工学部建築工学科の志手一哉准教授は、建設会社におけるBIM(Building Information Modeling)の普及と、BIMに関する意識調査を実施しました。
「BIM元年」と言われた2009年から5年が経ち、建築生産設計を中心とした3次元のBIMモデルの活用事例が増えてきています。しかしながら、それはあくまで設計段階までで、工事中の現場での利用が少ないという現状があります。その原因を解明するため、今回、「BIMに対して誰がどのような意識を持っているのか」について、調査を行いました。
総合建設業、設備専門工事業のIT推進担当またはITに明るい社員(推進系)と、現場で施工を行う工事担当者(生産系)にそれぞれBIM普及・導入の現状に関するアンケートを送付し、231件の回答を得ました。
 

調査結果の概要

●BIMの利用は建設業界全体で30%を超え、普及期に入っている
●推進系社員は、BIMを業務の中心に据えて、建築のすべてのフェーズで積極的に活用すべきであると考えている一方、生産系社員は、プロジェクトの生産性を高めるための重要な手法の一つと考えており、両者にBIMの活用方法に関して意識の差がある

志手准教授は、今後、一連の建築生産プロセスの中でBIMを活用していくためには、この推進系と生産系の意識のギャップを埋めながら生産現場での普及方法を検討することが必要であると指摘しています。


質問項目

 ●BIMの普及について→業界では普及期に入っており、プロジェクトの効率化に期待
・「社内でBIM・3次元CADを利用したプロジェクトを知っているか」
→「知っている」は総合建設業31%、設備専門工事会社37%で、BIMは普及期に入っていると言える
・「BIMで効率化できることは」
→「自分の業務」「プロジェクト」「施工」の3項目に分けて聞いたところ、「自身の業務」や「施工」の効率化に比べ、プロジェクト全体の効率化が図れるとの回答が60%を超えた
・「BIMと生産性・将来予測」
→30~34歳の社員は、現状の生産方式への不満が大きく、BIMにより生産性の改善を目指している

 ●BIMに関する意識→推進系と生産系に意識の差が
・「BIMへの投資効果として生産性の向上につながるか」
→推進系の社員には、BIMを業務の中心に据えてすべてのフェーズで活用して進めていくべきであるという傾向が表れたが、生産系には、BIMの導入はあくまで生産性を高めるための一つの手法として期待しているという意識が強く出た

まとめ

 志手准教授は、今後、社内および業界全体でBIMを普及させて生産性を高めていくためには、まず、推進系中心のBIMの普及方法を見つめ直し、生産系の意識とのギャップを埋めながら、現場の工法に関わるところにフォーカスしてその活用方法を検討していくべきであると指摘しています。
これまでも、BIMの普及に関する調査・検討はされていますが、今回の志手准教授のように「推進系」と「生産系」の意識のギャップに着目して今後の普及方法を探るという手法はこれまでにないアプローチであり、この指摘が、建設業界全体が抱える問題として今後取り組まれることが期待されます。

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