田上晋太朗さんが日本薬学会第144年会にて学生優秀発表賞を受賞

2024/05/28
  • システム理工学専攻

受賞者
田上 晋太朗 さん(システム理工学専攻2年)

指導教員

廣田 佳久 准教授(生命科学科)

学会・大会名
日本薬学会 第144年会

賞名
学生優秀発表賞(ポスター発表の部)

発表題目
尿中Menadione量とビタミンK関連疾患の関連性の解明を目指したMenadioneとその抱合体測定法の確立

tagami

研究目的

ビタミンK は緑黄色野菜や納豆に多く含まれており、血液凝固作用や骨形成作用といった様々な生理作用を示します。そのため、体内のビタミンK量が減少すると、骨粗鬆症などのビタミンK関連疾患のリスクが高まります。そこで我々は、体内のビタミンK量を簡便に知ることができれば、ビタミンK関連疾患の予防に応用できると考えました。本研究では、非侵襲的かつ簡便に採取できる尿を用いて、体内のビタミンK量を測定できる可能性を考え、ビタミンK代謝産物とその抱合体の測定法の確立を試みました。

研究内容

一般的にビタミンKは脂溶性ビタミンであり、生体内でメナジオンに変換された後に尿中へ排泄されます。メナジオンは揮発性があり、精密に測定することが困難でした。そこで我々は、メナジオンを誘導体化することで高感度に測定できる手法を確立しました。また、メナジオンの大部分は生体内で抱合体に変換され排泄されます。そこで、メナジオン抱合体を生物合成または化学合成し、質量分析器を用いて測定できる手法を確立しました。新たな測定法を用いて、ヒトの尿中に存在するメナジオンとその抱合体の存在量を初めて評価しました。

今後の展望

本研究より、メナジオンとその抱合体の測定法を確立することができました。今後は本手法を用いて、尿中に排泄されるメナジオンとその抱合体を測定することで、体内のビタミンK量を簡便に知ることができ、ビタミンK関連疾患の早期発見方法として応用していきたいと考えています。