中長期計画
学校法人芝浦工業大学中長期計画の策定にあたって(策定:2020年3月)
芝浦工業大学の源流は、創立者有元史郎が1927(昭和2)年に開設した東京高等工商学校です。1949(昭和24)年には学制改革により芝浦工業大学を設置し、1951(昭和26)年には学校法人芝浦学園として学校設置組織を整備しました(1962(昭和37)年には学校法人芝浦工業大学に名称変更)。学校法人芝浦工業大学(以下「本法人」という。)の設置校には幾多の変遷があり歴史を刻んできましたが、現在は大学(4 学部16 学科)、大学院理工学研究科(修士課程、博士(後期)課程)に加え、東京都と千葉県に中学高等学校を擁し、1 万人を超える学生・生徒が学んでいます。
有元史郎は、建学の理念に「実用的な技術と知識を併せ持って工学一路、工業立国技術立国を担う技術者の育成」と「自立自学、質実勤勉しかも高い倫理観と豊かな見識を備えた優れた人間形成」を掲げました。この実現を支えるものが、「現代社会の諸相に学び、人類の福祉、社会に貢献する技術者の育成」を旨とする実学教育です。芝浦工業大学は、こうした理念や考えを「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」と整理し、これを建学の精神と位置づけ、一貫して有為な人材の育成に邁進してきました。その結果、芝浦工業大学卒業生は堅実に仕事ができる、仕事に強い技術者として高い評価を受け、我が国の技術・工業の発展に大きく貢献してきています。
世界規模での重大変革期を迎えた今、本法人は、将来にわたり我が国の持続的発展を担う理工学系人材育成を責務として、設置校の代表たる芝浦工業大学を中心に学生・生徒のための学校経営を堅持し、建学の精神に基づく教育研究活動の展開に努めています。
2010(平成22)年6月、本法人理事長に芝浦工業大学卒業生・五十嵐久也が就任しました。五十嵐前理事長は、鹿島建設株式会社常務取締役から三井住友建設株式会社代表取締役社長に転じた人物です。五十嵐前理事長の民間企業経営の知見をベースとした強力なリーダーシップのもと、本法人はこれまで未着手であった多くの分野において改革に取り組みました。その最たるものが「ガバナンス改革」です。ガバナンス改革は、理事会が「学生のための大学経営」「創立100周年(2027年)に理工系私学トップランナーへ」という目標実現を本法人の経営ビジョンの根幹に掲げたことに始まりました。このガバナンス改革の最大の成果は、評議員会を諮問機関に改め、理事会を最高意志決定機関とし、理事や評議員について推薦をもとに選任する方式としたことです。またそれまで教職員選挙によっていた大学の学長選考を選考委員会方式に改め、更に副学長や学部長・研究科長の選任を学長推薦によるものとしました。こうしたことにより本法人は、経営の安定性、施策の継続性が担保され、理事長、理事会と学長との連帯感も強まり学長付託型大学運営を実現するとともに、学長のリーダーシップのもと教育研究に係る一貫した意志決定ラインを形成し、大学改革を迅速かつ適切に展開する環境を整えることができました。
本法人では、芝浦工業大学が創立100周年を迎える2027(令和9)年に、『我が国の理工学系私学としてトップの社会的評価を得る』という中長期目標のもと、これを確かにするための中長期計画を立案しました。この基本計画に基づき、今後、各設置校において教育成果の充実と研究力の向上を図り、目標の実現に邁進してまいります。その中心として、豊洲キャンパス第二校舎建設による教育・研究環境の更なる整備とスーパーグローバル大学創成支援事業に掲げた到達目標の完遂を目標といたします。また経営の根幹である人事政策として2017年度の事務職員人事給与制度改革の実現に続き、教育職員の人事評価・給与制度改革をめざします。
2028年度以降の中長期計画に向けて
本法人は、経営ビジョン「我が国の理工系私学としてトップの社会的評価を得る」に向けたブランディング戦略及び学生満足度No.1を目指すことを目標としています。そのため本法人の発展構想及び各キャンパスの価値最大化などにより経営資源の活用を図り、将来構想(将来ビジョン)を検討することを目的に2020年9月から「将来ビジョン検討委員会」を設置しテーマごとに分科会を開催し検討を進めています。
2025年7月には、2028年~2037年の10年間の計画策定、および、大学が目指すべき目標を決定のうえ分科会にて具体的な施策を検討することとしました。今後、各分科会による中間報告等を経て2026年度に最終形を纏めて参ります。