Huong Thi Nguyenさんが14th International Symposium on Architectural Interchanges in Asia (ISAIA) 2024 KYOTOにてISAIA Academic Oral Session Awardを受賞
- 地域環境システム専攻
受賞者
Huong Thi Nguyenさん
(理工学研究科/博士(後期)課程/地球環境システム専攻)
指導教員
志手 一哉 教授(建築学科)
学会・大会名
14th International Symposium on Architectural Interchanges in Asia (ISAIA) 2024 KYOTO
賞名
ISAIA Academic Oral Session Award
発表題目
ベトナムにおけるBIMを適用したインフラプロジェクトにおける発注者情報要件(EIR)の実施状況に関する研究

研究背景・目的
ビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)は、建設プロジェクト管理に大きなメリットをもたらします。BIMを効果的に活用するには、発注者はプロジェクト初期段階に情報要件を明確に定義する必要があります。これらの要件は、Exchange Information Requirements(EIR)に概説されており、ステークホルダー間の協力を促進します。しかし、特にベトナムのようなBIMの導入初期段階にある国では、組織や社会的な制約により、発注者のEIRを決定することは困難です。本研究では、BIM適用プロジェクトの入札書類の分析を通じて、ベトナムの雇用主のEIR規定に関する具体的な問題を調査することを目的としています。この分析では、ISO 19650の原則に従って策定された「Center for Digital Built Britain(CDBB)」のEIRガイダンスを参照しています。
研究内容
本研究の目的は、ベトナムにおけるEIRの提供状況を調査することです。この目的を達成するために、EIRの概念に関する文献レビュー、分析のための枠組みの選択、EIR文書の分析、および主要な問題の特定を含む4段階の方法論が実施されました。まず、EIRガイドラインと過去の研究のレビューにより、BIMワークフローの国際規格であるISO 19650で概説されたEIRと、CDBB(Center for Digital Built Britain)のEIRガイダンスをフレームワークとしてベトナムのEIRの分析をしました。その後、ベトナムのBIM適用プロジェクトの入札書類15件を計画投資省の全国入札ネットワークシステムから収集し、分析をしました。EIR文書の分析後、発注者はEIRを定義する際に、組織情報要件(OIR)、資産情報要件(AIR)、プロジェクト情報要件(PIR)を十分に考慮していないこと、ベトナムにおけるBIMプロジェクトのEIRには、特に情報コンテナやメタデータの命名など具体的な要件が欠けていること、モデルに含まれる情報開発のレベルが未完全であることを見出しました。
今後の展望
EIRの形成に関する研究は、効果的なBIMプロジェクト管理の基礎となります。EIR形成プロセスにおけるOIR、AIR、およびPIRを総合的に考慮することで、不要な情報要件を排除し、より高度な情報開発を促すことができます。
さらに、EIR、PIR、AIRは相互に関連しているため、すべてのプロジェクトに共通する標準的なEIRテンプレートを作成することは困難です。したがって、EIRテンプレートの開発は、土木工学プロジェクトや交通プロジェクトなどのプロジェクトの種類、またはODA資金プロジェクト、公共投資プロジェクト、PPPプロジェクトなどの資金源に基づいて分類されるべきです。このアプローチにより、開発されたEIRテンプレートはより実用的で、実施が容易になります。
さらに、BIMの能力や成熟度にばらつきのある関係者が関与する国際的なBIMプロジェクトに対応するには、専門分野別のEIRが必要です。そのためには、各プロジェクトの特定のニーズに合わせた統一されたEIR基準を策定するために、プロジェクト関係者間の緊密な連携が必要となります