鈴木誠生さんが令和6年度土木学会全国大会・第79回年次学術講演会にて優秀講演者賞を受賞
2024/11/14
- 社会基盤学専攻
研究背景・目的
日本では、高度経済成長期に整備された社会基盤構造物の老朽化が進んでおり、持続可能な維持管理が急務となっています。特に都市部の軟弱地盤においては、建物の解体後に地中に残る既存杭の適切な処理が重要な課題となっています。従来は、杭を撤去することが一般的でしたが、既存杭を補強して再利用することは、持続可能な開発目標(SDGs)の「住み続けられるまちづくりを目指す(目標11)」に合致する手法と考えられます。本研究では、地中にある既存杭の補強および再利用の可能性について検討することを目的としています。
研究内容
本研究では、地中にある既存杭の補強手順を具体的に示し、有限要素法(FEM)を用いて鉛直載荷試験の模擬解析を行いました。健全杭、不健全杭、補強杭のモデルを比較した結果、補強杭の支持力が不健全杭に対して約3倍向上することが確認されました。また、ケーシングを使用して不健全杭の周囲を補強する工程について詳細に説明し、この方法によって補強杭の支持力が健全杭の支持力の半分以上にまで回復することが明らかとなりました。
今後の展望
今後の研究としては、補強材の種類や杭の形状を変えたモデルの性能評価が挙げられます。また、補強材の種類や配合比の最適化が必要であり、地盤の状態に応じた最適な杭径、補強材の種類、厚さの検討が求められます。これにより、地中既存杭の再利用がさらに促進され、環境負荷の低減や建設コストの削減に寄与することが期待されます。