山口哲さんがGPS/GNSSシンポジウム2023にて学生優秀研究発表賞を受賞
- 社会基盤学専攻
【受賞者】
山口 哲 さん(社会基盤学専攻 1年生)
共同研究者:小森 健史 さん(東京海洋大学),久保 信明 教授(東京海洋大学),清水 悦郎 教授(東京海洋大学),中川 雅史 教授
【指導教員】
中川 雅史 教授(土木工学科)
【学会・大会名】
GPS/GNSSシンポジウム2023
【賞名】
学生優秀研究発表賞
【発表題目】
非衛星測位環境下における三次元河川モデリング

【研究内容】
近年、都市活動のプラットフォームとして、3D都市モデルのオープンデータ化が取り組まれており、建物や道路で構成される高精度3D地図を利用したデジタルトランスフォーメーションの推進が図られています。一方で、都内の都市河川については、橋梁や建物、首都高などの構造物が密集しているために上空や地上からの3D計測が難しく、高精度3D地図が未整備です。次世代の都市交通インフラとして、都市河川内における自律航行型船舶の活用が期待されていますが、これを実現するためには、都市河川の高精度3D地図が必要です。また、高精度3D地図や3D都市モデルを生成するにあたっては、観測で得られる点群データに対して、地物分類や3Dモデリング処理を適用しますが、データ取得および処理のコストが高い課題があります。そこで本研究では、道路からの3D計測で用いられるMobile mapping system (MMS)の計測手法、および、LiDARを用いたSimultaneous Localization and Mapping(SLAM)を基本技術として、GNSS/非GNSS測位環境が混在する空間でも連続的に点群データを取得できる船舶搭載型MMSを開発し、船舶から都市河川を3D計測できるようにしました。また、河川計測で得た点群データを地物分類するためのセマンティックセグメンテーション手法を開発しました。さらに、日本橋川を実験対象として、提案手法を検証しました。今後の課題としては、取得した点群データのオープンデータ化やBIM/CIMデータとして活用するシステムの構築が挙げられます。
国内では災害が頻発し、緊急災害時の観測技術の重要性がますます高まっています。さらに、アジア地域を含む海外では近年経済成長が著しく、将来的には生産年齢人口の減少や高齢化人口の増加により生産性の向上が社会的な課題となる可能性があります。本研究に加えて、上記の社会的な課題に貢献するために、衛星観測や航空・UAV測量、地上レーザースキャニング、ウェアラブルデバイスの利用など、様々な測量技術を組み合わせた手法を提案します。これにより、多様な手段を活用して社会インフラの点検やモニタリングを行い、社会課題の解決に取り組みます。