2023年度事業報告

1.改革路線の継続

熾烈な大学間競争に勝ち抜き中長期の大目標を実現するには、迅速な意思決定により他大学に負けないスピードで改革を実行することが必要です。この考えのもと学校法人芝浦工業大学(以下、本学)のガバナンス改革では、私立学校法に基づき、理事会を最終的な権限と責任を担う最高意思決定機関であることを明確化し、また設置学校の中心である大学の学長のリーダーシップ確立を目的に、教職員による選挙方式から、学長候補者選考委員会が学長候補者を選考し理事会において決定する「学長候補者選考委員会方式」に改めています。理事及び評議員の選任についても「選考委員会方式」に改めました。また、2025年に改正される私立学校法に対応するため、ガバナンス改革検討委員会を設置し、本学の更なるガバナンス改革の推進へ向けて議論を重ねております。このように、鈴見理事長体制の下で、芝浦工業大学が創立100周年を迎える2027年に「我が国の理工学系私学としてトップの社会的評価を得る」という中長期目標の実現をめざし、教職員一丸となり全力で取り組んでおります。創立100周年を見据えた重点施策テーマは、改革路線の継続による組織運営体制の強化、学校法人を持続可能とする盤石な財政基盤の確立、スーパーグローバル大学創成支援(SGU)事業終了後の国際推進、教育研究改革及び学生支援の強化、大宮キャンパス施設設備計画、ダイバーシティ、DX化の推進、更に2019(令和元、以下同じ)年度から本格始動した100周年記念事業駅伝プロジェクトの推進等であり、これらの実現に向け「将来ビジョン検討委員会」等にて検討を重ね、経営資源の戦略的な選択と集中を図りました。

理事会、監事会議等
2021年6月27日に発足した現理事会は、鈴見理事長、職務上理事である山田学長を含む12名の理事体制となっています。監事は現在2名の常勤監事、1名の非常勤監事の3名体制となっています。この理事長、理事会、監事会議と学長の連帯感のある体制により、大学改革を迅速かつ適切に展開する環境が整っており、2023年度も教職学協働でスピーディな改革を実現してまいりました。また2025年4月より施行される改正私立学校法に先駆けてガバナンス検討委員会を立ち上げ、本学の更なるガバナンス改革を実現いたしました。

働き方改革への対応
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を利用するための規程を制定し、教職員が日々の教育・研究・業務運営に注力できる一助となる制度を導入しました。また、併設校教諭については、業務負担軽減に向けた体制構築として、部活動外部指導員を導入しました。事務職員については、従前より在宅勤務に関する規程を制定していましたが、より使いやすい制度とするため申請や基準を明確化し、多様な働き方を支援する体制を整えました。また、完全週休二日制や時間単位年休を導入し、職員の心身の健康と仕事と家庭が両立しやすい環境醸成の検討を進めました。

エンゲージメント調査の実施
2023年度は全専任教職員(大学教員、併設校教諭、事務職員)に対する実施として、3回目になります。経年の調査結果から2023年度は事務職員や大学教員、併設校教諭のそれぞれにおいて、肯定的回答(強み)が増えたところや、否定的回答(弱み)が増えたところなどが明らかになり、それぞれの課題点や取り組むべき問題などを認識することができました。2024年度は、これらの課題改善に向け個別に対応策を検討していく予定です。

教員人事評価制度の導入
教育職員の人事評価制度については、教育職員人事評価制度検討準備委員会において、評価が処遇に反映される制度の構築を目指した答申案をまとめ、学長および学長室メンバーと共に、人事評価項目の整理とその評価方法について詳細設計を行いました。2023年度には人事評価制度の試行をする予定です。

研修体系の改善
2023年度は、事務職員の研修体系について大幅な改善を実施し階層別研修や管理職研修、考課者・被考課者研修など必須の人事研修のほか、自主的な意欲を尊重した研修(オンデマンド研修など)を多く取り揃え、事務職員の成長意欲を促進する形で体系を改善しました。また、全専任教職員に対して将来の資産形成の一助として企業型確定拠出年金制度を導入し、これに併せて金融リテラシーの向上を目的とした各種研修(ライフプランや年金など)を実施しました。

将来ビジョン検討委員会における検討
本学は、経営ビジョン「我が国の理工系私学としてトップの社会的評価を得る」に向けたブランディング戦略および学生満足度Nо.1を目指すことを目標としています。そのため本学の発展構想及び各キャンパスの価値最大化などにより経営資源の活用を図り、将来構想(将来ビジョン)を検討することを目的に2020年9月から「将来ビジョン検討委員会」を設置しテーマごとに検討を進めています。2023年度は「学部生1万人、大学院生2,500人を目指し名実共に理工系のトップランナーになる」ための検討内容をテーマに検討をおこないました。最終的には創立100周年を迎える2027年には「アジア工科系大学トップ10」と「学生満足度Nо.1」の社会的評価を得るとともに盤石な財務基盤の確立を目標としています。

