佐伯教授が開発した新装置での実験の様子

工学部 機械工学科の佐伯暢人(まさと)教授が、カップ麺などに用いられる乾燥キャベツや乾燥レタスの出荷前選別工程で、異物混入を防ぐための新たな静電選別装置『回転輸送型静電選別装置』を株式会社エコー(静岡県焼津市/食品製造機械製造メーカー)と共同開発しました。

傾斜し回転する円筒形で、異物が食品のどの位置に付着していても精度の高い回収を可能にする静電選別装置の開発はこれが初めてで、実験では純度100%、回収率99%以上での食品回収を実現しました。本技術は現在、特許出願中です[出願番号:特願2015-094077]。食品製造における異物除去の精度向上だけでなく、出荷直前の人的工程を省けることによる人件費削減と衛生面でのリスク減少も期待されます。

開発の背景

昨今、食品への異物混入がたびたび問題化されており、食品メーカー各社は対応に追われています。通常、出荷前の食品から異物を取り除く工程においては、色彩選別や風力選別、静電選別が用いられていますが、最後に残存するビニル片や毛髪などの細かい異物の選り分けについては、従来の選別方法では完全に異物を除去しきることができません。このため、未だに人による目視によって確認・除去している製造現場が数多くあります。そこで現在、細かい異物を高い選別精度で除去できる機械の開発が強く求められています。

一般的な異物除去装置のしくみ

一般的な異物除去装置のしくみ
異物はカメラで認識し、食品の中から空気噴射で除去する方法が一般的です。しかし、異物が食品に付着している場合や食品の陰に隠れて空気噴射しにくい位置にある場合には、空気噴射での除去は困難で、十分な選別精度が得られないという問題がありました。

一般的にはカメラで異物を認識し、空気噴射でそれを除去する方式がとられています。
しかし異物が、食品に付着している場合や、食品の陰に隠れて空気噴射しにくい位置にある場合には、空気噴射での除去は困難で、十分な選別精度が得られないという問題がありました。

⇒従来は食品に付着した異物の除去が難しかった!
 


以上を解決する新たな静電選別装置:『回転輸送型静電選別装置』とは?

新開発の選別装置CAD図面
新開発の選別装置CAD図面

新装置は、乾燥食品の接する部分が傾斜した円筒ドラム形で回転する仕様です。ドラム中心に負の高電圧を発する電極が固定されており、円筒内に電界が形成されます。選別対象である食品や異物は、装置投入前のコロナ帯電により負の電荷を帯びるため静電気力により円筒内面に付着します。

投入物は円筒の回転と共に上昇しようとしますが食品の方が重いためすぐに円筒下部に落下し、回転及び傾斜により円筒外へ排出されます。
 一方、異物は軽いため、内部面に付着したまま円筒内を上昇し、集塵機で回収されます。

乾燥レタスや乾燥キャベツで行った実証実験では、純度100%の食品を選別可能であることを確認しています。

⇒傾斜した円筒が回転することで、対象物全面が円筒電極の電界に接する
 =異物が食品のどこに付着していても選別可能!

新装置の選別過程しくみ図
新装置の選別過程しくみ図

製品化に向けた今後の展開

現在、株式会社エコーとの実証実験が完了しており、特許を出願中です。乾燥野菜以外の食材への応用も視野に入れつつ、今後は実際の製造現場に合わせた規模の装置開発を進め、2年以内の製品化・販売を目指します。


実証実験での選別対象例

乾燥レタス(左)とビニルひも(右)
乾燥レタス(左)とビニルひも(右)

乾燥レタスとビニルひもの大きな違いは約200倍近い質量です。
この質量の違いを利用して食品と異物を選別することが出来ます。

乾燥レタス(平均粒径 18.8mm、平均質量 239mg)
ビニルひも(平均形状 5×30×t0.015mm、平均質量 1.28mg)

乾燥レタスを使った『回転輸送型静電気選別装置』実証実験での選別結果

乾燥レタスを使った『回転輸送型静電気選別装置』実証実験での選別結果
乾燥レタスを使った『回転輸送型静電気選別装置』実証実験での選別結果

静電気を使った選別方法であるため、ドラム内に若干の食品が残る場合がありますが、回収箱に選別されたレタスは純度100%、回収率は99%以上となりました。また、乾燥キャベツを用いた同様な実験でも、純度100%のキャベツが得られることを確認しています。

純度と回収率の説明
純度…回収容器内の総質量に対する食品の質量比
回収率…投入前の食品に対する回収後の食品の質量比

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