諸田歩美さんが令和7年度土木学会全国大会/第80回年次学術講演会にて優秀講演者賞を受賞
2025/12/15
- 社会基盤学専攻
受賞者
諸田 歩美さん(社会基盤学専攻)
指導教員
稲積 真哉 教授(工学部)
学会・大会名
令和7年度土木学会全国大会/第80回年次学術講演会
賞名
優秀講演者賞
発表題目
MPS-CAE解析による場所打ちコンクリート杭施工の可視化と施工性能の評価

研究内容
本研究では、場所打ちコンクリート杭工法における施工品質を把握するという課題に取り組みました。本工法は、地盤を掘削した孔内に安定液を満たし、トレミー管を用いて孔底からコンクリートを打設する方法ですが、施工が地中深部で行われるため、施工中の状況を直接確認することは困難とされてきました。そこで、粒子法の一種であるMPS法とCAE技術を用い、施工過程をコンピュータ上で再現することにより、これまで把握が難しかった孔内の挙動を可視化することを試みました。スランプ試験に基づく材料特性の設定や、要素実験との比較による検証を行ったうえで、実構造物規模の解析を実施した結果、孔内における水とコンクリートの流動の様子を視覚的に捉えることができました。また、その過程で、鉄筋籠の外側やトレミー管周辺において充填が不十分となりやすい傾向が示されました。
研究目的
本研究では、場所打ちコンクリート杭工法における施工品質を把握するという課題に取り組みました。本工法は、地盤を掘削した孔内に安定液を満たし、トレミー管を用いて孔底からコンクリートを打設する方法ですが、施工が地中深部で行われるため、施工中の状況を直接確認することは困難とされてきました。そこで、粒子法の一種であるMPS法とCAE技術を用い、施工過程をコンピュータ上で再現することにより、これまで把握が難しかった孔内の挙動を可視化することを試みました。スランプ試験に基づく材料特性の設定や、要素実験との比較による検証を行ったうえで、実構造物規模の解析を実施した結果、孔内における水とコンクリートの流動の様子を視覚的に捉えることができました。また、その過程で、鉄筋籠の外側やトレミー管周辺において充填が不十分となりやすい傾向が示されました。
研究目的
日本は地震の発生が多く、特に都市の臨海部には軟弱な地盤が広く分布しています。このような地域において、地盤沈下や液状化といった地盤災害から社会インフラを守るためには、上部構造物の荷重を深部の支持層へ適切に伝達する基礎工法の信頼性を高めることが重要とされています。場所打ちコンクリート杭工法は、地盤を掘削した孔内に安定液を充填しながらコンクリートを打設する有効な工法ですが、施工が地中深部で行われるため、施工中の状況をリアルタイムで把握することが難しいという課題があります。施工品質を確保するためには、直接確認が困難な地中での挙動を、科学的な視点から理解し、評価していく手法が求められています。本研究では、MPS法を用いたCAE解析を適用し、施工過程をコンピュータ上で再現することで、これまで把握が難しかった施工時の挙動を可視化し、施工性能を定量的に評価することを試みました。
今後の展望
今後の展望
本研究で検討したMPS-CAE解析を用いた施工可視化の手法は、場所打ちコンクリート杭工法における施工品質の把握や管理に対して、新たな視点を与えるものと考えられます。今後、さまざまな地盤条件や施工条件に関する解析事例を蓄積していくことで、施工前に充填状況に関する留意点を整理し、より適切な施工計画の検討に役立てることが期待されます。また、本手法をIoTセンサーやAI技術などと組み合わせることにより、施工時の情報をより多角的に把握し、施工状況の確認や品質管理の高度化につなげる可能性も考えられます。施工中に得られるデータと解析結果を照らし合わせながら、施工条件を見直していくといった活用も、今後の検討課題の一つです。さらに、本手法は場所打ちコンクリート杭工法に限らず、他の基礎工法や地中構造物の施工への応用も視野に入れることができます。