環境・物質工学コース

カリキュラム

物質科学、材料工学、環境化学を軸に学び、サスティナブルな新素材を設計・開発できる技術力を育成します。

1年次 物質と化学の基礎科目を学ぶ

●主な授業科目
環境と化学/環境マテリアル工学入門/材料力学/熱力学/有機材料/状態図と金属組織

2年次 講義・演習や実験を通して、知識を定着させる

●主な授業科目
結晶構造解析/無機材料/物質移動論/材料科学/材料電気化学/環境マテリアル工学通論/生体材料化学/触媒化学/固体物理/弾塑性論/環境マテリアル基礎実験

3年次 研究室で実験を中心的に行い、さらなる専門知識を修得する

●主な授業科目
環境マテリアル科学実験1・2/複合材料/凝固工学/環境マテリアル工学実験1・2/マテリアルインフォマティクス/電子顕微鏡とナノサイエンス/表界面の物理化学/リサイクル工学/卒業研究1・2

4年次 卒業研究を発展させ、卒業論文を完成させる

●主な授業科目
卒業研究3・4

授業紹介

材料①

環境物質工学通論

環境・物質工学コースの各研究室で行われている研究の概要を理解するための授業です。環境・物質工学コース担当の教員が各分野の最先端の研究を紹介することで、研究の面白さを理解します。

材料②

無機材料

電子部品や光学素子としての用途をはじめ、その需要が飛躍的に伸びている新素材が無機材料です。その新たな機能と構造を学び、産業における応用面全般を理解します。

材料③

環境物質工学実験1・2

本格的な研究へ向けて専門知識を充実させ、安全性も含めた実験手法を学ぶために、10人程度の少人数グループに分かれて実験、解析、議論、文献調査などを行います。

研究テーマ例

金属球殻構造体を支持体とした多細胞型人工脂質膜の創製

生体材料研究室:松村 一成 教授

近年、「ソフトマテリアル」と呼ばれる新たな材料が注目されています。細胞の表面を覆っている細胞膜もその一つで、二重のリン脂質分子膜からなる柔軟な物質です。当研究室では、この脂質膜を金属のカプセルと複合化させて壊れにくくし、多細胞型の人工脂質膜として装置に組み込むことをめざしています。作製手法に学生の自由なアイデアを取り入れながら研究を行っています。

金属球殻構造体を支持体とした多細胞型人工脂質膜の創製1

脂質膜を支える金属球殻の電子顕微鏡写真。3ミクロンの小さなカプセルが規則的に並んでいます

金属球殻構造体を支持体とした多細胞型人工脂質膜の創製2

作製した試料を光学顕微鏡で観察している様子。研究にはさまざまな種類の顕微鏡を用います

海外との活動事例

世界で活躍できるものづくり人材育成のための材料工学科グローバルPBL

材料設計工学研究室 × タイ/チュラーロンコーン大

近年のめざましい科学の進歩に対応できる実践力を育成することを狙いとし、材料工学の分野における具体的な課題を設定して、海外の大学の材料工学を専攻する学生と協力しながら2週間かけて課題解決を図り、プレゼンテーションを行います。少人数制のグループワークの過程で、実践力やグローバル力を飛躍的に伸ばすことができます。

材料工学科グローバルPBL1

「二酸化炭素排出量の削減に対し材料工学の技術でどのような貢献ができるか」について、少人数グループで解決策を議論します

材料工学科グローバルPBL2

グループでまとめた解決策を発表します。活発な質疑応答を通してコミュニケーション能力が向上します

卒業研究の例

イオン液体による都市鉱山からのレアメタル回収

近年の電子機器等には、レアメタルが多く使用されています。しかし、我が国はレアメタルのほとんどを輸入に依存しています。そのため、廃棄された電子機器(都市鉱山)から、レアメタルを分離・回収する必要があります。本研究では、イオン液体と呼ばれる新しい物質を用いて都市鉱山からレアメタルを高効率且つ低環境負荷で分離回収するプロセスの開発を行っています。

イオン液体による都市鉱山からのレアメタル回収
この研究の応用先

我々の研究を用いて都市鉱山からレアメタルを分離回収できれば、我が国が直面している資源枯渇問題や環境問題に大きく貢献できる可能性があります。また、イオン液体は不揮発性・難燃性・高導電性などの特徴を有しており、電池の電解液、使用済核燃料の再処理、材料の表面処理など、その応用例は多岐にわたることが推測されます。

高強度かつ軽量な自動車用アルミニウム合金の開発

アルミニウム、マグネシウムといった超軽量金属材料をターゲットと、省エネルギー効果の高い次世代自動車材料の創製をめざしています。材料中の原子の並び方を制御し、原子レベルで材料設計を行うことで高機能化を達成します。このナノテクノロジーにより、鉄に匹敵する高強度、自由な形状に加工可能な成形性を有する軽量な自動車用アルミニウム合金の開発が実現しました。

高強度かつ軽量な自動車用アルミニウム合金の開発
この研究の応用先

原子レベルでの材料設計は、私たちの生活に欠かせない金属材料の特性を自在に決定することができ、使用される部位、環境に合わせた材料開発が可能となります。これまでに、自動車のボディーパネル、エンジン材料、ヒートシンクなどを軽量化・高機能化することで、省エネルギー化・省材料化が実現し、二酸化炭素排出量の少ない低環境負荷材料の利用拡大に貢献しています。