上原知己さんが第57回地盤工学研究発表会で優秀論文発表者賞を受賞

2022/10/18
  • 社会基盤学専攻

【受賞者】
上原知己さん(理工学研究科/社会基盤学専攻2年)


【指導教員】
稲積真哉 教授(土木工学科)

【大会名】
地盤工学会 第57回地盤工学研究発表会

【賞名】
優秀論文発表者賞

【発表題目】
充填材のレオロジー特性に着目した地盤掘削孔内への充填性評価




写真
【研究目的】
構造物を取り壊す際、構造物を支持していた杭基礎(既存杭)は産業廃棄物に指定されるため、原則として既存杭は地中から撤去しなければなりません。既存杭を引き抜いた状態では地盤内に孔(掘削孔)が形成されるため、既存杭引抜工は既存杭抜跡地盤(掘削孔)の埋戻し処理までを包含しなければなりません。これは、掘削孔に対して充填材で埋戻し処理を行わなければ、周辺地盤の地盤沈下、新設杭打設時における新設杭のズレや傾斜発生をもたらす等の地盤不良を誘発するためです。一般的に充填材としてはベントナイト混合セメント充填材や流動化処理土、砂などが用いられています。しかし、掘削孔においては、充填材の充填、攪拌が行われているにもかかわらず、上部・中部・下部で強度発現に差違が生じている場合があり、掘削孔の深度方向にわたって均一な埋戻し強度が発揮できる埋戻し処理の検討は急務の課題です。
そのため、本研究では充填材を引抜孔の下部から注入し、充填材による掘削孔内泥水の完全置換を行うことで、上記課題の解決を試みました。具体的には、既存杭を抜いた後掘削孔内に泥水が存在しており、下部から充填材を注入していく粒子の挙動をMPS-CAEを用いて可視化し、掘削孔内上部・中部・下部の混合度を評価します。
 
【研究内容】
本研究では粒子法に基づくコンピュータシミュレーション「MPS-CAE」を用いて、掘削孔の下部から充填材を注入していく際の様子・挙動を可視化し、掘削孔内上部・中部・下部における充填材と削孔泥水の混合度を評価しています。これより、高密度且つ高粘度の充填材を高圧で掘削孔下部から注入することで高い充填率を示すことが分かりました。すなわち、削孔泥水と充填材を攪拌する工法の課題を解決するためには、高密度且つ高粘度の充填材を高圧で下部から注入する “完全置換工法” が有効であることが分かりました。

 
【今後の展望】
様々な現場を想定して、削孔泥水のレオロジー特性を変化させることや、現存する増粘剤などを用いて、粘度を計測することによって、そのレオロジーでの解析を行うことで評価することや、30 mや40 mレベルの大きな掘削孔を想定した解析を行うことで水圧などの外力が作用した際の様子・挙動の変化を考察することを検討しています。

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