芝浦工業大学柏中学高等学校再編計画に向けた検討
開校43年を迎えた芝浦工業大学柏中学高等学校は建物や設備が老朽化しています。2029年の創立50周年に向け2022年度に基本計画が纏まったことを受け、基本設計を進めるために2023年度は柏中高建設検討委員会にて議論を進めました。SDGsの観点から既存校舎の一部リニューアルも含め、新時代の人材育成にマッチした魅力ある校舎の建設を目指します。また同時に関係各部署と共に行政との協議を行っていきます。   

芝浦工業大学熱海セミナーハウス

日本屈指の温泉リゾート都市である静岡県熱海市に、芝浦工業大学熱海セミナーハウスを2024年3月22日オープンしました。これは高杖セミナーハウス閉鎖後、学生・生徒教職員、卒業生からの新たなセミナーハウス新設の要望に応え、創立100周年事業の一環として整備されたものです。熱海駅徒歩5分で眺望は良く、海の香りを感じられる好立地の場所に建てられています。学生・生徒教職員、卒業生の学びの場、コミュニケーションの場としてはもちろん、温泉での癒しやBBQを楽しむ等、リフレッシュの場としても多種多様の活用が期待されます。


■ 有元史郎MEMORIAL CORNER
芝浦工業大学は1927年に有元史郎によって東京高等工商学校として創立されました。有元史郎は「実学を通じて真理を探求できる技術者、高い倫理観と豊かな見識を持った技術者、自主・独立の精神をもって精微を極めることのできる技術者の育成」を掲げて、社会に貢献できる技術者の育成を目指しました。
2027年に本学創立100周年を迎えることを機に、芝浦工業大学の歩みを紹介し、未来へつなげることを目的に、2024年1月29日に有元史郎MEMORIAL CORNERを豊洲キャンパス有元史郎記念校友会館内に設置しました。内部は有元史郎生誕から現在までの歴史を動画で紹介したシアターと歴史年表、アーカイブギャラリー、オリジナルグッツショップなど芝浦工業大学の歴史を写真と資料で紹介しています。

■ 大学オリジナルマスコットキャラクター
2023年11月2日の芝浦工業大学創立記念式典にてテクしばくんの大学公式マスコットキャラクター任命式が行われました。テクしばくんは2023年7月に工学部マスコットキャラクターとなっていましたが、イベント等で学生・教職員をはじめ多くの方々からも人気が高まり、大学公式マスコットキャラクターへの昇格となりました。テクしばくん関係グッズの展開と同時に、今後大学の様々なイベントに登場することになります。

■ 100周年ロゴマーク、スローガン
芝浦工業大学は100周年を迎える2027年にアジア工科系大学のトップ10に入るという目標を設定しました。理工学の可能性を追求し続ける芝浦工業大学では、100周年は通過点と捉えています。「常に前進する文化の醸成」をモットーに教員と職員と学生が協同で前進していくために周年ロゴマークを定め「世界に学び、世界に貢献する」をスローガンとしました。

■ 地域に開かれた豊洲キャンパス
芝浦工業大学豊洲キャンパス

① フラワーガーデン
大階段に整備したフラワーガーデンは、四季折々の花を楽しめるよう年4回季節ごとの植え替えをしています。一年草や多年草を季節ごとに工夫を凝らして配置し、教員、職員、学生によるフラワーガーデンプロジェクトメンバーにより日常の花の管理や造園デザインを実施しました。また、植え替え時には学生教職員、近隣保育園、地域住民向けに花配布会を実施しました。

② シバウラキッズパーク
研究棟のトップステージを再構築した約1,400㎡の遊び場は2023年度も近隣の保育園児や児童が自由に遊ぶ場として公開されています。シバウラキッズパークでは学生がデザインした装飾や新たな遊具の追加、こいのぼりや七夕イベント、クリスマスツリー前でサンタクロースによるプレゼント配布等、季節ごとのイベントを実施しました。

レストラン・カフェ
本部棟1階には、世界的建築家である坂 茂氏(坂茂建築設計)設計による特徴的なデザインのカフェとレストランを2022年9月にオープンしました。カフェは、日本の「セガフレード・ザネッティ」初の大学キャンパス内オープンであるSIT Global Caffe empowered by Segafredoです。レストランは、1971年に銀座で創業した老舗の洋食店である銀座シシリア豊洲店です。これらの店舗は、学生教職員、近隣就業者、近隣住民の憩いの場として新たな風景をキャンパス内にもたらしました。2023年度は近隣企業や地域住民向けの来店促進を実施し今では学生教職員に加え学外のお客様も多く来店され賑わいを見せています。

④ 有元史郎記念校友会館
2022年9月にオープンした有元史郎記念校友会館・交流プラザでは校友会事務局と多目的使用が可能な交流プラザ、有元史郎MEMORIAL CORNERを備え、卒業生同士または卒業生と在学生の交流の場所、地域交流・地域貢献の一環として、公開講座や多様なイベントが開催されています。2023年度建築展では「伊東豊雄の挑戦1971-1986」展を開催し多くの学内外の来場者を集めました。
 
