教員の研究成果を積極的にプレスリリースやニュースリリースとして発信するとともに、研究室紹介動画の制作・公開を通じて、学内外への研究関連の情報提供を強化しました(プレスリリース発信件数:2024 年度69 件→ 2025 年度82 件)。加えて、在学生によるSNSを活用したキャンパスライフの情報発信も推進し、学生の視点から芝浦工業大学の魅力を発信する取り組みを行いました。
2025 年9 月26 日から10 月26 日にかけて開催された第4 回建築家展「藤本壮介展~太宰府天満宮仮殿の軌跡」には、過去2 番目となる延べ4,577 人以上の来場者を迎え、芝浦工業大学の発信力を示す良い機会となりました。また、国際女性デーに際しては、朝日新聞及び読売新聞において広告を掲載し、女性研究者が少ない日本の社会的課題に対して理工系女子を一貫して支援する本学の姿勢を広く社会に示しました。
これらの施策の成果として、2025 年度の大学公式Webサイトのトップページ来訪者数は885,966PV※に達し、X(旧Twitter)のフォロワー数は15,079 人※(2025 年度目標:15,000 人以上)、YouTubeチャンネル登録者数は8,600 人※(同目標:8,500 人以上)、Instagramのフォロワー数は、10,768 人※(同
目標9,000 人)、TikTokのフォロワー数は、4,147 人※(同目標:4,000 人)となるなど、デジタルメディアを通じた情報発信の到達度も着実に向上しています。今後も、社会との接点を広げる広報活動を継続的に推進し、芝浦工業大学の教育・研究の魅力を多様な層に向けて発信してまいります。(※ 2026 年3 月31 日時点)

8.DXの推進

 
芝浦工業大学では、2025 年度もDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に取り組み、教育・研究・業務運営を支えるICT基盤の高度化を進めました。教育研究環境の整備では、CBTや動画コンテンツ等を授業で活用できる環境づくりを進めるとともに、教室設備・情報機器の更新により、新しい教育手法を試行できる環境整備を推進しました。教育改善に関するFDSD研究会では、生成AIを用いた学修支援、教育研究活動における生成AI活用、ならびに豊洲PC教室リプレース後のCBT環境について共有を行い、教育改善とICT環境整備を連動させる取り組みを進めました。教職員のITリテラシー向上とDX推進人材の育成については、生成AIやNotion等の新たなデジタルツールを対象とした情報共有・研修機会を継続的に設けました。特に業務効率化・DX推進プロジェクトにおいては、エバンジェリスト教員やDXパートナー職員と連携体制を構築し、全学的な課題の解決を進めました。これに加え、教育改善FDSD研究会等を通じて、教員・職員双方が生成AI活用やCBT運用に関する知見を共有する体制を整えました。学内事務システムにおいては、Notionを活用した依頼・提出資料等の一元化をさらに進め、関連データベースと連携する仕組みの整備を推進しました。具体的には、Notion API由来の複数シートから依頼情報を集約し、「依頼」シートへ一括出力する仕組みを整備し、依頼案件の可視化と管理の効率化を図りました。また、業務マニュアルの平準化に向けて、Notionページを共通の参照基盤とし、マニュアルの所在集約、閲覧方法、作成ルールの整備に関する検討を進めました。これらにより、部署横断での情報共有と業務標準化を着実に前進させました。課程制に対応した新教務システムについても、2025 年度中のリリースに向けた準備を進めました。
教室環境については、PC教室・一般教室における映像表示環境、モニター、プロジェクター等の更新・調整を進め、CBT実施や動画活用授業に対応可能な環境整備を推進しました。あわせて、教室での運用方法や機器仕様の確認を進め、授業実施上の利便性向上を図りました。
図書館における取り組みとしては、公開データの格納・公開方法を含む研究成果公開環境の整備を進めるとともに、機関リポジトリ運用や即時オープンアクセス対応に関する学内運用の具体化を進めました。2025 年度以降、科学研究費助成事業など多くの競争的研究費における即時OA義務化を踏まえ、論文の公開先、エンバーゴ期間、関連費用等を確認するための申請・確認フローの整備を進めました。今後は、既存の機関リポジトリで管理する文献の拡充と、新規システムとの連携運用を通じて、研究者に対するオープンアクセス支援環境の充実を図ってまいります。

