抜け道がつくる家

人口減少、地方の過疎化などが止まらない現代、コンパクトな平屋を考えることは、内部的ではなく外部(庭)との関係も見直され、これからの平屋を考えていくことで多様な可能性が見えてくる。

そこで伊藤さんは、壁によって互いを閉じた家が建ち並ぶ密集した住宅街において、横に倒した煙突を家々に挿入することで、隣人の気配を感じさせる設計を行った。差し込んだ複数のスラブによって、風や光が抜ける「煙突」が隣同士に程よい距離を作り出す仕組みだ。
天井高1.4m以下の空間は階に参入しないという建築基準法の規定を逆手に取り、床レベルを微妙に変化させることによって平屋を3層に見せることで、平屋の可能性を拡大した点が評価された。

「今回のコンペでは、平屋という限定されたテーマの中で、いかに豊かな空間をつくれるかを考えました。これから困難な状況の中でより豊かな空間をつくれる可能性を広げていきたいです」と、今後の抱負について話しました。

<指導教員:堀越 英嗣 教授(建築学科)>
 

※スラブ…鉄筋コンクリート造の、上階住戸と下階住戸の間にある構造床のこと。

「抜け道がつくる家」