ロールモデルインタビュー2

富士通株式会社 高木志織さん(2016年度)

芝浦工業大学を卒業し、社会で活躍している女性の先輩に対して、我々学生が就職活動や仕事、将来、ライフコースについて不安に思っていることを伺う機会を作り、とくに女子学生の、仕事を含めた人生全体のキャリアイメージを描く参考となる情報を広く共有できるように発信するこの企画。今回は、2012年度大学院電気電子情報工学専攻修了、株式会社富士通の高木 志織さんにインタビューを行った。

インタビューのお相手
高木 志織(たかぎ・しおり)
2010年度情報工学科卒
2012年度大学院電気電子情報工学専攻修了
富士通株式会社
サービス&システムビジネス推進本部
モバイルビジネス推進統括部

インタビュアー・撮影・編集スタッフ
松崎 彩花 工学部 情報工学科2年/FM芝屋 アナウンサー
内冨 克哉 工学部 機械機能工学科 3年/FM芝屋 ディレクター
稲津 覚 工学部 通信工学科 3年/FM芝屋 代表
富士通株式会社 高木志織さん

現在のお仕事について

現在は、どんなお仕事をされていますか?

今は、富士通(株)の中のクラウドサービスの一つに、MobileSUITE®というサービスがあるのですが、このサービスの商品化、プロモーション等の仕事をしています。サービスを世の中に送り出し、サービス自体を売っていく、販売推進のところの仕事にあたります。仕事は、楽しくやっています(笑)

今の仕事には、なぜ就こうと思いましたか?

元々は、開発職で入っていたのですが、開発だけではなく、開発してからそのものを世の中に送り出す企画フェーズを通して、全ての企画をやってみたいな、と思い、今の販売推進部隊に所属しています。

工学系の分野には、女性の数が少ない状況があると思いますが、女性の数が少なかったことで良かったこと、また大変だったことはありますか?

基本的に大変だったことはなかったです。芝浦の女性は明るい人も多かったですし、人数が少ないので、結束力も強い、という感じでしたね。また、逆に男性は、女性が少ないので優しくしてくれました(笑)。困ったことは特に無かったですね。

大学の経験が、仕事の中で役立ったことはありますか?

そうですね、開発の部署に入った時は、女性の数は少なかったですが、男性と同じ扱いを受けていました。これは芝浦にいたときからそうだったので、すんなりと受け入れることが出来ましたね。精神的に強く生きられたところがありました(笑)また、大学では研究が長引いて夜遅くまで残ることなどがありましたが、このお陰で仕事でもタフでいられた、と思います。体力は大切です。

仕事をしていて楽しい、またはやりがいがある、と思うようなことはありますか?

開発では、ものを作っていたので、実際に自分がコーディングをし、世の中にそのものが出て行った時は嬉しく感じました。今は、お客さんと直接お会いする機会もあり、お客さんの反応を肌で感じられた時はとても楽しいです。それぞれ作る楽しさと、人と接する楽しさがあると思います。

学生時代について

理系に進学した理由は、なんでしょうか?

えー、単純に国語が出来なかったです(笑)国語の偏差値が低かったので、理系の大学を選びました。

芝浦工業大学を選んだ理由は、何ですか?

どの大学を受けていいか分からず、当時の担当の先生に、相談したところ、芝浦を勧められたため、芝浦を受験しました。じゃあ、それで、という感じで決めてしまいましたね。

では、情報工学科を選ばれた理由は、何でしょうか?

これも、担当の先生に勧められたから、ですね。自分できめてなかった(笑)ですが、情報系は今後面白くなってくるな、とは思っていました。IT社会、技術なども盛んに上ってきている段階だったので。これからはITだ、と感じ、これは面白そうだ、と思いましたね。

学生時代、一番熱中していたことは何ですか?

大学だと、殆ど、授業と、教職科目を取っていたのですが、この勉強に追われて、なんだかあまり遊んだというイメージが無いですね。授業、授業という感じでした。

アルバイトなどは、していらっしゃいましたか?

していました。授業が終わったら、さっさとアルバイトに向かっていましたね。アルバイトは色々やりました。家庭教師、クリーニング屋なんかをやっていましたね。豊洲キャンパスでデータを解析にかけ、その間に近くのバイト先でバイトをして戻ってくる、なんてこともありました。いい感じに時間を使っていました。

凄いですね。

両立がなかなか大変でした。

学生時代は、男女間の人数差について、大変だったことなどはありましたか?

個人的には、自分の代は女性が少なくなかったので、あまり少ない、大変、というイメージはありませんでした。ちょうど良かったです。女子学生どうしでは、非常に仲も良かったです。人それぞれ、様々な考え方があると思いますが、私はそう感じました。 

大学院に進学した理由を教えてください。

私は院卒なのですが、もともとは学部で卒業しようとしていました。情報工学科に入ったものの、あまり情報工学の勉強、というものが楽しく感じられていなかったので。とっとと卒業して働こうと思っていましたね。ところが、研究室を決める際、研究したいものがなかなか見つからず、どうしてもやりたいことが一つだけ見つけられたのですが、教授に、それをやりたいなら院に行け、と言われ。それが元で大学院に進学しました。

そのやりたかったこと、とは何ですか?

