向井玄さんが日本材料学会 第73期学術講演会にて日本材料学会優秀講演発表賞を受賞
2024/09/30
- 機械工学専攻
研究目的
ジェットエンジンの低圧タービンに近年用いられているTiAl合金について、はめあい接合部でのフレッティング摩耗の発生は避けられません。一方、フレッティング摩耗特性を調べた報告はあまり多くありません。先行研究において、室温環境下でのフレッティング摩擦における垂直荷重の影響について調査し、接触面のすべり域に移着するInconel 718の摩耗粉は垂直荷重が大きくなることで増加することがわかりました。本研究では、約400℃環境下でのTiAl合金とInconel 718とのフレッティング摩耗試験を行い、摩耗挙動を調査することを目的としました。
研究内容
フレッティングとは、接触している二個体間に微小な振動が与えられたときに生じる表面損傷のことです。本研究では、常温環境下と約400℃の高温環境下においてTiAl合金とInconel 718との間にフレッティング摩耗を発生させ、その摩耗痕を観察しました。その結果、高温環境下で摩耗が小さくなることを確認しました。さらに分析を行った結果、高温環境下で摩耗が小さくなった原因の一つとして、摩擦係数の変化が挙げられました。
今後の展望
TiAl合金は、従来のジェットエンジンに使用されているNi基超合金と比べて軽量で同程度の高温強度を持つ材料です。材料特性が研究されることで、航空機用ジェットエンジンの軽量化につながる上、様々な分野への応用が期待されます。また今後は、高温環境下で摩耗が小さくなる原因について、さらに追求していく必要があります。