Khin Nyein-Chan KyawさんがGEOMATE 2025にてBest Paper Awardを受賞
2025/11/18
- 地域環境システム専攻
受賞者
Khin Nyein-Chan Kyawさん(地域環境システム専攻)
指導教員
稲積 真哉 教授(工学部)
学会・大会名
GEOMATE 2025 (The 15th International Conference on Geotechnique, Construction Materials and Environment)
賞名
Best Paper Award
発表題目
Evaluation of Chemical Grouting in Heterogeneous Soils by Integrating FEM Analysis and AI Models(不均質地盤の薬液注入効果に対するFEM解析とAI手法の統合評価)

研究内容
本研究では、有限要素法(FEM)解析と人工知能(AI)モデルを組み合わせた評価手法を提案し、異種砂質土における低透水性領域がケミカルグラウトの浸透挙動に及ぼす影響について検討しました。FEM解析の結果、低透水性領域が近接することでグラウトの流速や分布が大きく変動することが確認され、簡易な回帰式を用いたリスク評価も可能となりました。また、AIモデル(ニューラルネットワーク、勾配ブースティング)は、R²=0.849と比較的高い精度で浸透範囲を予測し、低透水性領域が5.5%の場合でも平均充填率はFEMで94.5%、AIで96%と良好な結果を示しました。最も厳しい条件下でも、それぞれ81%、83%を維持しており、AIは約2秒で予測が行えることから、実務への適用可能性も高いと考えられました。本手法は、地盤改良の信頼性向上に向けた取り組みの一助となることが期待されます。
研究目的
本研究では、有限要素法(FEM)解析と人工知能(AI)モデルを組み合わせた評価手法を提案し、異種砂質土における低透水性領域がケミカルグラウトの浸透挙動に及ぼす影響について検討しました。FEM解析の結果、低透水性領域が近接することでグラウトの流速や分布が大きく変動することが確認され、簡易な回帰式を用いたリスク評価も可能となりました。また、AIモデル(ニューラルネットワーク、勾配ブースティング)は、R²=0.849と比較的高い精度で浸透範囲を予測し、低透水性領域が5.5%の場合でも平均充填率はFEMで94.5%、AIで96%と良好な結果を示しました。最も厳しい条件下でも、それぞれ81%、83%を維持しており、AIは約2秒で予測が行えることから、実務への適用可能性も高いと考えられました。本手法は、地盤改良の信頼性向上に向けた取り組みの一助となることが期待されます。
研究目的
本研究の目的は、地盤の不均一性により生じるケミカルグラウトの浸透挙動の不確実性を少しでも減らし、地震の多い日本における液状化対策の信頼性を高めることにあります。低透水性領域がもたらす浸透リスクを定量的に把握するため、FEM解析の精細な評価能力とAIの柔軟な予測性能を組み合わせた手法を検討しました。これにより、複雑な地盤条件下での比較的迅速かつ高精度な予測が可能となり、地盤改良工法の設計や施工の効率化にもつながると考えられます。本研究で示した枠組みが、今後の持続的なインフラ防災に向けた取り組みを支える一つの手がかりとなればと考えられます。
今後の展望
今後の展望
今後の展望として、本研究で示した枠組みは、地盤工学におけるデジタル技術の活用を一層促すものと考えられます。FEMとAIを統合した手法については、今後、現場実験を通じて検証を進め、将来的にはリアルタイム予測にも応用できる仕組みへと発展させることを目指しています。また、不飽和土の挙動やグラウトのレオロジー特性を取り入れることで、より幅広い地盤条件に対応できる可能性もあります。これらの取り組みにより、地震の多い日本におけるインフラ防災の信頼性向上に寄与し、持続可能な社会基盤の形成に少しでも貢献できればと考えています。国際標準化への展開も視野に入れつつ、地盤改良工法の発展に向けた基盤づくりを進めていきたいと考えています。