世界大会「ARLISS2018」"A Rocket Launch for International Student Satellites"

2018年9月10日~13日にアメリカネバダ州のブラックロック砂漠で開催された世界⼤会「ARLISS」にて、⽂化会芝浦宇宙航空研究開発部 SHARXS が総合優勝をしました。
これは、350ml⽸サイズの超⼩型⼈⼯衛星 CanSat のサブオービタル(⼤気圏内)打ち上げ実証実験で、ゴールまでの距離・制御アルゴリズム・独創性などをチーム間投票・運営の評価・教員の評価によって総合的に決定するもの。6 ヵ国 26⼤学の中から総合優勝チームとして選ばれました。

CanSat(カンサット)とは…
CanSat(カンサット)あるいは⽸サット(かんサット)とは、宇宙技術の教育を⽬的として、⼩型衛星で⽤いられるものと類似の技術を使⽤して製作される、飲料⽔の⽸サイズの⼩型の模擬⼈⼯衛星のこと

機体「CULALA」の工夫点

タイヤが6つの走行機構

通常 CanSat にはローバー型と呼ばれる⼤きなタイヤ 2 つで⾛⾏するタイプがほとんどですが、タイヤが2つのみの機体ではほんの少しの障害物があるだけで⾛⾏できなくなってしまう経験がありました。そこで、凹凸のあるような地⾯でも⾛⾏を可能にする「ロッカーボギー機構」に着⽬。この機構は⽕星の探査機「Curiosity」にも組み込まれており、悪路での⾛破性が⾼いことがすでに証明されています。CanSat のような⼩型ロボットにその機構を搭載するためにはスペース的な障害があり、多くの⼤学が断念していましたが、今回ついにその機構を CanSatに組み込むことを実現させました。CanSat は⾃⾝の⾼さに近い障害物を乗り越えるほどの⾛破性を⽰し、⼤会中においても障害物により⾛⾏不可能になる事はありませんでした。

3つのモーターで動く土回収機構

4地点において地中の⼟を分別して回収し、その⼟を⽬的地まで持っていくミッションを掲げ⼤会に参加しました。これを実現させるために「ドリルを地⾯に垂直に突き⽴てる」「ドリルを回転させる」「ドリルを上下させる」「⼟を4つのストレージに分別する」ための機構を設計。当初それぞれの機能を設計するためには4つのモーターが必要と考えていましたが、機体の⼩型化・軽量化のために上記の動作を3つのモーターで⾏える機構の開発を⽬指しました。そしてドリルを地⾯に垂直に突き⽴て、上下させる役割を1つのモーターで⾏うことを可能にする J字ギアを考案しました。このギアを機構内に⽤いることで機体に横倒しで搭載されたドリルを地⾯に垂直に突き⽴て、さらに地中 3cm までドリルを降下させることを可能にしました。

内部構造

たくさんの機能を持つ代わりに多くのパーツを搭載しなければならないという点を解消するため、今まで1枚の基盤の上にセンサーや電⼦部品を配置していたところ基盤を機能ごとに細かく分割して、機体の⾃由な場所に配置できるような⼯夫を⾏いました。さらに基盤を機体の形に合わせて⾃由な形で製造するためにオリジナルのプリント基板を製作。これにより⾛⾏機構や⼟回収機構にスペースを割くことができ、CanSat に当初望んだ全ての機能を搭載することができました。そしてそれらの内部パーツを⽀えるにはとても複雑な構造体が必要であったため、 3D プリンターを利⽤し内部構造全体を仕切ることにしました。完成した機体は各々役割を持ったシステムがバラバラに配置され、それらの間を細いコードが⾏き交い、衝撃吸収を必要とする部分には太い⽀柱が組まれている状態で、まさに⼈間や動物が持つ臓器・⾎管・⾻と同じような関係です。

CanSat内部を密閉

⼤会会場は砂漠で強い⾵が吹いており、砂が内部に⼊り電⼦部品に⼲渉して壊れてしまう恐れがあります。そこで私達は全ての内部構造を 3D プリンターで作成した外装で覆い、内部への砂の侵⼊を防ぎました。またその外装には丸みを持たせたり、凹凸⾯を極限まで少なくしたりすることで、障害物に引っかかりにくく⼀部分に⼤きな⼒が加わりにくい機能を考慮しました。

精密にCAD化

⾛⾏機構や⼟回収機構を動かしてその場の状況に応じて変形させるために、機構の可動域を考慮して設計する必要がありますが、⾼い精度が求められます。そこで、使⽤した部品全てを 3D 化し、その位置を細かく決めることで各機構の変形を可能にしました。このおかげで設計の段階からネジの位置やコードの動線まで考え、CanSat の組み⽴てを効率的に⾏うことができました。

デザイン

全てのコードを内部に隠すことはもちろん、⼀⾒どこにモーターがあるか分からないようにすることで機械らしさを抑えました。また、3D プリントした部品は直線・曲線を意識した形にし、表⾯を丁寧に磨き上げました。機能⾯だけでなくデザインにもこだわることで、CanSat の⼀種の完成形を⽬指しました。

小室 雄太郎さん(電子情報システム学科4年)

今までの経験を全て活かして最⾼のものを作ろうという思いでこの⼤会に参加しました。私たちの⽬指していた CanSat は「⾃律⾛⾏」「サンプルの回収」を両⽴する⾼難易度のミッションを想定していたため、幾度となく内部構造、機構の再設計と施策を強いられました。これまでに製作してきた機体の中で最も多くの機能を持っており、11 個のモーターとそれらを制御する回路の搭載は設計において最も 創意⼯夫を重ねた点です。また、多くのモーターとセンサーを同時に制御することは、1度成功しても動かす環境が変わると成功しないことが多々あり、機体が安定して動くようになるまでには地道な実験を繰り返しました。
機体に⾼い性能を要求したため、応⽤的な開発に下級⽣がついてこられないこともありましたが、過去 の資料や各々の考えを⽤いて基本的な製作をコツコツとやり遂げてくれたため、上級⽣も下級⽣も役割分担と連携がうまく⾏われていたと思います。
それでもどうしても上⼿くいかない技術に焦ったり、ちょっとしたミスで仲間とケンカしたりなど、困難もたくさんありましたが、メンバーとがむしゃらに挑んだこの⼤会はとてもいい思い出になりました。各メンバーが私と同様のことを感じており、またこの経験を⽣かし頑張りたいです。


また、ロケットの開発・打上げなどを⾏う 「ロケット部⾨」 では、2019 年 3⽉に開催される第 16 回伊⾖⼤島共同打上実験でハイブリッドロケットの打上げを⾏う予定です。打ち上げ予定の機体では、以下の 3 点を⼤きな⽬標に機体設計・運⽤を⾏っています。

1.部内最⾼⾼度に到達できる機体を設計
現在の部内最⾼到達⾼度413mを超えられる機体を製作しています。

2.⻑距離通信を⾏う
ロケットの上昇後にパラシュートを展開する展開機構の動作確認・強制作動を⾏えるようになり、更に打上げ後にロケットを回収する際に落下地点を割り出しすことができます。

3.GSE(Ground Support Equipment)の団体初運用
ロケットを打上げる際のエンジンに燃料を充填させる役割や点⽕する役割を持つ設備であるGSEを、初めて他大学などの手を借りずに自分たちで運用する予定です。

「以上 3 点の⽬標を達成し、安全に打上げ・回収ができるように、メンバー⼀同⽇々お互いの意⾒をぶつけながら切磋琢磨しています」と代表の粟木理志さん(機械機能工学科 2年)は話しました。

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