伊東敏夫教授(システム理工学部機械制御システム学科)は、交通状況に伴い無意識のうちに変化するドライバーの運転動作から渋滞の前兆を推定し、渋滞を予測する手法を考案しました。

本研究のポイント

●運転中のドライバーが持つ運転の特徴(クセ)を認識し、交通状況に応じた運転動作の変化を計測。渋滞の予兆である交通量が増えてきたときの運転動作の変化・特徴をとらえ、渋滞の発生を予測
●この手法を用いれば、自車両の運転動作のデータを解析するソフトウエアを開発するだけで実現できるため、新たにセンサーなどの装置を取り付けることやインフラの整備も必要なく、ローコストでの実装が可能に


渋滞問題と渋滞予測システムの現状

 交通渋滞による損失時間は年間38.1億人時間(国民1人当たり年間約30時間)、経済損失は11.6兆円とされており、渋滞が経済活動や沿道の生活環境にさまざまな影響を及ぼしています。
渋滞予測システムの一つに、道路交通情報通信システム(VICS)がありますが、これは道路上に設けられたカメラなどによって定点観測し得られた渋滞情報を集約して各種通信回線を介して車両に知らせるもので、一部の主要幹線道路や高速道路のみの設置に留まっています。このため、インフラに依存せず、自車両から得られる情報のみで渋滞を予測し、回避へとつなげるシステムの開発が望まれていました。

「車が増えてきた状態」を検知して渋滞発生の可能性を予測

 渋滞は、交通量が増えてきた状態で前方の車がブレーキを踏むことなどにより、減速することでそれが後続車に波及して起こることが分かっています。伊東教授はこの渋滞の発生メカニズムから、「速度はまだ落ちていないが交通量が増えてきた状態」を検知する事ができれば、渋滞が発生する可能性が高い状態をとらえることができるのではないかと考えました。
そこで、ドライバーがそれぞれ持つ特徴(クセ)と交通状況の変化に伴ってドライバーの運転動作が無意識のうちに変化することに注目。「アクセルの踏み込み具合」「ハンドル操舵角度の変化」「速度の変化」という3つの要素を解析することで、そのドライバーの特徴(クセ)を認識し、車両密度が低く自由に走行しているときから車両密度が高くなってきたときの運転の変化と特徴をとらえ、渋滞の前兆である「速度はまだ落ちていないが交通量が増えてきた状態」を推定する手法を考案しました。

自車両のみのデータでローコストにシステムの構築が可能

 この手法による渋滞予測システムは、自車両の運転動作データを解析するソフトウエアを開発するだけで実現可能であるため、道路側のインフラに依存することなく、また新たにセンサーなどを搭載する必要もないため、ローコストでの導入が可能となります。
このように、各ドライバーが持つ無意識の動作から渋滞を予測するというアプローチはこれまでにないもので、現在、この技術は特許出願中です。

この手法は、運転の仕方から常に車がドライバーの状態をモニタリングするというもので、渋滞の予測だけでなく、気分や体調によって変化する無意識的な運転行動の変化をとらえ、その異変をドライバーに知らせるといったシステムの構築への応用も可能です。これが実現すれば、車と人との新しい関係性や魅力を構築する可能性のある技術となります。

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