9.学生募集・女子学生の拡充

2026 年度入試においては、前年度に引き続き、「より適切な入試方法による、より本学に適性を持つ学生の確保」を基本方針として
掲げ、以下4 点の重点目標について戦略的な施策を展開しました。
特別・推薦入試による入学者割合:40%
女子学生比率         :30%以上
地方出身入学者比率の向上(100 周年時に25%以上を目標)
大学院進学率の引き上げ    :60%
これらの目標達成に向け、入試広報媒体の整備と併せて、オープンキャンパス、大学説明会等のイベントを効果的に運営しました。一般入試における延べ志願者数は53,158 人で、前年比138.0%と大幅に増加しました。大学入学共通テスト利用方式を改編したことが志願者増に大きな影響を与えました。入学定員2,071 人(秋入学を含まない)に対し、特別・推薦入試による入学者数は904人となり、入学定員に占める割合は43.7%(前年:44.0%)となりました。女子生徒の理工学分野への進学選択の環境を醸成することを目的として開催した女子生徒向けの「女子高校生対象ミニオープンキャンパス」及び「女子高校生サマーインターンシップ」の参加者数はそれぞれ、494 人(前年比+ 65 人)及び94 人(前年比+ 8 人)となり、年を追うごとに参加者が増え続けています。これらの活動の結果として、それぞれの生徒の進路決定に寄与することができ、本学の女子学生の入学者数は以下のとおりとなりました。
・女子入学者数          :629 人(前年比110.0%)
・入学者全体に占める女子比率   :30.8%(前年:27.8%、+ 3.0PT)
今回、初めて女子の入学者が30%を超えることとなり、理工学系女子の輩出にも大きく貢献することができました。また、これまで本学は女子校3 校と高大連携事業に関する協定を締結しておりましたが、女子校との高大連携事業を拡大すべく、これに加えて2026 年3 月末までに新たに6 校と協定を締結いたしました。2026 年度も引き続き協定締結を進めて、締結校は計15校程度となる見込みです。本学は各校との交流・連携を通じ、生徒の学びと進学意欲向上および理工学教育推進に必要となるさまざまな高大連携事業を実施していく予定です。地方(一都六県外)出身の入学者確保に向けては、「特別指定校」の制度を充実させました。2026 年度入試に向け、本学への入学実
績のある全国の進学校・工業高校等を対象とした「特別指定校」を46 校から90 校まで増やし、高校を訪問して優秀な生徒の推薦を依頼するほか、それに伴うPR活動も積極的に行いました。また2023 年度より導入した地方出身者向け「朝日に輝く奨学金」については、支給対象や給付金額・人数を見直したほか、国公立大学と同等の学費水準となる改定を行い、地方高校への周知活動を強化しました。
このような強化施策に取り組みましたが、一都六県外からの入学者比率は17.8%となり、前年より3.2PT減少する結果となりまし
たので、この要因を分析したうえで取り組みの改善を図ってまいります。さらに大学院進学率についても2021 年までは30%台で推移していたものが50.0%(2026 年3 月卒業生)へと増加しており、2027 年の創立100 周年までには60%を目標とし、今後はさらに70%へ引き上げることを目指しています。これらの各種施策が2025 年度(2026 年度入試)の成果として反映されています。今後も引き続き、多様な背景を持つ優秀な学生の確保を目指し、広報及び入試施策のさらなる充実を図ってまいります。