■ 芝浦工業大学創立100周年記念事業「駅伝プロジェクト」
芝浦工業大学創立100周年に向けた記念事業の一環として、2018年度から始動した「駅伝プロジェクト」を2023年度も引き続き推進しました。我が国の国民的行事とも言える東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)を通じ本学の知名度、ブランド力を向上させるとともに文武両道の逞しい理工学人材輩出を目的としています。公募制推薦入学者選抜では、2023年4月には12人が入学し、駅伝部専用寮である白亜寮に入寮、勉学と練習の両立に励みました。第100回東京箱根間往復大学駅伝競走予選会では、芝浦工業大学チームとして23位を記録しました。記念大会のため本選での関東学生連合チームは結成されませんでしたが、第55回全日本大学駅伝対校選手権大会に橋本章央さんが本学として初めて選出され、1区(名古屋市熱田区~名古屋市港区9.5km)を27分46秒の区間14位で走りました。駅伝プロジェクトでは、創立100周年の2027年までにチームとしての箱根駅伝本戦出場を目指してまいります。   

2.盤石な財政基盤の確立

本学が永続的かつ健全性をもって発展するためには、盤石な財政基盤を堅持しつづけることが必要であり、その実現のため、中長期的な財政見通しを踏まえた計画的な財政運営に努めています。また目標とする財務指標として経常収支差額比率10%以上、積立率100%以上を掲げ、特に事務経費は厳格な管理を行い、施設設備整備計画は取捨選択、複数年計画とするなど、支出の抑制を図っております。
2023年度の収入面は大学院修士課程の学生数増があったものの、学部入学者数はシステム理工学部改組・定員増申請を控えているため、厳しい定員管理のもと全学部ともに定員超過をほぼ0%におさえた結果、事業収入は前年度比で減収となりましたが、国庫補助金では理工農系学部等の各種単価改定による増収や受託事業では国プロの高額契約数増による増収もあり収入全体では前年度比増となりました。支出面は諸物価の高騰、各種事業の本格稼働、豊洲本部棟減価償却費などで前年度比増となりました。
大宮キャンパス再整備工事が始まり、続いて柏中学高等学校の校舎整備等の大型投資も控えており、収支面の強化と内部留保の充実が課題となります。今後も外部資金の積極的な獲得や支出の抑制等を継続し、2022年度から開始した芝浦工大ビル(元芝浦キャンパス)での収益を下支えとしながら、盤石な財政基盤を確立してまいります。

3.教育研究改革

 
スーパーグローバル大学創成支援(SGU)事業の推進
芝浦工業大学は「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神として設立され、有為な人材を社会に送り出すことで高い評価を得ています。今現在では、その精神を踏まえ、社会の要請に応えるべく、教育理念を「世界に学び、世界に貢献するグローバル理工系人材の育成」と定め、2027年の創立100周年にも輝き続ける大学としての地位を維持し、更に前進するため、2023年度も学長のもと全学的な教職学協働による大学改革を展開しました。
2014年に採択されたスーパーグローバル大学創成支援(SGU)事業においても、芝浦工業大学は世界水準の工学教育を教職学協働で進めることを合言葉に、本事業の終了年度である2024年3月までにこの目標の完遂を目指し、2023年度も全学を挙げて推進しました。
SGU事業最終年度である2023年度においては、新型コロナウイルス感染拡大以前と同水準の学生を海外研修プログラムに参加させることを目標として活動した結果、渡航型プログラム1,263人とオンラインコース47人、計1,310人の学生が、無事に派遣プログラムに参加することができました。同様に、海外協定校の学生にも渡航型の授業履修プログラム(サンドウィッチプログラム)や研究指導プログラムを提供し、学部・大学院の留学生も含め1,923人(うち37人はオンライン)の学生が芝浦工業大学に留学しました。
2023年度は、イスラエルによるガザ地区攻撃、長引くロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安による海外渡航費の高騰という、留学には深刻なマイナス要因が重なりましたが、派遣についてはコロナによる影響が完全に無くなり、留学を控えていた学生へのサポートを行ったことでパンデミック前の実績となりました。受入についてはグローバルPBLのプログラム拡充によりパンデミック前を上回る結果を残し、SGU事業最終年度の2023年度を終えることができました。

