社会システム科学研究センター

近年、我が国の社会は、世界に先駆けた少子高齢化、環境問題に由来する自然災害の甚大化、長期低迷する経済・産業活動、国家間のパワーバランスの変化に伴う国際関係の複雑化など、文明史的な大変革期の中にあり、様々なレベルの社会的な諸課題が山積している。
一方、人工知能、IPS細胞、新素材・エネルギー、IoT技術など、多くの革新的な科学技術が生まれつつあり、諸課題の解決の切り札として期待されている。そして、複雑な社会の諸課題の解決は、従来の専門領域における知識・手法だけでは解決が難しいことが多く、革新的技術を活用した分野横断的な取り組みの必要性が長く叫ばれてきた。この難しさの根源には、社会の諸課題の因果構造の複雑化がある。

ところが近年、計算能力の向上を背景にデータサイエンス・シミュレーション技術が飛躍的に発展し、この根源的課題に挑戦しうる具体的な筋道が見え初めてきた。すなわち、
  1. 大規模データとデータサイエンスによる現象(因果)の理解
  2. 因果を組み込んだモデルの構成と未来の予測
  3. モデルのシミュレーションによる未来のシナリオの作成・政策提言
  4. 必要に応じてハードウェアを用いたデータ収集
以上の考え方から、本学の関連する研究者、特に若手の研究者を中心に、社会システム科学分野の研究をリードする拠点を構築し、分野横断的な社会課題の解決を目指す。

なお、従来の社会科学は現象の理解に注力し課題解決の志向性に欠ける。また、創世記における社会システム科学の領域において、一定の成果をこれまでに挙げてきた研究者がアドバイザとして参画することで、次世代の社会システム科学者の育成も行う。
社会システム科学研究センター
図1 社会システム科学研究センターの研究活動イメージ

センター代表者

市川 学 教授(システム理工学部 環境システム学科)


対象分野

  • 防災 自治体(都道府県、保健所、市区町村)・医療機関の防災訓練支援など
  • 保健・医療・福祉 地域の医療・保健・福祉需要、地域包括ケアに関係した分析など
  • 都市計画・土地利用 土地利用転換、施設の統廃合による住民サービスの提供の変化分析など
  • マーケティング・ビジネスモデル 医療機関来院者予測(レセプトの解析)・中小企業支援(顧客データ分析)
  • 行政計画・地域振興 防災時互助ネットワーク形成
  • 制度設計 病院シフト勤務設計(働き方改革)