椎名 基貴 さんが令和4年度廃棄物資源循環学会関東支部研究発表会で優秀ポスター賞を受賞

2023/03/24
  • 社会基盤学専攻

【受賞者】
椎名 基貴 さん(理工学研究科/社会基盤学専攻1年)

【指導教員】
稲積 真哉 教授(土木工学科)

【学会名】
令和4年度廃棄物資源循環学会関東支部研究発表会

【賞名】
優秀ポスター賞

【発表題目】
建設発生土中の再生利用に資する中和処理の最適化
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【研究背景・目的】
 建設業は、他の産業に比べて膨大な量の資源を消費し、大量の廃棄物を生み出すため、SDGsの1つのゴールである「つくる責任・つかう責任」の項目において、果たすべき役割は大きいと考えられる。現在、建設業で生じる廃棄物のうち、建設汚泥は焼成処理や溶融処理して固化、粒状にすることによって埋め戻しや裏込め材などの土質材料として再利用されているものの、その種類の多様性や統一的な評価基準が無いこと等によって再資源化率が低い値にとどまっている。
 本研究では建設発生土の有効な再生処理として、二酸化炭素の固定化技術の一つである曝気養生を提案する。建設発生土の経済的・効率的なリサイクルを可能にするマネジメントシステムの確立を目指し、本研究では曝気養生に着目し、建設発生土を用いた曝気養生試験を通して曝気養生の特性の分析を行った。曝気養生試験での養生条件による結果の比較と考察から、より効率的な曝気養生手法を提案する。

【研究内容】
 本研究では、建設発生土の中和処理方法として曝気養生を提案した。大気中のCO₂と発生土中のアルカリ成分が反応し、炭酸塩に変化することで中和方向に進む。反応式から、CO₂の固定化に繋がることを示している。
 曝気養生の養生条件による効果の比較を実施した。養生条件としては、攪拌頻度、表面積、試料深さを変えることにより比較を行った。結果として、曝気養生では表面積を大きく取りながら、撹拌頻度を多くし、発生土が空気と触れる機会を増やすことで、効率的にpHを下げることができることが明らかになった。さらには、中和剤を添加する前に曝気養生をすることで、中和に至るまでの中和剤の添加量を減少させることに成功した。また、EC値を減少させるため、経済的で、環境に配慮した中和方法であるといえる。
 以上より、曝気養生によって建設発生土の中和化を図ることで、中和剤添加量の使用を減らすことができ、なおかつ二酸化炭素を固定化することができる。これは、持続可能な開発目標のひとつの取り組みとして、非常に有意性のある建設発生土の再利用を行う際の処理方法として適しているといえる。
 
【今後の展望】
 本研究の今後は、より実現場での適用に向けた検討をする必要がある。そのため、自然現象によるpHの影響として、降雨や日照時間、気温や湿度等との相関に関する検討を加えていく。その上で、中和剤添加前の曝気養生試験において、中和剤添加量を導くことが出来る理論式を導出することで建設発生土の中和処理の最適化としてマネジメントシステムを確立していく。
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