起業家マインドに必要な
技術よりも大切なモノとは

吉藤オリィ社長×山田学長

企業を目指す学生に向けて

 
山田学長
山田学長
オリイさんの想いの強さがあり、自然に組織ができるっていう

ご本人がそれを望んで作り上げてきたというよりは、想いが現実化する中で、
自然に会社、組織が出来上がってきた
という感じなんですね
山田学長_001
オリィ
吉藤オリィ
社長
私はそう思っています
自分の意思で決定してきたことって、実はあんまりなくて
だけど自分の中ではこれをやりたいという確固たる意志はある

ただ、自分で選択してきたというよりは、出会った人の憧れによって突き動かされてきたっていう方が正しい気がしています
オリィ
吉藤オリィ
社長
人と会うことによって人生が作られる
結果的にそのうちの一つが私の場合はその起業というものも結果的な一つだと思うんですけれど、
だとすると、どう人と出会うか

重要なことは関係性だと思うんですね
オリィ社長_001
山田学長
山田学長
本学で芝浦ビジネスモデルコンペティションという、学生さんに「こんなことで社会に貢献したい」というアイディアがあれば、
それを持って起業するのを想定して、いろいろ提案してくださいという企画があるんですが、
やはり起業するというのも一つの目的になっているんです

「こんなことをしたい」という強い想い、プラス、「起業したい」という別の想いがあるんですが、
今お話を伺っていると、オリイさんの話しっていうのは、自分の想いを現実にしたいっていうところがすごく大きくて、
起業するという部分が、そこに自然に付いてきたっていう
SBMC
オリィ
吉藤オリィ
社長
そうですね、私がやりたいことは「孤独を解消する方法を見つけて実装する」っていうことだけなんですよ
それ以外は目的にしないようにしている
んですよね

私は「目的にしない方が、うまくいくこともあるんじゃないだろうか」って思っています

「夢を持つ」っていう言葉がありますけど、手段を夢にしない方がいいと思っています
(私は)孤独が解消できたら良くて、ロボットも手段だと思いますし、
起業も数あるさまざまなやり方の中の手段として考えた方が良いのでは、って

大学選びもそうですし、様々なこと(手段)を一つ一つ、目の前の目標っていう風に考えるよりも(、そうしないほうがいい)

人生って短かったりして、いつ死ぬか分からないので
たぶん人生の中で成し遂げられること一つぐらいだと私は思っているんです


でも、孤独を解消することのっていうのを一つ持っておくと、その中に会社というものとか、
起業っていうものがうまく機能するのではないだろうか、と思っています
山田学長
山田学長
いやぁそうか、起業というのが一つの手段なんですね
(オリィさんの話を)聞いていると、格好良すぎです
オリィ
吉藤オリィ
社長
いやいや
出会いを目的とした懇親会よりも、出会いを目的としていない、
ふらっと出会った時の出会いの方が、質がいい気がしませんか

っていうのが分かりますか?
山田学長
山田学長
オリィさんは極めて自然体で、何かの目的があって、無理にそこに傾けているのではなくて、
自分のやりたい事というのを芯に持っていて、自然に生きている中で起業もついてきている

なかなかそこまで自分の強い想いを持って、そこに向かっている方ってなかなかいないのかな、と

確固たる自分と、自分の想いを持つことの大切さみたいなものを感じました
対談_2人
オリィ
吉藤オリィ
社長
ありがとうございます。でも、私は確固たる意志を持って生まれてきたわけでは全然なくて
元々引きこもりですしね

これも人との出会いと自分の中で「それいいな」っていう憧れによって、そうなったっていうタイミングがあったんですね

ISEFという世界75国の高校生が集まってきて研究を発表するっていう、
高校生にしては世界最大の科学のオリンピックと言われるものが毎年5月にアメリカで行われていて、
そこに行った時に、日本ではそんなこと言う人いなかったんですけど、
海外の高校生が「俺がやっているこの研究は、俺の生きる意味そのものなんだ。俺はこの研究をするためにこの世に生を受けたんだ」と
オリィ
吉藤オリィ
社長
その後、色んな先生たちのところで研究していって、次は後輩を育てながらこの研究をし続け、
死んでいって、次の人にバトンを渡すんだみたいな感じのことをですね、
すみません若干言い方は違うかもしれませんけど、そういう話をしている高校生と会ったんですよ

で、こんな喋り方をする日本人って、日本の大会でも出会ったことがなかったんですね
その時になんか生きる理由というものが、高校生のうちから設定されていて、俺はこのために生まれてきたっていうような
オリィ
吉藤オリィ
社長
「いや、それ勘違いだよ」って言いたくなる気持ちもあるんだけれども、
でもそう言い切れてる人ってなんかいいなと
思ったんですよね

