「次世代を担うデザイン展2023」レポート

2023/11/30
  • お知らせ
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11月2日~11日にリビングデザインセンターOZONE(新宿)で開催された「次世代を担うデザイン展2023」(主催 公益社団法人 日本インテリアデザイナー協会)に橋田 規子教授(デザイン工学科)の「エモーショナルデザイン研究室」より、学生4名が出展しました。

創造力とチャレンジ精神にあふれたデザイン作品を紹介するこのデザイン展は、インテリア産業の活性化や、将来のデザイナー育成のために開催されているものです。今回は優れたデザインを求める業界とデザイン系学生が交流する機会を創造するため、大学と企業の産学共同出展となり、芝浦工業大学は山田工業株式会社との共同出展となりました。

今回の展示会のテーマは【伝+: Tsutaeru Plus】。伝えるという行動を通して新たに生み出される現象、力学、もの、事業、産業、環境、社会、世界を提案してもらいたいということから、テーマに「+(プラス)」という接尾符号がつけられました。

芝浦工業大学と山田工業株式会社は、次世代デザイン優秀賞(学校賞)を受賞。また、出展作品のうち山中実咲さんの(デザイン工学科4年)の作品が次世代デザイン賞(個人賞)を受賞しました。

 出展大学および企業


・工学院大学 + 株式会社スペース

・芝浦工業大学 + 山田工業株式会社

・多摩美術大学 + 株式会社カンディハウス

・東京造形大学 +プラス株式会社

・日本大学 + 株式会社ホテルサンバレー

出展した4名の学生さんに取材しました

山中実咲さん(デザイン工学科4年生)

デザイン工学科のオープンラボの使用方法を調査したところ、PCで行う課題作業や、オンライン授業でオープンラボを使用することが多く、一方、就職活動は家で行う学生が多いことがわかった。就職やオンライン授業の受講の際、個室のように集中できるブースを提案。

 
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【作品】Veil space ベールをまとって作業する。私だけの集中ブース。

大学での共有スペースでの利用を考慮し、未使用時にはコンパクトになり持ち運びができる個室集中ブース。机・椅子が付属していないためどこでも簡単に設置し、使用することが可能。透ける素材で圧迫感を軽減し、外部から使用者の存在をうかがえる仕様。ベールをまとうという新しい集中の形を提案。
ベールの素材は山田工業株式会社さんから提案いただき、抗菌素材になっています。来場者からは「簡単で単純にできていて、手軽で良い」「今までにない」との評価をいただきました。(山中さん)


【作品】pata pane 自在に動かし展開できるパネル開閉式個室集中ベース

オフィスでの利用を目的とした集中個室ブースは大きく重く、設置や移動が困難。pata paneは、空間レイアウト変更に対応し、キャスターで容易に移動が可能。収納すると奥行き約400㎜ほどになり、場所をとらない。背面はホワイトボードになっている。

最初は板で考えていましたが山田工業株式会社さんから、机をしまうことやパネルのつなぎ方等アドバイスをいただきました。実物を作っていただいたのは初めての経験で、実物大でみたときには、とても感動しました。(山中さん)

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山邊航太さん(機械工学専攻2年生)

【作品】whitebordian  無表情な四角いホワイトボードからの脱却

ホワイトボードを生命体に見立て、感情を伝えるようなホワイトボードを提案。楕円形を組み合わせた曲線を用い、自然とスペースの分割や使い分けをできるような形を目指した。腕を模したホワイトボードで表情を加えることができる。空間を落ち着かせるニュアンスカラーを採用。

 

曲線の作り方に苦労しました。本体は山田工業株式会社さんが制作してくれ、腕の部分は3Dプリンターで、学内で制作。しっかり本体に付くようにしました。来場者からは「かわいいね」との評判もいただきました。審査員からは「立てるのではなく、置いて平面で使ってもよいのではないか」との講評をいただきました。工場見学もさせていただき、製造プロセスを見ることができたのはとても良い経験になりました。(山邊さん)

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 篠崎巧真さん(機械工学専攻2年生)

【作品】Disc type Whiteboard Table 対等な関係でミーティングできる環境をつくる

通常のホワイトボードでのミーティングでは「1対他」になり、発言しづらい人が出てくることもある。「対等な関係でミーティングできる環境」を作り出せないかと考え中華テーブル型のホワイトボードを提案した。

 
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この中華テーブル型のホワイトボードは①回る②ホワイドボードの部分をひっくり返して普通のテーブルのようになる③収納ができる④ホワイドボード以外の部分にPCを置くスペースが確保してある⑤それぞれがホワイトボードに記入しやすい⑥ホワイドボード部分と段差があるので、書くときにはみ出さない⑦形が斬新すぎず、わかりやすい という特徴と工夫があります。山田工業株式会社さんからはテーブルの脚の形状や、ホワイトボード部分の重量等のアドバイスをいただき、勉強になりました。このような機会をくださった橋田先生に感謝しています。(篠崎さん)

  
井上裕介さん(機械工学専攻1年生)

【作品】Turtle Meeting アイデアだし・意見交換の効率を向上させる

議論をしているときに各意見をまとめやすく、まとまりがわかりやすい「ホワイトボードに貼るホワイトボード」を提案。6角形にすることによって各意見が上下逆にならず、グルーピングしやすく、辺の数が大きいのでグルーピングもしやすい。

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付箋のようなホワイトボードを6角形にすることで意見と意見のつながりが作りやすく、グループ分けがしやすいように工夫し、近い意見は境をなくしやすく、違う意見については離すことによって区分が明確になります。山田工業株式会社さんには脚の付け方や、ホワイドボードの向きについてアドバイスいただき、あらたな視点も広がりました。来場者の方からもいろいろな意見をいただき、自分のモチベーションにつながりました。(井上さん)

 

学生たちの提案を実際に制作した山田工業株式会社開発部長の木宮修さん

「どうやったら作れるか というところからスタートして実際に制作していきました。会社の人間からは出てこないようなアイデアもあって、たいへん新鮮な思いでした。まさに次世代を担う学生さんたちだと期待しています」