研究活動の強化
芝浦工業大学は、創立100周年に向けたアクションプラン(Centennial SIT Action)の中で、「研究力強化」を掲げています。その具体化に向け、SIT総合研究所では2016年度に策定した「SIT研究ビジョン」を、2022年度に見直し改定を行い、研究活性化、公的研究資金の獲得、産学連携・社会実装の大項目に15のKPIを立て目標達成に向け取り組んでいます。
研究の「人材」「資金」「研究環境」の改善を一層押し進めた結果、2023年度は国プロ獲得額1.7億円増(1,500万円以上の大型案件が10件→16件 1.4億円増)、大学と企業による「共同研究講座制度」の新設による4講座の設置や「戦略的産学連携経費」を導入した結果、直接経費200万円以上の共同研究は20件から37件へと増加し、金額では1億円の増となりました。優れた研究者の育成・顕彰・研究環境の改善のため、創発研究フェロー制度の創設により3名の教員への称号付与を行いました。SIT総合研究所に「研究者支援センター」を新設し、所管する共通機器・ものづくりセンターとの一体的運営やベイエリア・オープンイノベーションセンターとの連携を通じて、多忙な教員に研究活動のワンストップサービスを提供しています。また、PI人件費制度、バイアウト制度、事務等補助員雇用制度等により、教員支援の充実を図っています。さらに、高度研究支援人材であるURA(University Research Administrator)の体制を見直し、100周年に向けて現在のURA2人体制から10人体制への拡充計画を決定し、従来の大型研究プロジェクトの伴走支援に加え本学の研究戦略の策定や施策の推進を通じて、研究ビジョンの実現に向け研究経営を抜本的に強化します。

ベイエリア・オープンイノベーションセンター
芝浦工業大学初となる研究力強化やベンチャー支援・創出のための拠点として2022年秋に誕生したベイエリア・オープンイノベーションセンター(通称BOiCE)での活動が本格化しました。主な施設は豊洲キャンパス本部棟10階の産学官民連携ラボ(ドライ系10部屋)とインキュベーションスクエアに用意されたコワーキングスペース、シェアオフィスで構成されています。2023年度は研究棟8階に物理・化学・生物系の実験が可能なウエット系の連携ラボ5部屋を追加で整備するなど、施設・設備を拡充しました。併せて大学の立地する江東区やさいたま市などの自治体や企業、金融機関、研究機関等が参画するSITオープンイノベーション協創ネットワークの運営、連携協定を通じたNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との起業家支援、GTIE(※)における大学発スタートアップ育成、中小企業基盤整備機構からのチーフインキュベーションマネージャー派遣受け入れなど、学外との協働も積極的に進めています。
また学生向けの取り組みとして、2022年度に整備されたスチューデント・ジョブ制度ISS(Innovation Student Staff)に加え、2023年度には学生の起業支援や、やり抜く力の涵養を目指すGRIT²(グリットスクエア)プログラムを創設しました。学生からの特許取得や資金調達、会社設立といった相談に対する伴走型支援や、独自のアントレプレナーシップに関する基礎講座・実践講座などの提供を開始しました。
※GTIE(Greater Tokyo Innovation Ecosystem)東京大学・東京工業大学・早稲田大学を主幹機関とした「世界を変える大学発スタートアップを育てる」地域プラットフォーム。首都圏の大学と地方公共団体、VC、CVC、アクセラレーター、民間企業などが結集し、Greater Tokyo(東京圏)におけるスタートアップ・エコシステムの形成を目指す。芝浦工業大学は共同機関として参加。

芝浦ビジネスモデルコンペティション
学生による新たなビジネスモデルの考案とその実現を支援する企画として芝浦工業大学が主催する芝浦ビジネスモデルコンペティション(通称SBMC)は、アントレプレナーシップ(企業家精神)に富む次世代のイノベーションリーダーを育成し、起業の促進や新規事業の創出を図ることで社会に貢献することを目的に2016年から開催されているピッチイベントです。第8回の開催となる2023年度は中高生や他大学の学生を含む72 チーム(対前年71%増)・288 名(80%増)の応募があり、9月に行われたファイナルステージでは選抜10チームが様々なビジネスモデルを発表しました。
また、2023年度からは文部科学省・科学技術振興機構のEDGE-PRIME Initiative事業の一環として、SBMCのノウハウを生かした高校生等を対象にしたアントレプレナーシップ教育プログラム「SBMC Junior」もスタート。11月には併設校・連携協定校と協働し代表生徒によるビジネスアイデア発表・交流会を実施しました。

ダイバーシティ推進
2013年度男女共同参画推進室設置以降、特に女性の少なさが社会的課題である工学分野における女性教員の採用、女子学生の増加に全学的に取り組んでいます。2023年度の女性比率は、女性教員19.2%(前年度19.1%)、学部学生19.8%(前年度19.1%)、大学院生17.9%(前年度17.2%、2023年度大学院進学率は男子45.1%、女子41.4%)となり順調に推移しておりますが、一方で国立大学での女性教員採用強化や国・私立理工系大学の選抜において女子枠の導入が増えており、危機感を持って更なる努力が必要です。また女性職員については42.2%(昨年度44.6%)となり、ここ数年減少傾向になっています。芝浦工業大学では、働きやすい学びやすい環境の整備やシンポジウム、ワークショップなど学生・教職員の意識向上を図るイベントを定期的に開催しています。全ての人がWell-beingを感じられる環境の実現を目指しています。