10.キャリア教育

芝浦工業大学のキャリア支援は、入学時から将来を見据えた支援を行い、各学年に応じたキャリア指導で学生の成長を支えています。学生一人ひとりの考え方や希望、将来への展望を丁寧に把握し、個々の事情に寄り添った指導を行っており、その結果、毎年高い就職率を維持しています。創立100 周年(2027 年)を迎える目標として、有名企業400 社への実就職率45%、就職率100%を掲げています。2025 年度においても、相談窓口を早朝から夜間、さらに日曜・祝日も対応可能な体制を整え、より多くの学生に対して助言を行うとともに、不安や悩み等の相談に応じることができました。また、企業の元役員や採用経験者による「採用側からの面接練習・書類添削」として相
談を受け付け、多くの学生の内定獲得を導きました。2026 年3 月卒の就職率は99.5%となり、特に学部の女子学生の就職率は100 % を達成しました。有名企業400 社実就職率においては、42.4%となり、昨年比では+ 1.2 ポイントの結果となりました。なお、2025 年3 月卒業生の有名企業400 社実就職ランキングでは、41.2%にて、全国の大学で7 位、私立大学で3 位に位置しました。企業訪問では、採用実績の拡大、過去に実績のある企業との関係強化、新規企業の開拓等に努めました。また優良企業の採用担当者を招いた「企業懇談会」を開催し、2025 年度は、320 社・約600 人が参加しました。桑田キャリアサポートセンター長をファシリテーターに、教育ジャーナリスト石渡嶺司氏とデザイン工学部原田教授による対談「”採用氷河期”の企業戦略と芝浦工業大学の人材育成」も実施し、若者の気質やSNS活用について意見交換が行われました。参加企業からは採用活動の参考になったとの声が多数寄せられ、企業様との交流を一層深めることができました。また、若手OB・OGによるパネルディスカッション「就活フェア」では、学生が実体験に基づく有益な情報を得る機会となりました。加えて「合同企業説明会」など毎年恒例の重要なイベントも実施し、就職支援の機会を多様な形で提供しました。公務員試験でも成果が見られ、2025 年度の東京都職員採用(技術職)において、本学から46 名(昨年:33 名)が合格し、全合格者300 名中本学が約15%を占める結果となり、過去最高となりました。元公務員の卒業生による指導体制など、きめ細やかな支援がこの結果につながっています。

11.学生支援の充実強化

 ■ 学生生活支援
芝浦工業大学校友会・後援会との連携による就職支援、生活支援、学生課外活動支援を実施しました。また、2024 年3 月にオープンした芝浦工業大学熱海セミナーハウスは、学生・生徒が授業、研究室ゼミ合宿、課外活動で利用するほか、卒業生や教職員、その家族を含め多様なステークホルダーに活発に利用いただきました。 豊洲、大宮校舎において、女子学生の増加に伴う教育・研究環境整備の一環として、2025 年8 月から両キャンパスの女子トイレに生理用ナプキンを設置し、無償で提供を開始しました。さらに大宮キャンパス生協食堂は内装を大きく改装すると同時にテーブルやイスなどの什器も新しく入れ替え、いっそう彩り豊かになり、より食事を楽しめる空間にリニューアルしました。

■ 課外活動支援
豊洲キャンパス本部棟4 階の多目的室に防音壁を設置し、課外活動団体向けに利用を開始しました。また、課外活動援助金の交付を実施し、特にエスアイテック育英奨学金(体育会・文化会で活躍している学生対象)の採用基準を見直し、より多くの学生に給付できるようにしました。加えて、新型コロナウイルスの影響で中断していた救命講習会を学生センター主導の下、課外活動団体(公認団体)を対象に実施を再開いたしました。なお、課外活動奨励金表彰団体及び主な成績は以下のとおりです。
<芝浦工業大学2025 年度課外活動奨励金表彰団体及び主な成績>
①自動車部
 全関東学生ジムカーナ選手権大会 優勝
 機械工学科4 年 河原 輝さん:全日本学生ジムカーナ選手権大会 9 位(全国大会)
②スキューバダイビング部
 関東学生潜水連盟フリッパー大会 総合優勝(関東大会)
 全日本学生水中フォト&ビデオコンテスト3 位入賞(全日本)
③アメリカンフットボール部
 土木工学科4 年 松田 凛さん: 関東学生アメリカンフットボール連盟秋季リーグ戦2 部リーグにて「2 部リーグ最優秀選手賞(イ
ンターセプト部門)」受賞(関東リーグ)
④ヨット部
 機械機能工学科4 年 尾茂田 昌士さん: 関東470 選手権 上位29 位以内に入り全日本選手権への出場権を獲得&全日本470 級
ヨット選手権大会 出場
 建築学科4 年 濱口 寛太さん:同上
⑤男子バスケットボール部
 秋季理工系トーナメント 準優勝
また建築系の活動においては、2026 年4 月25 日に行われた「サンゴバン国際学生建築コンテスト」日本大会(主催:サンゴバングループ(東京都千代田区))で、本学学生が2・3位に入賞しました。加えて、原田真宏教授(建築学部)主宰のMount Fuji Architects Studioを代表とする5 社が、前橋クリエイティブシティ県庁~前橋駅都市 空間デザイン 国際コンペにて最優秀作品を受賞しています。

