学生が製作した古民家の設計模型パース
学生が製作した古民家の設計模型パース

本学の建築系学生らが組織した学生プロジェクト「木沢の『わ』プロジェクト」では、徳島県那賀町木沢地域で空き家となっている築146年の古民家を再生する事業の設計・施工を、「那賀町地域おこし協力隊」の桑高 仁志氏から請け負っています。2014年度に静岡県東伊豆町の空き家をリノベーションし、地域の交流拠点にした実績が評価されてこのたび依頼を受けました。

2014年12月の現地視察に始まり、学生たちはこれまで延べ22日間(2015年3・5・8・9月に訪問)にわたって同地域に滞在し、地域住民との交流を重ねながら信頼関係を築いてきました。その中で得た知見を反映しつつ、設計から施工まで地域住民と協働して手掛けています。

建物の完成は2016年4月の予定で、学生らが再び現地を訪れて仕上げます。完成後は地域住民が集う憩いの場としての機能を果たすとともに、木沢の年配者が古来からある文化や暮らしの知恵を来訪者に伝える場とするなど、地域を活性化させるためのゲストハウスとして運営されます。

設計と各所の狙い
若者が地域の人・営み・暮らしに出会い、新たなつながりをつくれる場所にできるように設計されました

改修の背景・経緯 ~“杉の娘楽校”との出会い~

杉の娘によるワークショップ
地域文化継承の一環で、学生たちは杉の娘にあしなか(草履)作りを教わりました。自然と生まれる交流に、学生たちからは「地元が増えた」という感想も

木沢地区は徳島市内から車で約1時間半の場所にあり、97%が森林に覆われている限界集落です。
高齢化率は約58%で2014年には町に唯一存在した小学校が閉校になるなど一時、町民たちが意気消沈しつつありました。

しかしその現状に危機感を覚えた桑高氏が地域の元気な年配女性たち(平均年齢73歳)を集め、現状打破のために民間学校「杉の娘楽校(すぎのこがっこう)」を発足させ、彼女ら自身が生徒“杉の娘”となって生徒同士で各自の特技を教え合うことを通じて地域コミュニティを再生させるという活動を始めました。

同校の活動支援を行う中で同氏は、地域外からの若者を町に呼び込み、来訪者と“杉の娘”が出会う機会をつくることで、交流を通じて地域を活性化させる場としてのゲストハウスを企画。「木沢の『わ』プロジェクト」の学生は同氏の意志に賛同し、実現に協力しました。

地域と協働して設計・施工

学生たちは地域に入って丁寧にヒアリングを行い、住民と一体となって古民家の改修活動を行っています。現地での調査・測量をはじめ、使いやすさや居心地を考え抜いた設計、施工まで、時には地域に住む大工や左官など在来工法のベテランの伝授を受けながら一貫して手掛けています。

かまどを囲むキッチン
地域の年配者による料理教室などで、来訪者と地域住民が交流しやすいよう、台所には「かまど」を中心としたアイランドキッチンを設計。古民家改修に詳しい現地の大工に教わりながら施工を行いました
職人に木桶作りを習う様子
五右衛門風呂の木桶作りを地元職人に教わりながら行いました
地元製材所にて木材の講習
地元の製材所を見学。木沢で行われている間伐材の活用方法などについても教わりました

今後の展開

豊かな木沢の自然を体験
木沢地域は97%を森林に覆われているだけでなく、沢や滝、鍾乳洞があるため、滞在中はそれらの自然を体験して満喫することができます

改修後は、杉の娘による料理教室、沢登りや鍾乳洞探検などの自然体験といった、現地だからこそ体験できるプログラムを揃え、来訪者に地域住民との交流を通じて木沢の魅力を伝えるゲストハウスとして域外からの来訪者を呼び込みます。
このゲストハウス完成後も学生たちは、これまで築いた信頼関係を軸に、同地域で高齢化に伴って生じる空き家問題解決に向けて地域と協働して継続的に取り組んでいきます。

11月6日~8日、芝浦祭で活動報告を行います

“木沢の「わ」プロジェクト”が11月6~8日、豊洲キャンパスにて行われる芝浦祭で、木沢での古民家改修プロジェクトについて展示発表します。当日は学生が常駐し、現地での活動写真を多く交えて自らの言葉で木沢の魅力を伝えます。

日  時:11月6日(金)・7日(土)・8日(日)
場  所:芝浦工業大学 豊洲キャンパス(東京都江東区豊洲3-7-5)
      芝浦祭「空き家プロジェクト」ブース内
アクセス:東京メトロ有楽町線「豊洲駅」1cまたは3番出口から徒歩7分
      ゆりかもめ「豊洲駅」から徒歩9分
      JR京葉線「越中島駅」2番出口から徒歩15分
 時  間:全日 10時~18時
 

改修前の古民家外観
改修する古民家は築146年。庭に大きな枝垂れ桜があり、周囲には田園風景が広がって四季折々の自然を楽しめる立地にあります
新設の縁側を施工する様子
縁側を通じてゲストと地域との交流が活発に行われるように広い縁側スペースを新設。「改修だけでなく、その先の人と人とのつながりを目指していく」というメンバーの思いから設計されました
杉の娘の手料理が並んだ食卓
木沢には元来、民泊の文化と「おもてなしの精神」が根付いていました。現在は高齢化で失われつつある民泊文化ですが、木沢での活動期間中は杉の娘が心のこもった食事を振る舞い、学生たちの胃袋をわし掴みにしました

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芝浦工業大学
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