DX推進
芝浦工業大学内のDX化を一層推進し、理工学教育研究機能の強化やグローバル化の加速、教職学協働の活動など多岐にわたる改革を支援しました。教育のDX化施策としては、アフターコロナに対応した新たな授業形態に対応すべく、ハイブリッド授業やオンデマンド授業など、より効果的で学生の学びが向上する授業実施を支援しました。また、利用が一般化したLMSの機能をさらに強化し、ラーニングアナリティクス(LA)のための機能やコンピュータ ベースド テスティング(CBT)システムとも連携可能となり、教員の負担を軽減しつつ、個別最適な学びを進めました。
さらに、長年の懸案事項でもあった教員・職員間および職員・学生間のコミュニケーションを円滑に行うためのシステム統合を実現し、より密なコミュニケーション環境および情報共有環境を構築しました。
DX化を支える情報インフラの整備においては、3年間にわたる学内無線LAN設備の更新を完了し、全キャンパスでWiFi6に対応し、より高密度で安定した通信環境が提供できるようになりました。また7年ぶりとなる基幹データベースサーバーの更新を実施し、より大量な情報を高速に処理できるようになりました。証明書発行システムについても更新を行い、従来の学内発行に加え、全国のコンビニエンスストアでの学外発行、デジタルバッジやデジタル学修歴証明のクラウド上での発行に対応し、在学生だけでなく卒業生に対するサービスも大幅に向上しました。
法人全体のDX化としては、2024年度工学部課程制に向けた業務の煩雑化の改善を目的として、効率化およびDX化に向けたシステムを導入するとともに、教職員向けのワークショップを実施し、依頼物の一元管理を実現しました。次年度以降、全学に展開を予定しています。それ以外にもワークフローシステムの改善、会議室の簡易予約システムの開発など小さな改善を積み重ね、DX化を着実に推進しました。
情報システムは技術革新のスピードが非常に速いため、最新技術の動向を常にウォッチし、学内システムへの適切な提供を行う体制を整える必要があります。一方で、情報セキュリティの対策が重要な課題となっています。2022年度に制定した芝浦工業大学情報セキュリティ基本規程に基づき、マネジメント体制を強化するとともに、最新の脅威防御システムを導入し、外部からの攻撃に対して迅速かつ安全に対応できるようにしました。

 ■ 2028年度デザイン工学部改組計画
デザイン工学部は、更なる教育環境の充実・向上を図るため、カリキュラム改編による教育の強化や入学定員を160名から110名増やし270名とする計画を進めております。合わせて、現在大宮キャンパスで就学している1、2年生の就学地を豊洲キャンパスとし、1年から4年までがともに学べる都心一貫教育を行う予定です。この計画に伴い、2024年度から豊洲キャンパス本部棟の将来計画スペースである本部棟12階(2,153.72㎡)と13階(1,749.18㎡)の改修に着手するなど、2028年初頭までに諸施設を整備する計画を進め、学生や教員から満足度の高い教育研究環境整備を行います。
この2028年度デザイン工学部改組計画は、2023年6月7日開催、第23-05回理事会にて承認されております。

4.学生募集とキャリア支援

学生募集
学生募集(2024年度入試)においては、「より適切な入試方法による、より芝浦工業大学に適性を持つ学生の確保」を目的に掲げました。定量的な目標として、特別・推薦入試による入学者40%の確保、女子入学者比率の向上(100周年時に30%)、及び地方出身入学者率の向上(100周年時に25%)を掲げ、これらを達成するべく取り組みました。これらの目標達成に向け、入試広報媒体の作成やオープンキャンパスや大学説明会などのイベントを効果的に行うことを意識しました。特に、女子入学者数増加に向け、女子志願者を対象としたミニオープンキャンパス(女子座談会)やサマーインターンシップなどを精力的に実施しました。また、地方出身の入学者確保のため、各道府県の新進校や代表的な工業高校約40校を「特別指定校」と位置づけ、直接高校に出向いて優秀な生徒を推薦してもらえるよう依頼するなどの取り組みを行いました。
入試の実施及び合否の判定においては、厳格な定員管理を最優先し、綿密に且つ慎重に対応を進めた結果、定員1,851人(秋入学がある先進国際課程を除く)に対し入学者総数1,866人(入学超過率1.01)に収めることができました。特別・推薦入試による入学者数は780人となり、全入学者に占める割合はほぼ目標どおりの41.8%(前年は35.0%)となりました。一方で、一般入試における志願者総数(延べ人数)は35,384人で前年比96.4%の微減となりました。
女子学生獲得においては、前述の広報活動等における取り組みの成果が現れ、理工系女子特別入試による入学者72人(前年比114.3%)などを含む2024年度の女子入学者数は496人となり、全入学者に占める比率は26.6%(前年は21.2%)と大幅に増加しました。また、地方出身入学者においては、2023年度入学者から開始した地方出身者を対象とする「朝日に輝く奨学金」の広報に力を入れ、結果として、一都六県以外からの入学者比率は18.4%と、前年度の17.9%からわずかではありますが向上しました。なお、「朝日に輝く奨学金」に関しては、より優秀な地方出身入学者を増加させることを目的に、2025年度以降の入学者に対する選考方法や給付金額の見直しを行いました。
 
