S3D映像作品 「WE PHOTOGRAPH TO REMEMBER 3.11」

東日本大震災から4年半が過ぎ、被災地ではようやく当時を伝える「語り部」が語り始めた。しかしながら、復興の進行と共に被災地は様変わりし、言葉だけでは伝えきることができない。
中村教授は、震災当時や復興の様子を生々しく伝え、記憶を未来につなぐために、地理情報とリンクした形で臨場感に溢れるS3D映像を系統的に整理・蓄積したアーカイブ(映像データベース)を構築している。

その一環で、東日本大震災の被害や復興の様子を記録したS3D映像によるアーカイブ(映像データベース)をもとに映像作品を制作した。2011年(被災当時)から2015年までの4年間の変化と、将来にわたって震災被害(津波被害も含む)を語り継ぐための「記憶」として表現した。

作品について中村教授は、「人は忘れることで悲しみを克服しようとする。東日本大震災のような大きな災害の場合、当時の出来事を語り始めるまでに一定の時間が必要となる。震災から4年半が経過し、ようやく『なぜ助かったのか』『なぜ家族や友人を助けることができなかったのか』などについて静かに語り始める人が出てきている。しかし、復興の進行と共に被災地は様変わりし、被災地を訪れる人や後世に語ろうとしても言葉だけでは伝えきることができない。そうした時に映像は力を持つ。特に臨場感や実在感に優れているS3D映像は大きな訴求力を持つ」と語る。

また、作品の今後について「被災直後から複数の地域の同じ場所で繰り返し撮影してきた映像を撮影地点の地理情報と併せて記録し、系統的に時間と空間のなかでマッピングできるアーカイブ(データベース)として構築している本研究は、5年後、10年後、数十年後、またそれよりも後世に東日本大震災の「記憶」を確実に伝えることができるとともに、災害教育に活用していけるものとなると考えます」とも話している。

出場大会について

「20th ISU World Congress & 3D Korea International Film Festival 」は、S3D映像(ステレオ映像・立体映像)に関する国際大会。隔年で開催されており今回、20回目を迎えた。

S3D映像の歴史は欧米では古く、19世紀後半まで歴史は遡る。そうした歴史を背景に、ISUは1975年に欧州で創設された。現在は40カ国に及ぶ国々の所属団体と個人会員から構成され、S3D映像(ステレオ映像)の研究者、制作者などからなる各国の団体や個人が加わっている。

ISU World Congress(国際ステレオ映像連盟国際大会)では、ISUのメンバー(所属団体・及び個人)による作品の発表やS3D技術に関するワークショップなどが行われる。今回はISU国際大会に加え、国を挙げて映像分野を後押ししている韓国の3DKIFF(韓国国際3Dフィルムフェスティバル)との合同大会となった。

これまでISU国際大会は欧州や米国で開催されてきたが、2015年はアジアで初めての開催となり、韓国・釜山で9月6日から6日間の日程で行われた。欧米からのメンバーが多いため例年の大会よりも参加者は少なかったが100名を超すISUメンバーが21カ国から集まり、3DKIFFと併せると延べ数百人が参加した。