森内理生さんが第28回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウムで奨励賞を受賞

2022/05/13
  • 材料工学科

【受賞者】
森内 理生(材料工学専攻1年(受賞当時))

【指導教員】
苅谷 義治(材料工学科)

【大会名】
第28回「エレクトロニクスにおけるマイクロ接合・実装技術」シンポジウム(Mate2022)

【発表題目】
固溶体強化型Sn-Ag-Cu合金のClassⅠ型クリープ挙動とその実装部の熱疲労寿命への影響
本文
【研究目的】
半導体パッケージの実装信頼性は、はんだ接合部の熱疲労破壊によって決定されることが多く、高信頼性はんだ合金としてSn-Ag系を基に様々な合金が開発されています。電子機器を高温環境で使用する場合、室温では普通変形しない程度の力を与えた時でも変形してしまう、クリープという現象が生じます。半導体パッケージの熱疲労損傷の駆動力は、はんだ合金のクリープ変形に依存するため,産業用電子機器における実装信頼性設計ではクリープ強度の観点からはんだ合金を選定する必要があります。しかし今日までのはんだ合金設計は経験に基づいたものが多く、理論的な背景は必ずしも明確ではありません。
そこで本研究ではSn-Ag-Cu系合金の固溶体添加元素として多く採用されるBiおよびSbの効果を解明するため、Sn-3.4 mass%Ag-0.7 mass%Cu-3.2 mass%Bi-3.0 mass%Sb-Ni-x (以下SACBiSb) を用いてクリープ変形機構を理論的に解析しました。さらに熱疲労寿命におよぼす固溶体型クリープ変形機構の影響について検討しました。

【研究内容】
Sn-3.0 mass%Ag-0.5 mass%Cu (以下SAC)に対するBiおよびSb添加による固溶強化効果の理論予測は、実験結果と一致しました。特に、Bi添加に由来するクリープ強度の高いClass Ⅱ領域からクリープ強度の低いClass Ⅰ領域への遷移は精度よく予測できました。
固溶体強化型はんだ合金の設計に際しては,生じる応力と使用環境を熟慮して添加元素を選定する必要があります。

【今後の展望】
近年5G (第5世代移動通信システム) の普及により産業用途でのIoT化の需要は高まっており、これに伴い産業用電子機器に使用される半導体パッケージには長期信頼性が求められるため、はんだ接合部の安全性は重要な課題となっています。
得られた研究成果を基に、安全・安心が重視される産業用電子機器の信頼性確保に役立てると共に、電子実装の信頼性予測技術開発の発展に貢献したいです。

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