キャリア支援
芝浦工業大学は、創立100周年に向け、就職率の向上と有名企業400社への実就職率の向上を掲げています。2023年度においても就職率の向上と質の高い就職先の実現を目指し、個々の学生に合わせたキャリア支援を展開しました。就職率向上に向けて、相談窓口を早朝から夜間、日曜祝日も対応可能な体制を整え、ひとりでも多くの学生にアドバイスを行い、不安や悩み等の相談に応じました。また、2022年度に導入した企業や行政の人事採用経験者による「企業役員による人事カウンセリング」も継続実施しました。これらの取り組みが、多くの学生の内定獲得につながり、2024年3月卒の就職率は99.3%と、前年度比で0.4ポイント増加しました。2023年度の学生相談の利用件数は、対前年比約1割増の年間約10,000件(延べ人数)となりました。効果的なアドバイスを受けた学生が増え、就職率向上に寄与したと考えています。今後もこの取り組みを継続発展し、「真に納得できる就職」を実現するために個々の学生に寄り添った支援を行ってまいります。
質の高い就職先の実現については、有名企業400社への実就職率の向上を目指し、企業訪問も行い、採用実績の増加・維持、過去実績企業の復活、新規企業の開拓等に努めました。その結果、昨今の社会環境も相まって、2024年3月卒の有名企業400社への実就職率は36.0%となり、前年比3.2ポイント増加しました。また、2023年度には、有名企業400社などの優良企業の採用担当者等をお招きした「芝浦工業大学企業懇談会」を開催し、221社302名の採用担当者等の皆様にご参加いただきました。本学の人材育成やデザイン工学部原田曜平教授による講演を通じて、本学の魅力をアピールしながら、企業の採用状況などもお伺いし、交流を深めました。今後も参加企業との関係構築を継続し、有名企業400社実就職率増につなげていきます。また、芝浦工業大学校友会との連携による「卒業生企業役員によるパネルディスカッション」やOB・OGと接点を持ち仕事研究を行う「仕事研究フェア」、「合同企業説明会」など毎年恒例の重要イベントを開催しました。加えて芝浦工業大学独自の就職支援システム(CAST)もフル活用することで、学生への情報提供を的確かつ迅速に行いました。


ランキング

5.学生支援の充実強化

■ 学生生活支援
令和5(2023)年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置付けが「5類感染症」に変更になったことに伴い、2023年度の授業方針は教室も通常定員とし、研究室における研究指導、および実験・実習・演習科目は原則対面としました。ただし、芝浦工業大学はDX活用による教育方法の改善を推進しており、その趣旨に沿う授業の実施を検討した結果、対面授業と併せてオンライン授業も継続実施することとしました。オンライン授業は教室定員の制限に縛られず、異なるキャンパス所属の学生への開講が可能等、新しい教育方法の開発などの可能性を秘めています。
<2023年度に新たに整備した主な学生生活支援制度>
① 芝浦工業大学創立100周年記念芝浦ファミリー入学金減免の制定
2024年度より、入学される方の血縁者(親子・兄弟姉妹等2親等以内)が本法人の設置する学校に在籍していた、または在籍している場合、もしくは血縁者(親子・兄弟姉妹等2親等以内)が本法人の設置する学校に専任教職員として勤務していた、または勤務している場合は、入学金相当額(280,000円)を免除、すでに納入済みの場合は入学金相当額を返還する制度を制定しました。 
② 学生寮の寮費変更
2023年4月より、豊洲キャンパスに通学する学生向けに江戸川区西葛西に提携学生寮としてドーミー西葛西3(男子学生専用)とドーミー西葛西Lei(女子学生専用)を設置しましたが2024年4月より、より多くの地方学生に利用してもらえるようドーミー西葛西3、ドーミー西葛西Leiおよび東大宮学生寮の寮費を国際学生寮に合わせ35,000円とし、差額および入寮費・年間管理費は芝浦工業大学が負担することにしました。

■ 課外活動支援
<芝浦工業大学2023年度課外活動奨励金表彰団体および主な成績>
自動車部
全関東学生ジムカーナ選手権大会(女子団体の部)優勝
全関東学生ジムカーナ選手権大会(男子団体の部)4位
機械工学科4年 木村颯希さん:全関東学生ジムカーナ選手権大会(女子個人の部)優勝
硬式庭球部
関東大学テニスリーグ男子6部準優勝(5部昇格)
関東理工系大学硬式庭球連盟団体リーグ(1部昇格)
機械機能工学科2年 矢﨑英資さん:関東理工系大学硬式庭球連盟(男子シングルス)優勝
                      関東理工系大学硬式庭球連盟(男子ダブルス)優勝
機械機能工学科2年 佐藤壮さん :関東理工系大学硬式庭球連盟(男子シングルス)準優勝
                      関東理工系大学硬式庭球連盟(男子ダブルス)優勝
機械機能工学科2年 布川遼さん :関東理工系大学硬式庭球連盟(男子シングルス)3位
ゴルフ部
関東大学秋季Fブロック対抗戦準優勝(Eブロック昇格)
デザイン工学科3年 國澤怜能さん:関東大学秋季Fブロック対抗戦最優秀選手
柔道部
東京学生柔道優勝大会(女子団体3人制の部)3位
サッカー部
機械工学科4年 土居孝高さん:日本サッカー協会2級審判員資格取得