12.附属・併設学校の強化、中高大連携と理系女子の育成

 ■ 併設校の強化
少子化の進展を踏まえ、大学と併設校による緊密な中高大連携は学校法人としてのブランディング確立を考える上でも非常に重要です。経営戦略室をハブとした法人と両併設校との連携は重要性を増しています。附属、柏両校と緊密に連絡を取り、各種共通課題の解決や新規プロジェクト等の策定を図りながら、さまざまな事業を推進しています。急激な社会情勢の変化の中、首都圏の数多の私立中高の中で、芝浦工業大学の併設校という特色を生かしながら、それぞれの創立の理念などは堅持しつつ、時代の変化に対応できる学校作り、校務運営が求められています。附属校は都心に、柏校は郊外に立地しており、各校の独自性をベースにしながら学校運営をしていく必要があります。大学との連携を深化させながら、併設校同士の連携もより確実なものとし、新しい学力観を基軸にした授業研究と授業実践を推進し、併せてキャリア教育の充実を図ってまいります。

■ 芝浦工業大学附属中学高等学校
附属中学高等学校では、芝浦工業大学の併設校である強みを最大限に活かし、理工学の面白さや有用性を実感できる授業を展開しながら、一貫して「理工系人材の育成」に取り組んできました。「理工系の知識で社会問題を解決する」ことが目標の探究型授業は、2025 年度に中学校から高等学校まで一貫した指導体制の確立を目指し、「探究DAY」における成果発表では、生徒の表現力や課題解決力の向上が見られ、校内外から好評を得ることができました。グローバル教育の面では、タイおよびインドから短期留学生を受け入れ、本校生徒宅でのホームステイ、授業や活動の体験を通して生徒同士の交流が深まり、相互理解を促進する有意義な機会となりました。さらに、本校初の取組として、高校1・2 年生を対象とした本校企画のタスマニア短期留学(3 か月間)に2 名の生徒が参加し、高校3 年生の芝浦工業大学早期推薦者を対象とした短期留学で
は、参加人数を従来の12 名から16 名へと拡充することができました。芝浦工業大学への内部進学率は増加傾向にあり、2026 年度入学者では約60%となっています。今後は早期に内部進学率70%の達成を目指すとともに、女子生徒の進学率向上にも重点的に取り組んでいきます。その一環として、女子生徒の入学促進を図るため、芝浦工業大学と連携し、理工系分野の魅力を発信するイベントの開催に向けた検討を開始しました。今後も中長期的な視点に立ち、芝浦工業大学との連携を軸に、学校の魅力向上に継続して努めてまいります。

■ 芝浦工業大学柏中学高等学校
柏中学高等学校は2030 年に創立50 周年を迎えることから、新校舎建設構想が法人のサポートのもと動き出しています。併せて、ソフト面で各種記念事業も行うことにしており、プロジェクト全体の具体的なスケジュールを固めています。2025 年度は在校生の教育環境の充実を図るため、第一グラウンドの人工芝張替え工事を実施したほか、小体育館の空調施設整備、26 年度の供用開始を目指し、自習空間の充実といった側面も踏まえ、カフェテリアの改修工事を行いました。教育面では、芝浦工業大学の磐田朋子副学長による中学生への講演会や、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)第Ⅲ期に指定されたことに伴い、生徒の知的好奇心を育むための課題研究を充実させるため、連携協定を結んでいる千葉大学との共催による「教師がつながる探究発表交流会」を7 月に開催し、小・中・高校の教員が全国から集まり学校の垣根を超えた実践発表を行いました。また、11 月には千葉県内の児童生徒が会し、課題研究の成果を発表する「探究DAY」を本校で開催し、SSH指定校に課せられている地域
への成果の普及に取り組みました。このほか、福井県立大学恐竜学部の協力により、現地で発掘体験などのフィールドワークを実施、国際教養大学などの特色ある地方大学と連携協定を結びました。このように芝浦工業大学との連携を基軸としながら、生徒たちのキャリア開発につながる大学等とも交流を進めた結果、東大などの
難関国立大10 大学に計16 人(東大3、京大2、東京科学大5 など)、海外大に計14 人が合格し過去最高レベルとなったほか、芝浦工業大学への内部推薦合格者も過去10 年で最高の46 人となりました。

