日本が電子式交換機の開発で世界をリードする原点となった

AO-1の前面には、多数の真空管がならぶ
AO-1の前面には、多数の真空管がならぶ

芝浦工業大学(東京都港区/学長 村上雅人)が所蔵し、秋山稔元教授(電子情報システム学科)らが1958年に製作した「全電子式時分割形交換機AO-1」(以下、AO-1)が、この度2017年度の「重要科学技術史資料(愛称:未来技術遺産)」として9月5日に登録され、授賞式が9月12日に行われました。
 

国産初となる全電子化交換機の試作機を、大学の研究室で製作したものであり、電話と電話をつなぐ通話回路をデジタルで大容量に扱える交換方式として実現しました。日本の電子式交換機、時分割形交換機の開発に対する先駆的な役割を果たし、その後、日本が電子式交換機の開発で世界をリードする原点となったことが評価され、未来技術遺産に登録されました。


AO-1は秋山元教授より退官時に寄贈され、大宮キャンパス5号館1階ロビーに現在展示されており、だれでも自由に見学することができます。今後も芝浦工業大学は、技術の進歩を示し歴史的意義のある装置を学生への教育で使用するほか、工業大学として技術の継承を担っていきます。


※研究室 … 秋山稔元教授は、当時、東京大学の尾佐竹研究室に所属。AO-1のAは秋山稔、Oは指導教官の尾佐竹徇氏の頭文字です。

ポイント

  • 現在の携帯電話の通話でも使われている電子式交換機の基礎となる国産初の試作機である

  • 交換機がアナログからデジタルに移行する、分岐点となる技術である

  • AO-1は一般公開されており、だれでも芝浦工業大学大宮キャンパス5号館で見ることができる
新津善弘教授(電子情報システム学科)が授与式に出席
新津善弘教授(電子情報システム学科)が授与式に出席
AO-1の裏面は、コンデンサや抵抗などが大量に使用されている
AO-1の裏面は、コンデンサや抵抗などが大量に使用されている

時代背景

戦後、電子技術の発展により、交換機制御系の電子制御化が進められていました。AO-1は、日本で初めて電話の通話路を複数回線でタイムシェアできる「時分割形」の通話路を実現。加えて、制御回路に関しても電子式にしただけでなく、「時分割の多重制御」とし、大量の通話接続を可能としました。AO-1は、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサなどの電子部品を大量に使用して製作され、この技術は集積回路(LSI)技術が発達した1970年代に「D60形ディジタル交換機」として商用化される、電子式交換機の先駆けとなりました。

全電子式時分割形交換機AO-1とは

交換機とは、電話のダイヤルを分析して発・着信者の回線接続を制御する機能と、発・着信者の通話路を接続し、音声データの送受信を実施する機械です。AO-1は、接続制御、通話路の両方ともアナログ技術からデジタル技術に移行する、節目となる交換機でした。AO-1は当時としては大容量である30回線程度を扱う能力を有しましたが、現在は1台で1万回線以上を扱うことができます。

お問い合わせ先

芝浦工業大学
企画広報課

〒108-8548 東京都港区芝浦3-9-14(芝浦キャンパス 2階)
TEL:03-6722-2900/FAX:03-6722-2901
E-mail:koho@ow.shibaura-it.ac.jp