6.併設校との中高大連携強化と理系女子の育成

■ 併設校の強化
少子化が進む中で、設立の理念を持つ私立中高ならではの独自性を明確に打ち出しながら、社会情勢の変化や価値観の多様化に対応できる学校作り、校務運営に努めています。
芝浦工業大学附属中学高等学校では先進的なSTEAM教育と大学との連携教育である「工学わくわく講座」「ロボット講座」「ものつくり講座」を中学で推進し、芝浦工業大学柏中学高等学校ではSSHの実践と進学校としての高い評価を強みとして高大連携を進めました。また、きょうだい校である両校は互いに連携しながら、新しい教育観を見据え、激動の時代に対応した学校づくりを進めてきました。
また、両校をあげて芝浦ブランドのさらなるアップを目指し、地域の期待にも応えた教育力の向上と魅力ある学校風土の醸成に努めています。校内においては教員の働き方改革推進を継続させ、DX化も図りながら労働環境の整備や待遇の改善を進め、魅力ある職場づくりを目指します。

■ 芝浦工業大学附属中学高等学校
2017年の豊洲移転を機に、ICT教育による学習指導を基本に据えました。2年後から全校生徒が2in1(セパレート型)ノートパソコンを所有し、教育環境を充実させています。単にプロジェクター、パソコン、アプリを使った授業をするのではなく、どう使えば生徒が学びやすいか、学力が伸びるかを研究し、常に効果的な方法を考え授業を行うことで、その成果は生徒の成績向上につながっています。
3年目を迎えた探究型授業「SHIBAURA探究」では、GC(グローバルコミュニケーション)とIT(インフォメーションテクノロジー)の2つの探究を同時に進め、2024年2月の探究DAYでは中学3年生が保護者や全国からの教育関係者に3年間の成果を発表しました。また、ChatGPTを生徒に活用させるため本格的に指導方法の検討をしてきました。さらに横断型授業展開の強化、選択科目の情報Ⅱ演習の充実を図るため、情報、数学等を重視するカリキュラムを実施するとともに、ICTを活用した分離横断的・探究的な学びを強化する学校などに対して環境整備費用を支援する「高等学校DX化加速化推進事業(DXハイスクール)」に補助金申請し認可されました。

■ 芝浦工業大学柏中学高等学校
文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)第Ⅱ期経過措置校として第Ⅲ期指定を目指した2023年度は、アフターコロナの時代を踏まえ本格的に行事を再開させるとともに、中高大連携のさらなる深化を図りました。高大連携では前年度に引き続きシステム理工学部に課題探究学習でのコーチ役をお願いしたほか、併設校推薦を強く希望する高校3年の生徒5人が芝浦工業大学の講義への出席、各学部の研究室での課題探究活動を進めました。また、10月に金沢工業大学、11月に千葉大学と高大連携協定を結びました。このほか、8月に探究フォーラムを開催し、全国の教育関係者約200人が集い探究学習における知見を深めました。
国際交流にも力を注ぎ、8月にはさくらサイエンスプログラムを利用して来日したインドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ラオスの5か国の高校生と引率者、総勢112人を受け入れ、生徒たちと交流し、日本文化を体験してもらいました。連携協定を結んでいるベトナム・FPT高校の生徒たちとは、2月に開催したSSH探究発表会に合わせて来日し共同研究の成果を披露するなど交流を深めました。

■ 実践女子学園中学校高等学校・実践女子大学との教育連携協定
芝浦工業大学は、2023年12月に実践女子学園中学校高等学校、及び実践女子大学と教育連携協定を締結しました。この教育連携協定の下で実施する探究活動を通じて女子生徒の理工系分野へ進学する意欲を喚起することを企図しています。今後、芝浦工業大学女子学生による分野別の学びの説明会、高等学校教員を対象とした研究室見学、生徒が希望する研究室でのサマーインターンシップ、またインターンシップを利用した特別推薦入学などを通じて、探究型学習を深化させていく予定です。

7.キャンパスや諸設備の整備

■ 大宮キャンパス工事計画
長年にわたり計画されてきたO-CAMP2027が、システム理工学部の課程制移行に合わせ本格的に進められています。新施設計画に沿い2024年2月26日の地鎮祭挙行後、3月に着工いたしました。この建物は、地上7階建て、延べ床面積21,720㎡のRC造で、体育館、地域健康増進センター、ラーニングコモンズ、研究室、実験室等を配し、ZEB Readyを達成した環境に優しい建物となっています。2026年4月より供用開始の予定です。

