新田菜美さんがGEOMATE 2025にてBest Paper Awardを受賞

2025/11/18
  • 社会基盤学専攻
  

受賞者
新田 菜美 さん(社会基盤学専攻)

指導教員
稲積 真哉 教授(工学部)

学会・大会名

GEOMATE 2025 (The 15th International Conference on Geotechnique, Construction Materials and Environment)

賞名
Best Paper Award

発表題目
Correlation Between Standard Penetration Test and Cone Penetration Test for Liquefaction Assessment(液状化評価における標準貫入試験とコーン貫入試験の相関特性の検討)
GEOMATE_Nitta
研究内容
本研究では、標準貫入試験(SPT)とコーン貫入試験(CPT)の関係性を液状化評価の観点から検討し、修正SPT打撃数と正規化CPT先端抵抗の相互関係をQNR比により整理しました。Boulanger & Idriss(2014)の手順を参考に分析を行った結果、QNRは正規化CPT先端抵抗 が100以下でおおむね8程度、150付近では約6程度まで低下する非線形的な傾向が確認され、これに基づいて変換式を導きました。SPTの離散的な情報とCPTの連続的な情報を併用することで、薄い弱層の把握精度が高まり、地盤調査の信頼性向上に寄与するものと期待されます。

研究目的
本研究の目的は、地震の多い日本における地盤調査の精度向上を図り、液状化リスク評価の信頼性をより高めることにあります。SPTの蓄積データと、CPTが提供する連続的で高解像度な情報を効果的に組み合わせるため、QNR比を用いた相関解析を通じて両者の変換精度を検討しました。これにより、SPTを中心とした既存の設計基準にCPTの利点を柔軟に取り入れることが可能となり、薄層の弱い地盤を見落としにくくなることが期待されます。こうした統合的な手法が、インフラの耐震性向上に向けた取り組みを支える一助となり、持続可能な社会基盤の構築に少しでも寄与できればと考えています。

今後の展望
今後の展望として、本研究で実施したSPT–CPT相関解析は、地盤調査における手法の幅を広げる可能性があると考えられます。QNR比の土質依存性については、深層学習を活用してモデル化を進めることで、リアルタイムで変換が可能なツールの開発にもつながると期待されます。これにより、日本で広く用いられるSPTに、CPTの高解像度データをより自然な形で取り入れられるようになることが見込まれます。さらに、国際的なデータベースを整備することで、多様な地盤や地震条件に対応したより汎用的な相関式の構築にも寄与できると考えられます。こうした取り組みを重ねることで、液状化リスク評価の精度向上や将来の耐震インフラ設計に向けた知見の充実につながっていくものと考えています。