それに対して憧れを持ったというよりも、私は不登校だったんで、生きる理由がもはやなくなって、
何か死なない理由を探していた
時期だったんですよ
オリィ
吉藤オリィ
社長
学校に行っても意図的にバルコニーとかに近づかないようにしたんですよね、飛び降りたくなるか
どうやったら自分で死なないんだろうということを本気で考えていた時に、
その世界の高校生が「俺はこのために生きている」っていう、
死なないための理由を持っている人と出会って、
何かそれに対して「それ便利だな」って
思ったんですね
オリィ
吉藤オリィ
社長
車椅子の研究でその世界大会にいったんで、と思った時に、
死ぬまで車椅子を作り続けることは何か違う気がして
日本に帰ってきて、めちゃくちゃこう悩みまくった高校3年生の時期があって
オリィ
吉藤オリィ
社長
私は本気で何がしたいんだろうと思った時に、自分が過去に感じた「死にたい」という、
「辛かった居場所がどこにもなかった孤独感は私だけの問題じゃないんだ」ってことを初めて知る


インターネットというものによって、世界中の情報が入ってくることで、(自分だけじゃなくて)孤独という問題は、
これから必ず大きな問題になる、高齢者も増えている
オリィ
吉藤オリィ
社長
学校に行けない子供もたくさんいるし、引きこもりもたくさんいる
「じゃあどうすれば孤独にならずに生きていけるのか」ってことを考えた
そのためのツールを作ることであれば、「私は残りの人生全て捧げてこのために生きていると言ってもいいな」って思えたんですよね

それを思ったというか、自分で決めたんですよ
オリィ
吉藤オリィ
社長
それを決めようと思ったのは、世界の高校生との出会いとその考えに対する憧れだったんですね
だから、きっと人は人によって考えも変わっていくし、成長していくと思っていて

リアルで大学で学校で出会うのって、数学とか国語の勉強をするために行くんじゃなくて、
その間の休み時間でたまたまそこにいた人たちと会話することで、関係性が生まれ、
たまたま担任だった先生と関係性が生まれて、
ただの一過性のものではなくて、その後にも続くものというものが生まれてきて

だから我々は関係性の中で自分を作っているし、きっと相手も作っていると考えると、
どういう人たちと関係性を築くかというようなところこそ、実は学校という物質的なところの最大の価値であり、
今まだメタバース世界では実現できていないリアルということだと思います
オリィ
吉藤オリィ
社長
コロナによって多く恐らく失われたであろう、人と意味もなく会って焼肉を食いながら、
そこから「それいいじゃん」ということからの閃きによって何かが生まれていく、
っていう時間を我々はロスしたわけで

そういったものをこれからどう取り返していくのか
オリィ
吉藤オリィ
社長
そういった人たちとの出会いって、これからはメタバースなのかもしれないし、リアルの場所なのかもしれませんけど、
いろんな人たちと関係性をつくりながら、しかも老若男女、海外関係なく、平等に友達作りながら、
「こういう人みたいな生き方もありだな」とか、憧れを持つことができれば

起業家に憧れる人も、何か楽しい起業家に会えば、命かけてる格好いい人たちと出会えれば、
そういう方向に進む人もいるのかなって感じます
山田学長
山田学長
学生さんを見ていると、年も離れてきたので向こうも話しづらいのかもしれませんが、
そういう強い想いを聞く機会があまりないんですね

先ほどすごくいいなと思って聞いていたのが、やはり起業というのは一つの手段ということ
自分の思いを実現するための手段ですから、まずは想いを持って
そういう中で(芝浦工大が)企画しているようなSBMC(芝浦ビジネスモデルコンペティション)に応募してもらえると嬉しいなって思います
山田学長_002
オリィ
吉藤オリィ
社長
私たちも「夢を持て」と言われて持てるわけじゃなくて、
でも頑張っているスポーツ選手だったり、格好いい芸人でもYOUTUBERでもいいんですけど、
憧れがあることで、私たちって前に進んでいけるんだと思っています
オリィ
吉藤オリィ
社長
年が離れれば離れるほど遊びにくくなるんですけど、でもメタバース世界って全然遊んでいるわけで

単純に第一印象だけの違いだったりするんだけど、その辺がもう少し開放されてくると、
老若男女平等社会というか、見た目にとらわれない関係性ができてくる気がしていて

そうすると、「この人みたいになりたいな」っていう憧れをもっと広く持つことができて、
より身近な存在と感じることができれば、何かそこに対して「夢」とは思わないかもしれないけど、
「やりたいこと」というものが、より近づくかもしれなくて
オリィ社長_003jpg
山田学長
山田学長
今のお話を伺っていると、やはり人と出会うことで、心が揺さぶられることになる
そういうものに対して、もう少し自分を正面から見て、「何に心を揺さぶられたのか」ということを考えていく中で、
自分もやりたいことが出てくる
のかなと思います
オリィ
吉藤オリィ
社長
そうですね
きっとリアルの場所で会ったほうが、そういうものを見つけやすいと私は思っているので

大学も、これからの方々はうまく利用して(ほしい)

リアルに行く場所があるということって、一つのやはり大きな価値だと思うんですよね
だから、授業をどう受けるかってだけじゃなくて、大学以外の先生含めて、いろんな先生に会いに行って(ほしい)
オリィ
吉藤オリィ
社長
そういう先生たちとの関係づくりで、見えてくるものがすごくあると思う
そんな風にさまざまな場を利用していただければ、と