■ 2023年度新設の主な施設設備
①    大宮キャンパス:森の復興
O-CAMP2027の一つである4号館前の森の復興工事が2023年1月に着工しました。この工事は、ナラ枯れによる木々の損傷が激しいことから、雑木林を整備したものです。ナラ枯れの木を伐採し園路・デッキを設け、エリア一帯を芝生化し、2023年9月に完成しました。
 
②    豊洲キャンパス:改修工事
2022年度完成したテクノプラザⅢに続き、教室棟1FにテクノプラザⅣを新設しました。また有元史郎MEMORIAL CORNER設置のため校友会館の校友会事務所を移転しました。この他に損傷の激しい教室棟RFの床デッキの貼り替えや交流棟大講義室の投射スクリーンの交換等を行いました。

■ 2023年度の主な施設設備の維持管理
①    豊洲キャンパス空調設備更新工事
2023年度はサーバー室の空調機器の更新を行いました。
②    大宮キャンパス脱炭素先行地域の対応
省エネ対策として、2号館・5号館の照明をLEDに、2号館・5号館・6号館の屋上に太陽光発電設備を設置しました。
③    柏中学高等学校高校棟GHP室内機更新工事
高校棟に設置されたガス空調機の室内機の劣化が顕著で、古い機器の為交換部品の残数も限られてきました。室内機を交換する事で、空調設備の保全につなげます

8.リスクマネジメント体制の強化

 
芝浦工業大学では2011年の東日本大震災直後に、大地震などの自然災害に対する備えと、災害後の復旧計画立案のために「危機管理室」を設置しました。以降、「災害危機管理基本計画書」「災害対策本部運営要領」の策定を行い、2019年度には、リスクマネジメントにおける大きな目標であった「事業継続計画(BCP)」をとりまとめ、具体的運用に至った経緯があります。2019年から2022年まで、新型コロナウイルスの世界的拡大がありましたが、教学部門のDXを活用した新たな教育方法の構築や、テレワーク等の遠隔業務の環境整備、及びいち早いワクチンの学内接種をはじめとする、学生・教職員健康相談室との連携により、パンデミック発生を回避することができました。現在はコロナ5類移行を経て、コロナ前同様に活発な学校活動が再開されています。2022年9月より「大宮」「豊洲」の2キャンパス体制になり、「芝浦」にあった法人本部が豊洲に戻ったことに対応した「災害危機管理基本計画書」「災害対策本部運営要領」の改定を行いました。改定後は教職員への周知、運営要領マニュアルの配布を完了しました。2024年に入り、各地での地震が頻発する中、危機感をもって災害備蓄品の整備や訓練などを引き続き実施します。

9.地域貢献・社会貢献

芝浦工業大学は地域と共にある大学として、これまで進めてきた地域や自治体と連携した教育・研究・社会貢献を一層進め、地域社会、また産学官連携の中核的存在となるよう取り組んでいます。2023年度は、コロナ禍により規模を縮小していた「船カフェ」や「豊洲水彩まつり」などの地域の方々や自治体と共に開催するイベントや、豊洲キャンパス近隣企業と協業したまちづくり活性化イベントを、本格的に再開しました。2023年度に初めて開催した小学生豊洲絵画コンクールには近隣小学校の児童を中心に約600点の応募があり、優秀作品約300点を交流プラザで展示、多くの来場者を集めました。芝浦工業大学における公開講座は、まさに「社会貢献」・「地域貢献」の役割を担っています。芝浦工業大学が持てる専門知識を広く社会・地域に還元することで、地域で生活する方々のQOL向上に貢献しています。芝浦工業大学のアウトリーチ活動としての講座や、幅広い年代層を対象とした「芝浦工業大学らしさ」を強調した公開講座を積極的に展開し、2023年度においては、計35講座を開講し、986人の方々に参加いただきました。特に子ども向け講座については、子どもの「ものづくり」に対する興味・感心を喚起し、未来の理工系人材を育成することを目標とした講座の拡充を図りました。この他、豊洲みらいプロジェクト、近隣小中学校への出張授業、みなと区民大学および子ども大学など自治体との共同講座も実施しました。
これらに加えて、国が推進する社会人のためのリカレント教育として、2022年度から開始した履修証明プログラムの拡充に教学部門と協働して取り組むとともに、高校生の科学への探究心育成及び啓蒙を目的として大阪公立大学より事業継承した高校化学グランドコンテストを芝浦工業大学の主催として初めて開催しました。全国から一次選考を通過した80校が参加し、熱気に満ちたコンテストとなりました。大宮キャンパスでは、さいたま市、埼玉大学および東京電力パワーグリッド株式会社埼玉総支社と芝浦工業大学が連携し、「脱炭素先行地域」事業に選定されたことを機に、地域の魅力と質を向上させ、地方創生に資する地域脱炭素活動の取り組みを開始します。さらに、システム理工学部の学部再編とキャンパスマスタープラン実行に伴い、さいたま市とスポーツ健康分野を中心とした地域連携を検討してまいります。