13.キャンパスや諸設備の整備

 ■ 大宮キャンパス工事計画
長年にわたり計画されてきたO-CAMP2027 が、システム理工学部の課程制移行に合わせ本格的に進められています。新施設である9 号館創発棟は2025 年12 月に完成しました。9 号館創発棟完成後は、6 号館の大規模改修工事、体育館解体後の跡地に食堂棟・購買棟を建設、最終的には正門周辺の整備を行い2027 年度末完成を目指します。

■ 2025年度新設の主な施設設備
①大宮キャンパス:9 号館創発棟
  9 号館創発棟の建設は、株式会社安井建築設計事務所の基本設計・監理のもと2024 年3 月に鹿島建設株式会社にて工事が開始され、2025 年12 月20 日に竣工しました。引渡し後、什器・備品の搬入、引越しを経て2026 年4 月に供用開始となります。この建物は、地上7 階建て、延べ床面積21,720㎡のRC造で、体育館、地域健康増進センター、ラーニングコモンズ、研究室、実験室等を配し、ZEB Readyを達成した環境に優しい建物となっています。
②豊洲キャンパス:デザイン工学部改組に向けた本部棟整備
  2028 年度に予定しているデザイン工学部の定員増及び豊洲キャンパス一貫化に向け、施設整備計画を策定しました。2025 年度は本部棟12、13 階に研究室、オープンラボ等の整備をし、定員増の対応を行いました。

■ 2025年度の主な施設設備の維持管理
①豊洲キャンパス空調設備更新工事
  竣工後20 年が経ち、機器の更新時期が過ぎました。2025 年度は研究棟5 階及び9 階等の空調の更新やサーバールームのUPSの更新を行いました。
②大宮キャンパス脱炭素先行地域の対応
  省エネ対策として、大学会館の空調機及び全熱交換機の更新を行いました。また豊洲キャンパスと同様にUPSの更新を行いました。
③附属中学高等学校グランド整備工事
  経年劣化のため、グランドに敷設されている人工芝の全面貼り替えを行いました。
■ 次年度以降に向けての計画・検討
①O-CAMP2027 の2 期、3 期計画の検討
  2025 年6 月に6 号館改修工事の施工業者に株式会社ナカノフドー建設を選定し、実施設計完了後2026 年4 月から改修工事を行います。また、体育館の解体を2025 年12 月から開始し、2026 年5 月に完了します。体育館跡地に建設する2 期計画:食堂棟・購買棟の施工業者にはポラテック株式会社を選定し、実施設計を行っています。さらには生協裏の南側道路が2027 年度に完成する事から、エントランスを現生協の場所に移設する3 期計画を行っています。
②柏中学高等学校再編計画に向けた検討
  開校45 年を迎えた柏中学高等学校は建物や設備が老朽化しています。昨年度までに株式会社堀越英嗣 ARCHITECT 5 にて建替えの基本設計を行いました。現在は、建設物価が高騰していることから、コストを抑える構法の検討を行っています。

14.リスクマネジメント体制の強化

 ■ 災害対策
各地で災害が頻発するなか、首都圏で起きると想定される大震災に対する対策を進めました。
①災害リスクアセスメントツアーの実施
  2025 年度は、全てのキャンパスにおいて防災専門家の指導のもと、各キャンパスの教職員が学内を巡回する「災害リスクアセス
メントツアー」を企画しました。災害時における負傷や人命に関わる事象の多くは、事前の対策によって防止可能であるという認識に基づき、「できる対策をしないことこそが最大のリスクである」との視点から、学内の危険箇所を確認しました。
また、本ツアーに先立って行われた講義は、研修動画として全教職員向けに公開し、参加者に限らず視聴できる仕組みを整えることで、防災意識の向上および安全対策の改善につなげています。
②学生向け啓発活動の展開
  学生に対しては、防災分野で高い発信力を有するYouTuberを招き、講演会を開催しました。防災を身近な自分事として捉えるための具体的な方策が提示され、講演内容を再録した約80 分間のYouTube動画は、現在も継続して公開されています。これにより、時間や場所を問わず学生が防災知識を習得できる環境を整えることができました。
③休日・夜間における災害対策初動体制の構築
  休日や夜間の災害発生に対しても、実効性のある初動体制構築を目指しました。その一環として、徒歩でキャンパスに参集可能な事務職員による「災害対策主導コアメンバー部会」を豊洲・大宮の両キャンパスに設置し、具体的な対応計画を確認する研修会を開催しました。
④今後の展望
  今後も、防災・減災・復旧に関して現実的かつ実効あるマネジメント体制整備に努めます。
■ 化学薬品管理
①化学物質管理体制の確立
  2025 年度より、化学物質管理は「危機管理室(薬品管理担当)」を中心とした新体制へ移行し、指揮命令系統の統一と人員拡充により、個人依存から組織的対応へ強化しました。あわせて、化学物質の管理状況の共有と監督指導を行う「化学物質管理委員会」(拡大委員会を含む)を整備し、理事長・学長への報告体制を明確化しました。
②薬品管理方法の統一
  運用面では、管理ツールをIASOに統一し、原則として保有薬品の登録・管理を義務化するとともに、購入品は検収センターで全件IASO登録を開始しました。毒・劇物は施錠保管を徹底し、数量の管理を毒物は重量管理、毒物以外(劇物含む)は本数で統一しました。さらに、毒劇物を収納する薬品保管庫のキーを専用のキーボックスで理、電子天秤による重量管理及びIDカードによるキーボックス及びIASOの認証を導入し、化学物質の適正使用と適切な記録を高めました。
③薬品の移動・譲渡・廃棄の明確化
  規程改正に伴い、購入可能薬品の学外及びキャンパス間の移動禁止、研究室間での譲渡を禁止し、退職時は指導学生が研究室を移動する場合を除きすべて廃棄することになりました。また、購入から3 年以上経過し、使っていない薬品は廃棄するなど移動・譲渡・廃棄のルールを明確化しました。

