渡邉莉菜さんが日本ビタミン学会 第1回 次世代のビタミン学に繋げるイノベーションミーティングにて優秀発表賞を受賞

2023/12/20
  • システム理工学専攻

受賞者
渡邉 莉菜 さん(システム理工学専攻1年)

指導教員
廣田 佳久 准教授(生命科学科)

学会・大会名
日本ビタミン学会 第1回 次世代のビタミン学に繋げるイノベーションミーティング

賞名
優秀発表賞

発表題目
神経変性疾患治療を目指したレチノイン酸様側鎖を導入したビタミンK誘導体の創出と機能解析

watanabe
研究目的

アルツハイマー病(AD)患者の脳内では健常者と比較してビタミンK濃度が著しく低下することが報告されています。また、AD患者にビタミンKを投与すると脳内の存在量が著しく回復します。そこで、ビタミンKやその誘導体を用いて脳内のビタミンK量を回復させることができれば、ADの新規治療戦略として応用できるのではないかと考え、本研究を試みました。

 
研究内容

我々はこれまでにビタミンKが脳神経細胞をニューロンへ分化誘導させることを見出しています。ビタミンK以外にもビタミンAが神経分化誘導作用を有することから、これらの構造を組み込んだ新規誘導体を複数合成し、その体内動態を評価しました。その結果、強い神経分化誘導活性を示す誘導体を見出しました。また、この誘導体は脳内に効率よく移行し、最も生理活性の高いビタミンKに変換されて長時間脳内で生理作用を発揮することが分かりました。

 
今後の展望

ビタミンKは脳内において神経分化誘導作用の他にも、ビタミンK依存性タンパク質を介した神経細胞の治療効果や神経細胞死の抑制作用を有することが報告されています。脳内におけるビタミンKの機能を強力に促進できるような新たな誘導体が合成できれば、既存の治療から一線を画すAD治療へと応用できることが期待されます。