(我々)年寄りはみんな、若い人との交流を求めてますんで
私も含めて、そこはうまく利用というか、うまく話し合いかけに行くと、失礼どころか喜んでくれると思うので
その辺は(若い人たちは)意識されたらいいんじゃないか、と思います
山田学長
山田学長
そうですね、多分そういう中から自分が心が動かされた、動かせるものがあって、
何がしたいかというのが見えてきて、それについて「実現しよう」と思う中で、
起業というものがついてくるっていう考え方ですね
オリィ
吉藤オリィ
社長
ぜひ、山田先生も今度一緒に遊びに行きましょう
山田学長
山田学長
ぜひよろしくお願いします
山田学長
山田学長
今日のテーマの一つに「アントレプレナーシップ」というものがあり、
今、起業家精神を醸成する教育が大切だと言われています

学生を見ていく中である先生がおっしゃっていたんですが、その中にやはりダイバーシティーがある、と
今オリイさんの話を伺っていると、やはりいろいろな出会いが、自分の生き方に影響を及ぼす、と
結構学生さんを見ていると、自分といつも話せる仲間に閉じ籠り気味になってしまっているな、と
山田学長
山田学長
学生さんの世界を(自分たちで)狭めているんですね
我々としてはやはり、いろいろな意見が交差する中で、新しいもの、新しい価値を感じることができると思っていまして
例えば外国人の方もそうですし、今工業系の大学ですと女性の学生が少ないので、そういうものを増やそうとしたり、
(大学として)いろいろな機会を提供する、いろいろな人との出会いを提供したい、という思いがあるんです
オリィ
吉藤オリィ
社長
そうですね。本当に私もそう思います
多分、江戸時代の人たちにからすると、外国の人と話すことってきっと恐かっただろうし、得体が知れなかったと思う
男子校の我々は女性と話すことにすごく怖さを覚えたりとかっていうふうな

つまり「慣れてないから怖い」っていうのは結構あると思っている
今の時代、共学であったりとか、外国の留学生がいたりとかだけじゃなくて、
寝たきりの人たちも普通に学校のクラスメートにいるっていうことによって、
理解できることってめちゃくちゃあると思っていて
オリィ
吉藤オリィ
社長
そういう意味では、我々は今、極めて多様な時代を生きているので、
さまざまな方と会えるというのはすごい価値になると私もすごく感じます

ロボットで通う生徒がいたりして、「車椅子とか寝たきりの人たちは、何を考えているのか」とか、
「これ聞いちゃうと失礼にならないかな?」とか、
みんな恐れたりするんですけど、全然そうじゃないので


我々もOriHime 作ってますんで、何かそういう時代になっていけばいいなと感じます
ダイバーシティという言葉は言われ続けて長いですけど、
まだまだ全然実現できてなくて、廃れないキーワードである
と思っています
山田学長
山田学長
無理にでも一歩前に踏み出して、人とのコミュニケーションを取ってもらいたいと思っています
自分のいつも慣れ親しんでいる近くの人達だけではなくて、
もっと違う人たちとの出会いを仕掛けてあげるということが、我々の仕事なのかなと思います
オリィ
吉藤オリィ
社長
ぜひ仕掛けてほしいです
私自分から話しかけに行けないタイプなので
でもアイスブレーカーやファシリテーターとして入る人がいることによって、
「一緒に何かやりましょう」とか、全く違うタイプの人とコミュニケーションするってことは全然あります
山田学長
山田学長
私のオリイさんとの出会いは、私の後輩に色々おせっかいなことをやってくれる素晴らしい方がいたので、
その方を通じて講演を聞く機会があった
今回もその方を通じてオリイさんに声をかけさせていただいた

そういう出会いを学生さんが持ってもらえるように努力していきたいなと思います
オリィ
吉藤オリィ
社長
我々もどんどんお節介になるべきですね

最後に

山田学長
山田学長
本日は本当にありがとうございました
ちょっと、自分が生きてきて恥ずかしいなと思うぐらい
お腹がいっぱいになるような、本当に感動させていただきました

10年前(出会った時)に味わった感激が、今10年経って聞いてもまた同じ感激を味わえたというのは、
本当に嬉しく思います
また、今後ともぜひよろしくお願いします
オリィ
吉藤オリィ
社長
ぜひぜひ。ありがとうございます
10年前にお会いしたことを覚えてくださっているってのは凄いありがたいな、と

私、人のことを覚えられないタイプなんですけれど、覚えていただけることが凄いありがたいな、と
本当にご縁というか、そういう人との出会いによって、今の私ができてきたと思っているし
オリィ
吉藤オリィ
社長
人との出会いによって人生が作れるのであれば、
次の世代にバトンを渡す方法の一つとして、我々も出会っていきたいし、
何か出会える場というものを作っていきたいなと感じております
山田学長
山田学長
またこの出会いをきっかけに、オリイさんと色々一緒にやっていければと思います
オリィ
吉藤オリィ
社長
こちらこそ
山田学長
山田学長
よろしくお願いします
オリィ
吉藤オリィ
社長
はい、ありがとうございます。よろしくお願いします
オリィ社長_山田学長
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