「次世代を担うデザイン展2025」にてデザイン工学部・エモーショナルデザイン研究室(橋田規子教授)が次世代デザイン優秀賞を受賞しました

2025/11/11
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10月16日~25日に新宿パークタワー・リビングデザインセンターOZONEで開催された「次世代を担うデザイン展2025」(主催 公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会)にデザイン工学部・エモーショナルデザイン研究室(担当:橋田規子教授)から学生14人が出展し、次世代デザイン優秀賞(学校賞)を受賞。また、出展作品のうち大貫智也さん(デザイン工学科4年)の作品が次世代デザイン賞(個人賞)を受賞しました。

このデザイン展は、将来のデザイナー育成に寄与するとともに、インテリア産業の活性化を目指し、また優れたデザインを求める業界と、デザイン系学生の交流の機会とすることを目的として開催しており、大学と企業の産学協働出展も一つの特徴です。
「次世代を担うデザイン展2025」のテーマは【継:Tsugu】。エモーショナルデザイン研究室は、橋田教授の20年来の研究テーマである「PAGES CHAIR」の思想を学生たちに継ぎ、各学生が身の回りの廃棄材を用いて座面のデザインを行いました。株式会社スタンダードトレード、株式会社NiFT、山田工業株式会社にはベースとなる椅子の制作および素材提供にあたりご協力いただきました。

 出展大学および企業

・神奈川大学  株式会社ワーロン
  • ・工学院大学  みはし株式会社
  • ・芝浦工業大学 株式会社スタンダードトレード・株式会社NiFT・山田工業株式会社
  • ・女子美術大学 株式会社パルコ
  • ・多摩美術大学 株式会社カンディハウス
  • ・東京工芸大学 株式会社Foreque
  • ・東京造形大学 プラス株式会社
  • ・日本大学   株式会社スペース
  • ・武蔵野大学  株式会社興亜通商・リリカラ株式会社

受賞コメント

大貫智也さん(デザイン工学科4年生)

■作品について
「継ぐ」という言葉を、単に過去をそのまま残すのではなく、形を保ちながら意味を変えていくことと捉えました。具体的には、失われたものの中に潜んでいる価値を見つめ直し、次の形に繋いでいくことだと考えて、制作を進めました。
「一度破棄されたものを継ぐ」という視点から、本作品で利用したのは「断線したコード」という、すでに役目を終えたものです。これを「編む」という行為によって再び繋ぎ合わせ、新たな関係と形を生み出すことを目指しました。
作品に使用した断線コードは、当初の予想以上に硬さがありました。制作の初期に試みたのは、交互に編む「平織」という手法でしたが、この方法では素材同士が互いに干渉し合ってしまい、均一な面を形成することができませんでした。そこで、コードが無理なく交わり、張力を逃がせる編み方を検討し、採用したのが「綾織」という手法です。綾織は、交差点がずれていくことで、柔軟性と立体感を両立できる形になっています。この編み方により、素材の特性を活かしながら、美しい流れのある模様を生み出すことができたと考えています。

■受賞について
まさか自分が受賞するとは思っていませんでした。作品にはまだ改善点があると考えているため、それを自分なりに反省し、もっと突き詰めていきたい思います。

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断線を結う
大学や家庭で役目を終えたケーブルやコードたち。かつて電気を通していたそれらを拾い集め、編み直し、座面として新たに息を吹き込んだ。断線し、途切れた線は、今は人の手によって再び結ばれ、新たな表情を創り出す。一本一本の線は、機能を離れて寄り添い合い、やわらかな面を形づくる。手を添えるたび、内に秘めた時間がそっと姿を現す。途切れたものを編み直すその行為は、失われたつながりを手繰り寄せ、今を紡ぐ儀式のようでもある。
断線の記憶が形を変えて生き続ける――この椅子は、壊れることを恐れず、結び直すことの美しさをそっと語りかける。

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デザイン工学部・橋田 規子教授(エモーショナルデザイン研究室)

材料は一切買わず、捨てられずに保管していた造花や3Dプリンタの失敗作、断線コードなど、大学や研究室にある作品制作後の「ゴミとして捨てるようなもの」を活用しました。材料を椅子のシートとして使えるものにする過程で、「ものの大切さ」や「ものの力」を学生自身が実感し、素材の表情や良いところを見出す良い訓練になりました。
私が想像もしなかったアプローチで廃材に新たな命を吹き込む学生の姿勢が印象的で、それぞれの作品がとても興味深く仕上がっていると思います。

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出展作品

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morpha
大学院理工学研究科 修士1年 永野滉也
使用素材:梱包材

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summer collection
デザイン工学部4年 田中壱真
使用素材:研究室メンバーの古着

 
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PET再生繊維ボード
大学院理工学研究科 修士2年 大西皓丈・増村光春
使用素材:ペットボトルを再利用した硬質フェルトの端材

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季節を織り継ぐ
大学院理工学研究科 修士1年 中野優奈
使用素材:かつて使用されていた座面用フェルト

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紙から生まれるもうひとつの素材
デザイン工学部4年 芳本和香奈・桑原未羽
使用素材:印刷会社の紙端材

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くさばなあそび
大学院理工学研究科 修士1年 小笠原大智・修士2年 勝藤智哉
使用素材:廃棄予定だったフェイクグリーンや造花

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継承
デザイン工学部4年 野吹悠介
使用素材:かつて使用されていた座面用フェルト

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Wooden Wood
デザイン工学部4年 千葉悠和
使用素材:レーザー加工後の、木材の端材

 
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「失敗を読む」椅子
デザイン工学部4年 岡本鷹嬉
使用素材:3Dプリントの失敗片

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Re:Leather
デザイン工学部4年 恵良凜太郎
使用素材:母の靴工房から生まれた革の廃材