情報工学科の米村俊一教授は、津波が発生した際にユーザの位置や移動可能な範囲を考慮し、津波の範囲と安全な避難場所を提示してくれる津波避難支援システムを開発しました。
内閣府の調査より、2011年の東日本大震災における死者数は、津波による溺死が92.4%を占め[※]、犠牲者の死因の大部分が津波であることが明らかとなっています。しかし津波の規模は地震の発生状況によって大きく異なるため、「津波がいつ・どの程度の高さで自分のいる場所に到達するのか」「どの程度の緊急性をもって避難すべきか」「どこに避難すれば安全なのか」などこれらをとっさに判断することは困難です。
そこで今回開発したシステムでは、必要な情報を地図上でシンプルに分かりやすく表示することで、緊急時でも正しい判断ができるアプリケーションを目指して設計を行いました。現在のところ、江東区周辺で想定データをもとに行った実験で機能を確認している段階のプロトタイプであるため、実際の津波発生時に正確な情報をリアルタイムに届けるためには、津波の規模や位置、到達時間、避難場所の特徴など気象庁や消防庁、自治体が発信する緊急情報やデータと連動する必要があります。今後はそれら関係機関と連携して協力を仰ぎながら必要なデータを収集し、あわせて共同開発企業を見つけるなどし、アプリケーションの完成に向けて開発を進めていきます。

津波避難支援システムの画面イメージ

災害時にはユーザの歩行可能エリアと危険区域がリアルタイムに変化し、MAP上に映し出される仕組み
災害時にはユーザの歩行可能エリアと危険区域がリアルタイムに変化し、MAP上に映し出される仕組み

システム画面の説明 

(1) 現在位置の表示

モバイル端末に内蔵されているGPS装置によって位置情報を取得し、地図の中央部に現在位置が表示されるよう地図描画を行い、その中に黒地に黄色い丸のマークを描いて示します。

(2) 移動可能エリアの表示

現在位置に津波が到達するまでに移動可能な範囲を、黒の実線で表示します。この円は時間経過と共に半径が縮小し、縮小速度は健常者の平均移動速度(秒速1.39m)に設定されています。変更も可能で、お年寄りから子どもまでユーザに合わせた使い方ができます。

(3) 優先的避難場所の表示

現在位置を中心とし、その周辺避難場所の候補を表示。避難場所候補をタップすると「建物の名前」「建物の高さ」「建物内の避難場所」が一目でわかります。ユーザは、マーカーの色によって避難場所の安全度合いを認識することができます。
(緑色:第1優先、青色:第2優先、赤色:第3優先,黄色:第4以降の優先場所)

(4) 浸水危険区域の表示

津波情報に応じて沿岸部の低地など浸水の可能性が高い区域を赤の塗りつぶしによって表示します。


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