15.地域貢献・社会貢献

 芝浦工業大学は社会貢献・地域貢献として教育・研究成果を広く社会・地域に還元し、学びの場を提供することにより「開かれた大学づくり」に取り組んできました。また、これまで進めてきた地域や自治体と連携した教育・研究・社会貢献は、地域と共にある大学として、地域社会、また産学官連携の中核的存在となるような取り組みも展開してまいりました。大学における公開講座は、社会貢献事業として大学の第3 の役割を担っています。研究教育機関として大学が持てる専門知識を広く社会・地域に還元することは大学の使命であります。その中で、アウトリーチ活動として「芝浦工業大学らしさ」を前面に打ち出した公開講座を積極的に開講してきました。地域住民をはじめ多くの方に広く生涯学習の機会を提供する一般向けのオープンカレッジや、将来の科学技術をけん引する理工系人材の育成に資することを目的に、子供たちの「ものづくり」に対する興味・関心を喚起するために小中学生等を対象としたSTEAM 教育プログラムの拡充を図りました。そしてリカレント教育プログラム・履修証明プログラムといった、企業に勤務する社会人を対象としたプログラムの拡大にも取り組みました。更には、豊洲みらいプロジェクト、近隣小学校への出張授業、みなと区民大学や子ども大学など、自治体等と連携した講座も精力的に実施し、2025 年度は合計34 の公開講座を開講、800 人以上の受講者を集めました。地域との交流としては、豊洲キャンパス周辺企業と協業したまちづくり活性化イベント等に積極的に参画したほか、近隣住民や企業との連携による「豊洲水彩まつり」の開催や、今年で開催3 回目となる「豊洲小学生絵画コンクール」では近隣小学校での授業に作品制作を取り入れていただくなど連携強化を進めました。
2023 年度より大阪公立大学より主催を引き継ぎ、芝浦工業大学主催として3 回目の大会となる「第20 回高校化学グランドコンテスト」では、全国から過去最高の66 校11チームの応募があり、海外からの参加5 チームと併せて115 チーム550 人が最終選考に参加し、高校生の化学への探究心を育む場として、高い評価を得ました。また豊洲キャンパスでは、「豊洲フラワーガーデン」や近隣に住む子どもたちの遊び場として設置された「シバウラキッズパーク」、本部棟1 階に設置された「SITグローバルカフェ」及び「銀座シシリア豊洲店」が、地域住民にも広く定着し、地域における日常的な交流拠点として機能しています。大宮キャンパスにおいては、大宮キャンパスの再整備プロジェクト「O-CAMP2027」の一環として建設された地上7 階建ての新校舎「9 号館創発棟」が完成し、多様な分野の学生や研究者が集い、交流し、協働することで新たなアイデアやイノベーションを生み出す拠点として今後の活用が期待されています。芝浦工業大学は、今後も地域との連携を重視し、教育・研究・社会貢献の各分野を通じて持続可能で豊かな地域社会の実現に向けた先導的な役割を果たしてまいります。