学部4年生、大学院2年の3年間で研究したのは、キャラクターを使った自動会話システム、というものです。

芝浦工業大学のOCなどで活躍している、芝浦女子サークルを立ち上げた、とお聞きしましたが、これについて詳しく教えてください。

事の発端は、学部1年目の時に仲の良かった女の子がいたのですが、その子か段々授業に追いつけなくなっていって、3年生くらいの時に、学校を辞めてしまう、ということがありました。これが結構ショックでした。このような一件を見て、「自分の学部の中だから話せないこともある、近いからこそ、言いづらい」ということがあると思いました。例えば、この女の子に、他の学部で話せる人がいて、近い人には話せないようなことを言える環境があったらよかった、と思い、立ち上げました。居心地の良い空間があるのが大切かな、と思いました。

普段の生活について

休日は、何をされていますか?

マラソンが好きなので、走ることがよくあります。マラソンの大会なんかにも、休日で出場することがあります。そういえば、この前、東京マラソンに当選したんですよ。当選結果を見たとき、会社で目がおかしくなってしまったか、と思いました。

凄いですね!倍率なんかも高いですし

高いんですよ。嬉しいです。6年越しの当選だったので。毎年応募していたのですが、当選したのは初めてでした。

学生時代に、運動をなにかされていたんですか?

全くしていませんでした(笑)学部を卒業して大学院に入った後に、教えて頂いていた大学院の先輩に、走ることを勧められて、走り始めました。

運動するにあたって、食事なんかも大事だと思うのですが、料理はされますか?

実家に住んでいるというのもあって、殆ど料理はしていないですね(笑)今は職場まで2時間ほどかかる場所に住んでいるので、帰ってから作る時間が無い、というのもあります。ですが、お昼は自分でお弁当を作っています。朝は早く起きて、この作業をしていますね。ここは、体力の勝負です。

人生の転機について

人生の分岐点、ここで変わったな、と思えることはありますか?

あまり感じたことがない・・・(笑)強いて言えば、就活は大きいかもしれないですね。今も思うのは、皆さんもこれから就職活動をして、世の中に働きに出ることになると思うのですが、学生というのは、4年、ないしは大学院に進学して6年です。しかし、就職したその先は、30年程度という、非常に長い期間を働くんですね。自分は今5年目なのですが、5年、長いなと思います。まだ先、何年あるんだろうと思いますね。そのようなことを考えたときに、今のこの仕事が好きで、ずっと続けられるだろう、と思えることはとても大事だと思います。就職活動が今に繋がってると考えると、これが分岐点だったのかな、と思います。Apple社の元CEO、スティーブ・ジョブズが私が就活を始める少し前に亡くなっているのですが、書店に本なんかが並んでいたりして、これにも強く影響されて、今に至っていると思います。

大学院に進んでいて良かったな、と思うことはありますか?

好きな研究が出来た、ということが一番大きいですね。考え方が、深く考えられるようになった、ということもあると思います。学部生の頃に比べて、大学院に進学した後は、物事を深く考えられるようになった、と思いますね。

就職は、大学院に行ってからの方が良いと思いますか?

人それぞれだと思います。個人的に私自身は、行っておいてよかったな、と今でも思っています。

大事にしていることや今後の目標について

今の仕事において、大事にしていることはありますか?

楽しくやること、を大事にしています。後は、好きなものを仕事にすることで、楽しく出来たらいいな、と思っています。今は、その目標の半分ぐらいは、出来ていると思っています。好きなことだけをやって生活することも出来ないので、嫌なこともあります。でも半分は笑っていたいので、好きなことを大事にしています。

それでは、日常生活で大事にしていることを教えてください。

これも楽しむことだと思います。大学の時に出来た友達、先輩は凄く大事だと思います。就職した今、会社だから言えないこと、なにかあるときに、大学時代いつも一緒にいて、卒業してからも仲のいい友達には、何でも話せるので。卒業するときに、教授に「今いる友達を、大切にしてください」と言われました。その言葉は、今になって理解できます。就職して5年経ちますが、大学時代の友達とは、一緒に山登りに行ったり、マラソンをしたりなど、まだまだ交流があります。旅行なんかにも行きますね。

これからの将来設計について教えてください。

折角メーカーにいるので、やっぱり、一つでもいいから自分が作ったものを世の中に提供して、多くの人が喜んでくれるようなことになれば、それが一番嬉しいですね。今はまだ分からないこと、進められないこと、つまずくことも多いですが、経験を重ねる中でノウハウを溜めて、いずれこの目標に向かって行けたらな、と思います。

後輩へのメッセージ

最後になりますが、芝浦工業大学の学生に向けて一言、メッセージを頂きたいです。

好きなことを仕事にして欲しいです。これが大事だと思います。以上です(笑)

ありがとうございました!

ありがとうございました!