栗原 健輔 さんが軽金属学会で令和4年度軽金属論文新人賞を受賞

2023/03/20
  • 材料工学専攻

【受賞者】
栗原 健輔 さん(材料工学専攻2年)

【指導教員】
芹澤 愛 教授(材料工学科)

【学会名】
軽金属学会

【賞名】
令和4年度軽金属論文新人賞

【発表題目】
Al-Mg-Si系合金におけるナノクラスタの形成に対する溶質原子と空孔の局所的結合の影響
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【研究の目的】
アルミニウム(以下Al)にマグネシウム(以下Mg)およびケイ素(以下Si)を添加したAl-Mg-Si合金は、耐食性と強度に優れていることから、主に自動車用ボディーシートに用いられています。
本合金の特徴として、熱処理を行う前に室温で保管すると、熱処理を行った後の強度が保管しない場合と比較して低下してしまうことが知られており、これは保管中の温度によって形成されるナノクラスタ(微小な溶質原子*の集合体)が異なるためであると考えられています。
しかし、合金を保管する温度によってナノクラスタがどのように異なるかは明確になっておらず、熱処理後の強度低下の原因を明らかにするためにもこのナノクラスタについて詳細に解明することが求められています。
*溶質原子:合金中に溶けている原子

【研究内容】
第一原理計算*を用いてAl中でのMg、Si、原子空孔の間の相互作用、およびナノクラスタの安定性を評価したところ、MgとSi、およびSiと空孔は強い結合を形成し、これらの結合を多く含むナノクラスタは高い安定性を持つ傾向があることがわかりました。
*第一原理計算:系の電子状態を計算し、系のエネルギーと電荷密度を得る手法。得られた系のエネルギーと電荷密度から、原子間の結合の強さなど様々な物性を算出できる。
 
【今後の展望】
本研究から、溶質原子および空孔間の結合がナノクラスタの安定性に対して影響を与えていることが示唆され、実験的に観察されたナノクラスタの構造について考察する上での根拠となることが期待されます。
将来的にはナノクラスタの温度ごとの違いと、なぜそのような違いが生まれるのかを明らかにしていきたいと考えています。​

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