福士英里香さんが日本金属学会2023年秋季講演大会にて優秀ポスター賞を受賞

2023/11/20
  • 応用化学科

 

【受賞者】
福士 英里香 さん(応用化学専攻 2年)

【指導教員】
大口 裕之 教授(応用化学科)

【学会・大会名】
日本金属学会 2023年秋季講演大会

【賞名】
優秀ポスター賞

【発表題目】
ペロブスカイト水素化物のエピタキシャル薄膜合成と元素置換

fukushisan

【研究背景・目的】
周期表の先頭に現れる水素はとても軽くて小さな元素です。しかもプラス(H+)にも中性(H)にもマイナス(H-)にもなれる、多様な顔をもつ元素です。そして、水素化物とはこんなユニークな水素をたくさん含む化合物であり、水素を含むからこその面白い性質を色々と示します。そこで我々は、水素化物のデバイス応用を目指して柔らかく形を変えやすいマイナスの水素H- (ヒドリド)に着目し、ヒドリドが固体内を高速に動くことができるような水素化物薄膜の合成に取り組んでいます。

 

【研究内容】

ペロブスカイト水素化物であるMLiH3(M:Sr, Ba)は、一部の元素を他の元素に置換することでヒドリドの伝導速度が向上するといわれています。このMLiH3の能力を最大限に引き出すために、構造が安定で通常より多くの元素を置換でき、しかもそのままデバイス応用が可能な、エピタキシャル薄膜と呼ばれる単結晶薄膜の合成に挑戦しました。さらに合成したMLiH3エピタキシャル薄膜に対してNaを置換して、ヒドリドの伝導速度を向上させることに成功しました。

 

【今後の展望】

ヒドリド伝導は2014年に見つかった新規な伝導現象です。我々が開発する高速ヒドリド伝導体は超高感度水素センサや従来型の2倍の起電力をもつヒドリド燃料電池など、従来にないデバイス開発の基礎となり得ます。将来的には、ペロブスカイト水素化物を用いたデバイス開発に取り組む予定です。