諸田歩美さんがThe 14th International Conference on GEOMATE 2024にてBest Paper Awardを受賞

2024/11/20
  • 社会基盤学専攻

受賞者
諸田 歩美 さん(理工学研究科/社会基盤学専攻1年)

指導教員
稲積 真哉 教授(工学部)

学会・大会名
The 14th International Conference on GEOMATE 2024

賞名
Best Paper Award

発表題目
Interaction between Stabilizing Solution and Mortar during Installation of Cast-in-Place Concrete Piles

morota-1
 
morota-2

研究背景・目的
本研究は、都市部の軟弱地盤対策における場所打ちコンクリート杭工法の高品質化と効率化を目指して実施されました。特に、安定液とコンクリートの置換性を重視し、施工中の不具合の要因を可視化することを試みました。日本の多くの都市は軟弱地盤上にあるため、地震時の地盤災害を防ぐための基礎構造の安全性向上は極めて重要です。本研究では、実際の施工環境を模擬した試験やMPS-CAE解析を通じ、安定液中のコンクリート挙動を精密に評価し、高品質な杭施工を可能にする技術開発を目指しています。

研究内容

本研究は、都市部の軟弱地盤において重要な基礎工法である場所打ちコンクリート杭工法に着目し、施工中の安定液とコンクリートの置換性向上を目指しました。地盤掘削時に充填される安定液は、孔壁の保護や施工品質の維持に重要な役割を果たしますが、劣化や混入物による施工不良の発生リスクが存在します。これに対し、実際の現場条件を模擬したモルタル打設試験や、MPS-CAE解析を用いた挙動の可視化を行い、施工中のコンクリートと安定液の動態を詳細に評価しました。これにより、高品質で効率的な基礎施工の実現に寄与する具体的な改善案を提示し、地盤工学分野での施工管理技術向上を目指した成果を挙げました。

今後の展望

本研究を通じて、場所打ちコンクリート杭工法における安定液とコンクリートの置換挙動を詳細に把握し、高品質な基礎施工を支える技術的知見を得ることができました。今後は、さらに現場条件に近いスケールの試験を行い、リアルタイムでの施工管理技術を高度化させることを目指します。具体的には、安定液の劣化やスライムの発生をリアルタイムで検知し、適切な対策を施すシステムの開発を推進します。また、MPS-CAE解析の更なる精度向上を図り、より複雑な地盤条件や施工環境を想定したシミュレーションを実施することで、現場での問題解決に直結する実用的な技術提案を進めていきます。これにより、より安全で環境負荷の少ない施工技術の発展を目指します。