栗原 健輔 さんが軽金属学会第143回秋期大会で第143回秋期大会優秀ポスター発表賞を受賞

2023/03/20
  • 材料工学専攻

【受賞者】
栗原 健輔 さん(材料工学専攻2年)

【指導教員】
芹澤 愛 教授(材料工学科)

【学会名】
軽金属学会第143回秋期大会

【賞名】
第143回秋期大会優秀ポスター発表賞

【発表題目】
Al-Mg-Si合金およびAl-Mg-Ge合金における溶質原子および空孔間の相互作用
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【研究の目的】
アルミニウムにマグネシウム(以下Mg)とケイ素(以下Si)を添加したAl-Mg-Si合金は、主に自動車のボディーシートなどに用いられている中強度の合金です。
この合金は熱処理を行い、MgとSiからなる微細な析出物を形成させることで強度を向上させていますが、この析出物は電子顕微鏡等を用いても観察することが非常に困難であることが知られています。
一方、Siをゲルマニウム(以下Ge)に置換したAl-Mg-Ge合金では、Al-Mg-Si合金と類似した析出物が形成されることが明らかになっており、この析出物はAl-Mg-Si合金に形成されるものと比較して観察しやすいことから、Al-Mg-Si合金の代わりとしてAl-Mg-Ge合金の析出物の観察が活発に行われています。
しかし、両合金の析出物を比較するにあたって、両合金で溶質原子(アルミニウム合金中に溶けている異種原子)同士の相互作用がどのように異なっているのは明らかになっていませんでした。
そこで本研究では、Al-Mg-Si合金とAl-Mg-Ge合金における、溶質原子間の相互作用の共通点および相違点を明らかにすることを目的としました。

【研究内容】
溶質原子間の結合力の指標である結合エネルギーを、第一原理計算を用いて算出した結果、SiとGeではGeの方がMgおよび原子空孔と強い結合を形成する一方、それぞれの合金中では類似した結合状態をとることがわかりました。
※第一原理計算…モデルの電子状態を計算し、系のエネルギーと電荷密度を得る手法。得られた系のエネルギーと電荷密度から、原子間の結合の強さなど様々な物性を算出できる。
 
【今後の展望】
本研究では、AlにおいてはSiよりGeの方がMgおよび原子空孔と強い結合を形成することが示唆されました。
この相互作用の違いを用いて、SiとGeを適切に添加し、熱処理における硬化速度を制御する新たな合金設計手法の開発が期待されます。

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